第六十七話
早苗はしばらく泣き続けて、やがて泣き止んだ。
早苗の泣き声が止んだ事を確認するなり、紗琉雫は声をかけた。
「もう、平気か?」
早苗は首を横に振った。
「もう少しこのままでいさせてください」
「嫌じゃないのか?」
「嫌じゃないです」
紗琉雫は頷いて、早苗の身体をぎゅっと抱きしめた。
少しの間沈黙した後、早苗は紗琉雫に声をかけた。
「紗琉雫様、こんな時間に、どうしてここに……?」
紗琉雫は小さな声を出した。
「……お前が気になって、お前と話がしたいと思ったんだよ。そしたらいてもたってもいられなくなって、ここまで来ちまった」
「私が気になったんですか?」
「あぁ。気になって仕方なくなって、それでここに来たらお前が魘されてたから起こしたんだ」
早苗は目を紗琉雫の胸へ向ける。
「どうして、私が気になるんですか」
紗琉雫はうーんと考えるような声を出して、答えた。
「そうだな……お前には多分、神を引き付ける何かがあるかもしれないな。それにおれが引っ掛かって、ここまで来させられたんだと思う」
「なんですかそれ」
「おれにもわからない」
紗琉雫は顔を少し上げた。
「でも、お前の持つ何かがおれをここまで引き寄せた。引き寄せた張本人が悪夢にうなされていたからおれは起こした。それだけだよ」
紗琉雫の不思議な柔らかさと温かさ、言葉の穏やかさを感じて、早苗はふと思った。神奈子と諏訪子は紗琉雫の事を皮肉屋だの毒舌家だの言って貶し、避けるようにしていた。その時は自分も紗琉雫の言葉を聞いて冷たい毒舌家の人だなとは思ったけれど、今の紗琉雫を見るととてもそうは思えない。今の紗琉雫は、悪夢に魘される自分を起こしてくれ、自分の事を心配してくれて、自分が泣き出した時はそっと抱きしめ、慰めてくれた。そんな紗琉雫を見ているうちに、二人の言っていた事は嘘なのではないかという気がしてきた。
「あの、紗琉雫様」
紗琉雫が答える。
「なんだ早苗」
「神奈子様と諏訪子様は紗琉雫様が皮肉屋で毒舌家な嫌な人だと言っていました。
でもそれって、嘘なんじゃないですか?」
紗琉雫は首を傾げた。
「どうしてそう思うんだ?」
早苗は少し身体を紗琉雫の方へ寄せた。
「だって紗琉雫様、さっきから私に一言も嫌味や皮肉を言ってないじゃないですか。本当に皮肉屋で毒舌家な人って、どんな状況でも皮肉や嫌味を言ったりするんですよ。でも紗琉雫様は私にそんな事を言ってませんし……」
早苗は親に甘える子供のように紗琉雫の胸に頬を擦り付けた。
「何より、紗琉雫様は温かくて優しいです」
紗琉雫は言葉を詰まらせた。
早苗は紗琉雫にもう一度問いかけた。
「ねぇ紗琉雫様。本当は嘘なんじゃないですか。紗琉雫様は本当は、毒舌家でも皮肉屋でもないんじゃないですか?」
互いにしばらく黙った後、紗琉雫が口を開いた。
「そんな事ねえよ。おれは皮肉屋の毒舌家って言われる。人や神がいると、つい皮肉や毒舌が思い付いちまって、ぶつけたくなる」
紗琉雫は目を閉じた。
「でも、お前の前だとそれがないんだ」
早苗は目を開けて、少し上を見た。
「私には皮肉屋毒舌が思いつかないって事ですか?」
「そうだ。他の奴らの時はそんな事ないのに、お前の時だけは皮肉も毒舌も詰まる。
なんだかお前とは普通に話したい、ちゃんと話がしたいって思うんだよ」
早苗は微笑する。
「なんですかそれ」
「しらないよ。でもそう思っちまうんだよ。お前の場合」
「それ、他の人にもしてあげられないんですか?」
