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肉の檻  作者: アザとー
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はじめに

お見苦しい肉が登場しますことをおゆるしください。

ちなみにアザとーも『ダイエット』はしない方がいいと思う派です。

 アザとーは見事に父親似である。

 母親に似ていたら鶏がらのような小さな体型であっただろうが、残念ながらアザとーは後ろから見ると小太りのおっさんにしか見えない。もちろん横から見てもおっさんだし、正面から見ると間違いなくおっさんだ。

 さすがに腹は出ていないが横に広い。肩周りも女にしてはがっちりしている。足のほうはがっしりと太く、台風に強そうな体型である。

 そんな俺でも若いころは身長-100キロという健康体重のお手本であった。

 太り始めたのは実に下の子を出産した直後からだが、間違いなく父親似だと実感したのは体重が90キロオーバーになったころだろう。

 俺の父親は祖母から『水浸しのアンパン』と揶揄されていた。子供のころ父親とプールに行くと『デブは水に浮く』の言葉通りで、色白でぶよぶよした体が水面を漂う様はオフクロに言わせると『ガスが程よくたまった水死体』。そして子供だった俺は『ミシュランタイヤの……』。三代揃って全く口の悪い! 

 だが四代目である娘に言わせると俺は『中綿のへたったテディベア』なのだ。

 そして、俺とオヤジの類似点は命の危険を感じて数十キロクラスの減量を行ったということである。

 俺の下には弟が二人居る。加齢と共に細身だった体にビールが加算された。だがそもそも十の単位での体重増加がないのだから、兄弟の中でオヤジと同じ苦しみを味わったのは俺だけだ。

 もっともオヤジがダイエットを始めたのは40過ぎてから、糖尿病の予備軍に突入してからだ。若いうちに減量を行った俺よりも苦しいものであっただろう。

 しかしその努力の甲斐も無く今ではインスリン注射をしてから飯を食う身だ。あれほどがんばっても落ちなかった体重もいまや激減し、憐れなほどやせ細っている。

 糖尿病はご存知のとおり遺伝要因の絡む病気であるから俺もいずれああなる可能性はあるわけだ。だが今現在、俺に減量の予定はない。

 健康体重よりやや太めではあるが既に十年近く体重は固定されている。少々どか食いをしようが、数日の偏食を行おうが体重に変化は無い。

 もしこの体重に変化を起こそうとするなら強度の体重操作、いわゆる『ダイエット』というものが必要になるだろう。

 ここであらかじめお断りしておきたい。デブの体験談である以上、避けられない話題としてダイエットの話が出ては来るが、必要も無いのに体重をコントロールするような愚をオススメはしない。

 自らを怪しげな減量法の人体実験に供し、即身仏になりかけた男の話をアザとーはオオウケで読ませてもらったのだが、その中にこんな言葉があった。


“フォトショップで修正された現実にはありえない幻の女に憧れ、または目指す。

実在しないデータに憧れ、『痩せなければいけない』と願う。おかしくないか。


 もし君が『痩せたい』と思うなら。

もう痩せたいとおもうより『健康的に生きたい』と考えるべきである。”

                  鴉野 兄貴氏 『無笑』より抜粋


 ぶっちゃけダイエットの真理をつく言葉だ。生死を賭けてダイエットをしたヤツでないとこの言葉は出てこない。

 よく健康雑誌などで見かけるダイエット記事は『健康的にやせる』をうたい文句にしているが、あの言葉を曲解するようなことがあってはいけない。ダイエットとは『健康的に生きる』ために必要だからするものであり、身を削って体重操作をするものではないのだ。

 数々のダイエットを体験したアザとーに言わせると、万人に必ず効くダイエットなど存在しない。それぞれの体質、ライフスタイル、性差や年齢によって効果に大きく差が出るミズモノだ。それを『商品』として商業ラインに乗せようなどとは愚の骨頂、考えたやつは死んでヨシだ。ですね、兄貴っ?

 ただ、体重を落とす必要があった人間として言わせてもらおう。やせる方法は確かに存在する。現に俺はトータル20キロ以上の減量に成功している。

 ただそれは不健康ゆえに身についた肉をそぎ落とした結果であって、決して美しいものではない。今でもアザとーは健康体重に入るには後十キロ近く落とさなくてはならない体なのだから。

 それでもこの体は痩せていたあのころよりスタミナもあり、動かすに不便無い程度には軽い。唯一の欠点は見た目的に決して美しいとは言いがたいということか……

 それでも見てみたいですか?

 アザとーのデブ話……


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