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続き、別にサブタイが思い付かなかったからとかじゃないですヨ?

「ディア! 大丈夫か、ディア……っ!」

 祈ることしか出来ない己の無力を呪いながら、ディアの手を握り、声をかける……

「キミが、勇者ことコンコルド殿なのかナ?」

 ディアの手を握っていると、正体不明の幼女に後ろから声をかけられた

 後ろを振り向くと、眼鏡をかけ白衣を羽織った幼女がコンコルドに抱き抱えられるように拘束されていた。

「ワタシの名前はフィオナだ、ワケあってこっちにきているただの人間だヨ」

「何なんだ、お前……味方なのか?」

「一応だけどネ……敵の敵は味方、味方の味方はお客様と言うだろう?」

「後半は言わねぇよ」

 意味不明の供述をしているが、つまるところ味方なのだろう。役に立ちそうもない貧弱幼女だが。

「ふむ、その目は役立たずが1人増えたところでなんになると言わんばかりの目だネェ……しかし安心したまえ、私は療士や策士の腕では右に立つもの居らずとバラモン教皇に言われた程の子供なのだ」

「……治療?」

「ああ! そこの女は魔王かい?」

「会話はどうしたの!?」

 テスタがツッコんでいるが、別にそんな事は重要じゃない。重要な事は、ディアの怪我を今すぐに治療出来るのかという事だ。

「抜け出してくるときに最低限の手術道具とかは持ってきてたからネ……これさえあれば、準備は消毒だけで……とりあえず問題はないような気がするけどネ……」

「色々と突っ込みたい事はあるけど……お前、どこかから脱走してきたのか?」

「コランの陣からちょいと脱走」

「テスタ、敵の脱走兵だから|丁重に(・ ・ ・)もてなしてやれ」

「話は最後まで聞きたまえ。キミの事をテスタから聞いていたからこそこうやって脱走して……」

「うっかり暗殺者(故人)を連れて来ちゃったってワケ」

「テスタ、いったいキミはどっちの味方なんだい? 不可抗力で仕方がなかったとはいえ、それの落ち目があるから治療するつもりなんだケド……こんなのじゃワタシ、魔王を治療したく……」

 自分の事ではないからと、渋るフィオナの両肩をそっと叩き、嘆願する。

「頼む、フィオナ……俺に出来るようなことなら何だってする。だから……ディアの怪我を治してやってくれ」

「フフン、その言葉が聞きたかった、っていうワケじゃないけど……命懸けでやってやろうじゃないか」

 白衣の袖を捲り上げながら、フィオナが言った。

 そして、撃たれた箇所である左手を止血するためにディアの左手を緩く縛りながら、フィオナが続けた。

「さし当たっては、出血分を補う血がないといけないんだケド……魔王の血液の型が分からないと輸血のしようがないよねェ?」

 出血と痛みで意識を失っていたディアの顔を見て、お手上げと言わんばかりに俺の方を向いた。

 その視線に対して、同じくお手上げと言わんばかりに両の手を挙げた。

 もはや祈るしかないという時、救いの手は思わぬところから差し伸べられた。

『ワシの血を使え』

 蝙蝠だから手というよりは翼かもしれないが。

 それはともかくとして、ディアの血の匂いを嗅ぎつけたのか燕のような速度で滑空してきた蝙蝠が、開口一番に言った。「蝙蝠……いや、吸血鬼なのかい?」

『そのようなモノだ……ディアの父親であるワシであれば、少量なら問題はなかろう』

「まあ、応急処置なら問題ないかな……? ああ、部屋を出て行ってもらう前に一つだけいいかな、コンコルド殿?」

「なんだ?」

「ワタシにキミの情報をもたらしたアザミ殿、キミとはどういう関係なのかナ?」

「…………昔約束をした幼馴染、って感じだ」

「成る程……それじゃあ2人揃って退室したまえ」

「ああ」

 フィオナを信じ、テスタと共に退室した。

 …………ディアのカタキ、必ず取ってやるからな、コランめ……


テスタ「あのさぁ、急にデレ過ぎじゃないかな?」

コンコルド「……身近な奴が撃たれて死にかけてると知ったら誰だってああもなるだろ」

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