「無理だな。お前だけ特別らしい」
「変ですよそれ」
「変でも仕方ないだろ。本当にそうなっちまうんだから」
早苗は小さく笑った後、神奈子と諏訪子の話を思い出して、紗琉雫に話した。
「そうだ紗琉雫様。前に神奈子様と諏訪子様のお二人に走りに使われたそうじゃないですか」
紗琉雫は「え?」と言った。早苗は続けた。
「知ってるんですよ。神奈子様と諏訪子様が私のお茶碗を割っちゃって、たまたま通りかかった紗琉雫様に街へ換えを買いに行かせたって、お二人、教えてくれましたから」
紗琉雫は「はあ?」と言って、早苗の身体をそっと離した。突然離された早苗はきょとんとした様子で紗琉雫を見た。紗琉雫もまた、きょとんとしたような表情を浮かべていた。
「え、どうしたんですか紗琉雫様」
紗琉雫は頭を軽く掻いた。
「えっと……早苗。それは何の話だ? おれはここ町に茶碗を買いに出かけた事なんかないぞ。それに、八坂と洩矢にそんな事を頼まれた事もない」
早苗は首を傾げた。
「え? でもお二人は紗琉雫様に買わせて、私のお茶碗を取り替えたと……」
紗琉雫は顰め面をした。
「だから、そんなことしてないし、頼まれてもないぞ」
「えぇ? 本当ですかそれ」
「本当だよ。そんな事してない。頼まれてもない」
早苗は紗琉雫が嘘を言っているのではないかと思ってその顔を見たが、紗琉雫の顔には本気で自分が何を言っているのかわかっていないような表情が浮かんでいた。どうやら、本当に自分の言っている事が何の話なのか分かっていないようだ。。
という事は、嘘を吐いていたのはあの二人の方だ。茶碗を割ったというのも、自分が使っている茶碗が別なものだという話も全て嘘。本当は何一つとして変ってはいないのだ。
(でも……)
どうして神奈子と諏訪子は自分に嘘を吐いたのだろう。これまで、自分に隠し事をする事も、嘘を吐く事もなかったというのに、なぜ今更になって嘘を吐き、自分を騙すようなことをしたのだろうか。それも、茶碗を割ってしまったからその証拠隠滅のために街で全く同じような茶碗を買ったなどという妙でどうでもいいような嘘を吐いて。
(じゃあ、お二人は何を……?)
神奈子と諏訪子は、何を隠し通そうとしているのだろうか。あの時の三人の口ぶり、自分の顔色を伺っているかのような仕草から察するに、自分に知られたくない何かを隠し通そうとしているのだけはわかるし、そしてその内容が茶碗を割っただけとかいうくだらないものでもないのもわかる。
だが、本当にそれは何だというのだろう。自分に知られたくない秘密とは、何なのだろう。全くと言っていいほど答えが見えてこなくて、早苗は悩みの声を上げた。
「んー……わからないよ……」
「え? なんだって?」
紗琉雫の言葉で自分の言葉が口から漏れ出た事に早苗はハッと気づき、思わず首を横に振った。
「いいえ、なんでもありません。ただの独り言です」
紗琉雫は「そうか」と言った。直後、早苗は紗琉雫にぴんと閃いた。
神奈子と諏訪子の二人が隠している秘密の内容は紗琉雫も知っているようで、更に二人から話さないように釘を刺されてるみたいだから、きっと尋ねても教えてはくれないだろう。でも、神奈子と諏訪子が秘密にしそうな事柄とは何かと尋ねてみれば、ヒントとなる情報を教えてくれるかもしれない。
思い付くなり、早苗は紗琉雫に問いかけた。
「あの、紗琉雫様。神奈子様と諏訪子様が秘密にしたいって思いそうな事ってありませんか?」
紗琉雫は首を傾げた。
「なんだって?」
