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竜と天才と共に反撃の狼煙を上げる頃合な件

 ディア不在の中、ディアの代理として皆を……魔王軍の兵をまとめ上げ、ひたすら篭城に徹する事になった……なったのだが……

勇者コンコルド、ちょっくら暴れてくるから門を開いてくれ!」

「駄目だ」

 もはや何度目になるか分からないトラブル……覇王龍の末裔だかなんだか知らないが、こんな戦闘狂がゴロゴロいるような連中をまとめ上げる技量を持ったディアが、本気で羨ましい。

 それにしてもこの青年……ガイギンガは特に酷い。

「……勇者、門を開けるか今此処で軽く炙られるか……2つにひと」

「断る」

「……んじゃ斬らせろ」

「却下」

 背丈ほどもある大剣を担いでやる気満々だが、ディアの状態、そして周囲の状況からして門を開けるわけにはいかない。

 ……せめて、あの不死身集団の女神かリリスさんがくるまでは……ひたすら篭城するしかない。この戦力差ではリスクが高すぎる。ただいたずらに戦力を消費する可能性が高い。

 だが、この猪野郎を食い止めるには

「やあやあ、勇者殿はここだったのか」

「フィオナか……悪いが今は真面目な話をしているんだ」

「私はこう見えて方向音痴だから迷ってしまったよ、HAHAHA」

「おい、人の話を聞けよ。それになんかキャラちげぇだろうよ」

 許してと言わんばかりに笑顔でサムズアップするフィオナだが、流石にちょっと問題有りだ。

 その頭の上に乗っているコウモリもどきは飾り……みたいだな。血を取られすぎて眠っているのかんだろう、多分……

 しばらくディア父は起こさないでやろう。死ぬほど疲れたのだろうし。

「勇者、質問いいか? このガキは誰、っつーか……ナニモンだ? なんで叔父さんを頭に乗っけてやがんだ? 叔父さんの浮気相手か?」

「叔父……? なるほど、その減らず口は遺伝の物かな? ……まあいいや、ワタシの名はフィオナ。君が要注意人物と噂の、覇王龍かい?」

「一応、俺はその末裔のガイギンガ……っておい! 誰が要注意人物だ、誰が! どこ情報だそれ!」

「雇われ脅され、渋々おぞましい武器を作らされた、元雇い主たるコランに」

 そこまでフィオナが言ったところで、フィオナの肩をガイギンガが掴んだ。

「あの武器の弱点を教えろ。むしろ教えやがれフィオナ」

「いたたたたっ! あのね、私は天才とはいえ体の方は年相応なのだぞ? 少しは子供に優しくしたまえ…………ああ、銃の弱点だったね? ……あの銃にはワザと欠陥を作って、射程距離がかなり短くなっているんだよ。その距離はおおよそ……36.2メートルといったところかな? これが確実に狙いを定められ、かつ殺傷力が期待できるギリギリの距離だ。ところでガイギンガ、君は変身出来るのかな? ……君の先祖と同じ様な竜の姿に」

「今は無理だ、せめぇしここ」

 士気に影響がないようにと少し離れた廊下に出てきたのは正解だったのかもしれない。ついうっかり踏まれて死にましたではシャレにならない。俺もガイギンガも。

「ふむ……鱗の強度は」

「ガッチガチだ」

「ガッチガチなのか」

「女好みのガチガチ度だ」

「ふむ……君のはとても、女性が好む硬さなのか」

「真面目にしろ、お前ら」

 何故に二回も繰り返した、何故に二回も繰り返した?

「ふむ……コンコルド殿、ちょっとガイギンガ殿を連れて散歩に行ってきてもいいかな? なに、すぐにかえって来るさ。結婚式の準備をして、ついでにパインサラダでも作って待っていてくれたまえ。ああ、それと……何かおまも」

「お前死亡フラグ立てすぎだ! いったいいくつ立てるつもりだ! それとおまけ程度にせーぞんフラグ立てんな!」

「ふふふ、心配しなくとも……墜ちるのはガイギンガ殿だよ」

「覇」?

「天才軍師たるこのフィオナを甘く見てもらっては困るね。万が一ガイギンガ殿が火薬と鉄の塊によって撃墜され、ガイギンガ殿が巨大な赤い塔に刺さるような事態になっても、ワタシには生き残る打算がある」

「仮定の話だろうけど、明らかにオレ死んでんじゃねぇか! おいてめぇふざけたこといってんじゃ」

「やめろガイギンガ、今は仲間割れしてる場合ではないであろう」

 ディア父がいつの間にか起きていた。が、それはさておき……

 敵の射程圏は40メートル、対してこちらは魔法での射程距離が最長約20メートル。真正面から突っ込もうものなら魔法を唱える前に御陀仏だ。ならばどうすればよいか……

「一ついいか、ガイギンガ?」

「あぁ?」

「お前……炎の息塊ブレス吐けるか?」

 どれだけ周囲に対して構えようとも頭上だけはどうしても無防備になる、それはあの出来事で痛感している。

 だけど、やるしかない。不死者集団から離れた場所に息塊ブレスを放てば、敵の士気は下がる……その隙に女神を招き入れれば勝機は見える。ただ……

 ……いや、迷っている暇はないし、やるしかないか。それに……あいつらの命を張った覚悟には応えなければなるまい。

 いくら新兵器を携えたコランとはいえ、まさかこれだけでは終わるはずがあるまいし……

ディア父の名前……そもそも語っていましたっけ……

あ、コンコルドが魔王『退治』に出掛けた理由も語らないとですね

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