「だから、あのお二人が秘密にしそうな事って思い当りませんかって聞いてるんです」
紗琉雫は顎に手を添えて、窓の方へ視線を向けた。
「あいつらが秘密にしそうな事? そうだな……棚から出てきた牡丹餅を勝手に食ったとか、過去にやらかした失態とか痴態とかじゃねえか?」
早苗はきょとんとした。
「え、本当にそのくらいですか?」
紗琉雫は両掌を広げて首を横に振った。
「そのくらいだな。というかあいつらが隠しそうな事って大概ろくでもない事だからな。もし今でも何かを隠してるんなら、きっとろくでもない……」
言いかけて、紗琉雫は早苗に視線を戻した。
「……ちょっと待て。なんでそんな事を聞くんだ?」
早苗は少し驚いたような表情を浮かべた後、顔を横に向けた。
「いいえ、ちょっと気になりまして。なんだかお二人、私に隠し事をしてるみたいだったので……」
紗琉雫は顔を少し顰めた。
「気のせいじゃねえのか?」
「そんな事ありません。絶対にお二人は私に隠し事をしています」
早苗は自分の翡翠色の瞳を紗琉雫の蒼色の瞳と合わせた。
「そしてそれは、紗琉雫様も知っていらっしゃる秘密だと思います」
紗琉雫の目つきが驚いたようなものに変わった。
早苗は少しだけ目を鋭く、顔を少しだけ険しくして、紗琉雫に尋ねた。
「紗琉雫様、その秘密を、私に教えていただけませんか? 神奈子様と諏訪子様が隠す秘密に貴方が含まれている事もわかっています。だから、言い逃れはしないでください」
紗琉雫は目をそらさずに、早苗に言い返した。
「何故そう思うんだ。おれが八坂と洩矢の秘密に含まれてるって」
「今日の午前中です。ご自分ではお気付きになられなかったかもしれませんが、貴方はあのお二人のように私の顔色を伺うように話をしていました。そして、私に何かしら尋ねられると酷く焦っていたように思います。
これは、気のせいではないと私は思っています。」
早苗はきりっと表情を引き締めた。
「紗琉雫様、こんな事をお聞きするのは何ですが、お二人の秘密を教えていただけませんか。私は、あの秘密を知らなければならないような気がしてならないんです」
紗琉雫は黙ったが、すぐ顔を下に向けて、ほんの少しだけ頬を上げた。
「鋭いなお前は。そうだよ。確かにおれはあいつらと秘密を共有してる。今すぐにだって、おれはお前にそれを話す事が出来る」
紗琉雫は顔を上げ、早苗と目を合わせた。
「だけど、それを話す事は、できない」
「何故ですか」
「いや、話さなくてもいいし、お前は聞かなくてもいいんだ。きっと、おれ達が秘密にしている事をいつかお前は思い知る事になるだろうからな」
早苗は「え?」と言った。
「私が、思い知る事になる? どういう事ですか?」
紗琉雫は首を横に振った。
「悪いけど、教えられない。気を悪くしないでくれよ」
早苗は紗琉雫の仕草を見て驚いたような表情を浮かべた後、悔しそうに顰め面をした。
「紗琉雫様は……狡いです。そんな事言われたら……心の中……もやもやするじゃないですか……」
紗琉雫は少し悲しそうな表情を浮かべて、俯いた。
「……ごめん」
早苗はふと心の中で思った。神奈子と言い諏訪子と言い、そして紗琉雫と言い、どうして自分の周りにいる神達はこうも自分に隠し事をするのだろうか。どうして、自分に知られたら都合の悪い秘密というものを作ってしまうのだろう。そして、どうして隠すのだろう。
どうして、自分だけを、仲間外れにするのだろう……。
もしあの神獣が神奈子や諏訪子、紗琉雫の隠す秘密を知っていたら、隠さずに教えてくれると思うのに。
そう思ってしまったせいか、早苗は無意識に口を動かした。
「神獣様だったら、隠さずに教えてくれるのに……」
部屋を重い沈黙が覆った。
早苗は何も言ってこない紗琉雫が気になり、顔を上げて、驚いた。
紗琉雫は、何かに強いショックを受けたような表情を浮かべて、こちらを見ている。一体どうしたというのだろうかと思った直後、がっくりと肩を落とし、とても悲しそうな表情を浮かべて俯いてしまった。
早苗は紗琉雫の仕草の始終に驚き、思わず声をかけた。
「あの、紗琉雫様……?」
その時だった。急に強い眠気が来て、早苗は前方に倒れそうになった。悪夢から覚めて安心してしまったせいなのか、目を閉じただけですぐに眠りに就いてしまいそうなほど強い眠気だった。
早苗が前方に倒れようとしたその時、それまで俯いていた紗琉雫がさっと動いて早苗の身体を抱きとめ、早苗は紗琉雫の胸に顔を埋めた。直後、紗琉雫が早苗に声をかけた。
「早苗、どうした?」
うとうとしながら、早苗は呟いた。
「なんだか、すごくねむい……」
紗琉雫は「あぁ」と一言言ってから、早苗の背中をさっと撫でた。
「悪夢から覚めたからだろうし、それにもう深夜だ。眠くなって当然だよ」
早苗は「うぅー……」という声を出してから、紗琉雫の胸を力なく叩いた。
「でも……ずるいひとのむねでねむりたくない……」
紗琉雫は黙った。早苗は叩くのをやめた。
「でも……なんだか……すごくあたたかくて……やさしいです……」
紗琉雫はきょとんとして、自分の胸にもたれかかる早苗をじっと見た。
耳を澄ましてみると、くぅくぅという早苗の穏やかな寝息が耳へ届いてきた。文句を言いながらも、眠ってしまったらしい。
紗琉雫は自分の胸にもたれかかって気持ちよさそうに眠る早苗の長い翡翠色の髪の毛をそっと撫でた。まるで、絹のようになめらかで柔らかい手触りだった。
「早苗……」
紗琉雫はふと、今の早苗の言葉を思い出した。
―――紗琉雫様は……狡いです。そんな事言われたら……心の中……もやもやするじゃないですか……
言葉だけではなく、早苗の悔しそうで悲しそうな表情も思い出してしまい、紗琉雫は軽く歯を食い縛った後、早苗の身体に手をまわして、抱き締めた。
「本当の事言ってやれなくて、ごめん」
紗琉雫は早苗を抱き締めるのをやめると、そっと早苗を布団に寝かせた。そしてその身体に掛布団を掛け、早苗の気持ちよさそうな寝顔をちらと見てから立ち上がると音をたてないように寝室を出た。
*
――黒い花が摘まれたわ。そんな簡単には増えないものね。
でも、黒い花を霊夢と一緒に摘んだそんな貴方は、心の中にとてもいい黒い種を持っている。
貴方は、大輪の黒い花を咲かせる器……貴方こそが、大輪の黒い花を咲かせるための贄だったのよ……早苗。
でも、まだ貴方の種は大輪の黒い花を咲かせるには至らない小さな、小さな種。もっともっと育ちなさい。もっともっと育てなさい。そうした時、貴方の種は立派な大輪の黒い花を咲かせるわ。貴方の黒い花はやがて……。
「はぁ~あ……」
守矢神社の境内、神奈子は大欠伸をして自分の寝室を目指して歩いていた。
早苗が持たせてくれた懐中時計の文字盤を見てみたところ、午前一時を差している。すっかり、深夜だ。
「全く、こんな時間までやらせてくれて……」
神奈子は紗琉雫の「他の神が邪気を計測した」という情報が本物なのかを確認すべく、夜の七時頃に知り合いの神達が集まる場所へ向かった。
そして、その神達に紗琉雫の言っていた事を伝えたところ、意外な事に紗琉雫の話は本当であるという答えが返ってきた。神奈子はそれが聞けただけで十分だったのだが、その場にたくさんの神達が集まっていたせいなのか、この邪気とその根源についての対策作戦会議が開始されてしまった。神奈子はそれに巻き込まれる形で参加させられてしまい、延々と神達による様々な作戦を聞かされ続けた。
会議は長時間続き、ろくな作戦も対策も確立させられないまま終わった。会議が終わった頃、時間は午前十二時半を差しており、守矢神社に辿り着いてみれば午前一時を差していた。
神奈子は重々しい溜息を吐いて、境内を一歩ずつ歩いた。
「全く変な会議を突然開いて、しかもろくに作戦も立てらずに終わりやがって……何のために私をあの場に拘束したんだか」
神奈子は愚痴を漏らしたが、すぐに口を塞いだ。今は午前一時、早苗も諏訪子も寝ている。あまり大きな声を出してしまったら、気持ちよく寝入っている二人を起こしてしまう。
「静かに、静かに……」
神奈子は小さく呟くと、抜き足差し足で守矢神社に近付いた。
その時だった。
「あれ?」
ふと早苗の寝室の前にある中庭の方へ視線を向けて、神奈子は気付いた。中庭に、誰かがいる。
こんな時間に、来客だろうか。それとも早苗を狙いに来た不埒な曲者だろうか。あまり想像が付かない。
「誰だありゃ……」
神奈子は中庭の方へ方向転換し、中庭に立つ人物へ一歩ずつ近付いた。
近付いていくうちに、その人物の姿がわかってきて、神奈子は驚いた。
「れ、霊夢じゃないか!」
中庭に立っている曲者だと思っていたその人物は、霊夢だった。
しかし意外な事に、霊夢はいつもの紅白の服ではなく、紅い部分が黒に変わっている服を身に纏っている。おかげで闇夜に溶け込んでしまっていて、少し視認が難しい。
「どうしたんだよ霊夢。こんな時間に何の用だ」
その時、神奈子は気付いた。……あれは霊夢ではない。
霊夢は博麗の巫女が持つ調伏の力を常に身体から発しているので、それを感じ取る事が出来れば霊夢だと認識する事が出来る。しかし、あの霊夢からは博麗の巫女が持つ調伏の力は感じ取れないばかりか、少し感じ取るだけで背筋にぞっと悪寒が走るくらいの悍ましく、禍々しい邪気を放っている。
明らかに、霊夢ではない。霊夢の服の紅い部分が黒に変わっている服を身に纏った、霊夢によく似た何かだ。そして、相当ろくでもない者だ。
神奈子は身構えて、噛み付くように霊夢に似た少女に声をかけた。
「いや、霊夢じゃない! お前は何者だ!?」
神奈子の声に気付いたのか、霊夢に似た少女は顔を神奈子へ向けた。
少女は顔まで霊夢とそっくりだった。しかし、目の色は霊夢のような茶色ではなく、血のように紅かった。そして、顔には不気味な微笑みを浮かべられている。
神奈子は少し慄いて、少女に声をかけた。
「な、何なんだお前は。霊夢と同じ形をしやがって」
少女の口がゆっくりと開いた。
「八坂神奈子。貴方の大事な子は、花の贄のようです……。
貴方と貴方の子に、花の祝福があらんことを……」
禍々しい邪気を放ち、悍ましい微笑みを顔に浮かべている少女の声色は、その邪気と表情とは裏腹に、まるで母親のように柔らかく、穏やかだった。それに神奈子が驚いた瞬間、少女の身体は黒い光に包み込まれ、そのまま消えてしまった。
神奈子は呆然として、その場に立ち尽くした。
「な、なんだったんだ……あれは」