第百二十四話
街の奥に見えた光の大爆発と、遥か遠くであるこちらまで聞こえてきた雷鳴のような爆発音を聞き、天志廼に来ていた一同は先を急いだ。
本日決行されるはずだった<黒服>討伐戦。それは<黒服>の告げた真実によって、博麗霊夢討伐戦へと変化を遂げた。勿論、それを呑み込める者はほとんどおらず、守矢神社に霊華がやってきて、霊夢の様子がおかしいと告げても、紫が博麗霊夢の討伐へ向かうと言い出しても、一同は守矢神社からなかなか動き出す事が出来なかった。
無理もない。博麗霊夢はこれまで幻想郷のために戦い続け、この前は魔神八俣遠呂智という危険な敵を倒して見せ、異変を終わらせて幻想郷に平和を取り戻した。それだけじゃない、霊夢はこれまで<黒獣>という危険な存在とも戦い続けて、幻想郷を護り続けてきた。何度も、何度も幻想郷の民である自分達を守り続けてくれた。そんな霊夢の本当の思いが、幻想郷の崩壊だなんて、思えた者は一人もいなかった。
それでも紫は霊夢のいる位置を霊夢が放つ博麗の力と<黒獣>の禍々しい魔力を頼りに割り出し、天志廼に霊夢がいる事を突き止めた。
しかし、結局守矢神社から出て、霊夢がいると思われる天志廼に向かう事が出来たのは、魔理沙、アリス、早苗、紗琉雫、文、レミリア、咲夜、フランドール、慧音、リグル、妹紅、妖夢、幽々子、幽香、映姫、さとり、白蓮、神子、布都、天子、衣玖、紫、藍、橙の二十四人という、先程霊夢が集めた五十人のちょうど半分付近の者達のみしか動き出す事が出来ず、残りは守矢神社にて、霊夢の討伐に向かった二十四人を待つ事になってしまった。
これを受けて紫は、守矢神社の境内に警報を放つ札を設置。もし自分達だけで事が足りなくなったら守矢神社に知らせ、警報を鳴らすと残った者達に告げた。これならば、戦力不足という事態に陥ったとしても応援を呼んで戦力を増す事が出来る。もし戦力不足になったとしても大丈夫だと思って天志廼に辿り着いた矢先に、天志廼の奥から大爆発と轟音がし、紫は焦って天志廼の奥地へと駆けた。
「あの大爆発……まさか霊夢か!?」
魔理沙はあの爆発に見覚えがあった。前にあの爆発を見たのは、八俣遠呂智と戦いの時だ。あの戦いの最後で、霊夢は最強のラストワードである「夢想天生」を発動させて、博麗の力の大爆発を引き起こし、八俣遠呂智を完全に消滅させたのだった。その時の爆発に、あの爆発はそっくりだ。いや、完全に同じと言っても過言ではない。恐らく、霊夢は何かのために「夢想天生」を使ったのだ。
紫が頷くように言う。
「えぇ間違いない。あれは霊夢の夢想天生と同質の爆発……霊夢は間違いなくあそこにいるわ!」
早苗が不安そうな表情を浮かべる。
「霊夢さん、今どうなっているの……」
紗琉雫がそれに答える。
「多分、ロクな事にはなってないだろう」
文が苦虫を噛み潰したような顔になる。
「なんで、霊夢さんがあんな事に……どうしてこんな事に」
神子が一同に声をかける。
「感慨に耽っている場合ではありません。とにかく今は先を急ぎましょう」
布都が振り向いて、前を向き直す。
「そういえば、あの坊主はどこへ行ったのだ。博麗神社にいたのではなかったのか」
リグルがそれに答える。
「懐夢も多分霊夢のところにいると思う。でもあんな爆発が起きたって事は……」
アリスが顔を顰める。
「嫌な予感しかしないわ。とにかく急いであそこに向かいましょう。霊夢があそこにいるのだけは確実なはずだから」
レミリアが背中をちらと見てから、歯を食い縛る。
「どうしてここは空を飛ぶ事が出来ないのよ。空さえ飛べればあっという間に着くのに……」
咲夜がそれに答える。
「恐らく、この街を覆う結界に原因があるのではないかと。この街の結界が、空を飛ぶ力を封じ込めているんです」
フランドールがレミリアと咲夜の前に出る。
「ねぇねぇ早く行こうよ! きっと面白い事が起きてるはずだよ!」
白蓮が悲しそうな表情を浮かべる。
「何故このような事が続いているのですか……八俣遠呂智と言い、<黒獣>と言い、今回と言い……」
妖夢が頷く。
「本当に、これっきりにしてもらいたいものですね。こんな異変が続いたんじゃ、我々も幻想郷も持ちません」
幽々子が街の奥を見つめる。
「だからこそ、今回でこの異変群は終わりにしないとね。これが終われば、もう流石に何もないでしょう」
慧音が歯ぎしりをする。
「……この異変が終わらせられるほどの者であれば、だがな」
藍が一同に声をかける。
「御託を並べている場合ではないぞ。とにかく街の奥へと急ぐんだ」
一同は藍の言葉に頷き、天志廼の街を駆け抜けた。
その後、あっという間に街を通り抜けて、爆発の起きた山の入り口に辿り着いた。その時に、紫が周囲の気を感じ取って、呟く。
「この博麗の力と<黒獣>の力が混ざり合った独特の感じ……やっぱり霊夢だわ。霊夢は、この奥にいる」
「本当か。じゃあ、早く行こう!」
魔理沙の言葉に一同が頷き、山への階段を昇り始めた。そして、中腹の広い場所に出たところで、一同は驚き、立ち止まった。
リグルの話では、霊夢によって気絶させられていたが、意識を取り戻すなり、どこかへ消えてしまったという……<博麗の守り人>という使命を背負った少年。
一体どこへ行ったのだろうと思いながら、ここまでやって来たが……階段の中腹の広いところの、奥に「それ」はいた。
「懐夢!」
魔理沙の声で、「それ」は顔を上げた。整った顔立ちで、言われなければ時折女の子だと間違える、黒に極力近い茶色の、長い髪の毛をして、藍色の瞳をした十歳の少年。この幻想郷で、唯一博麗の巫女以外で博麗の力を使う事の出来る特異人物、博麗懐夢。
懐夢の出現に一同は驚き、そのうちの一人であるリグルが安心したような顔になって、声をかけた。
「よかった。懐夢もここに来てたんだね」
懐夢は光のない瞳でリグルの事を見下ろしていた。
懐夢はいつも、光を携えているような、暖かい目つきをしている。修行していた時も、ずっとそんな目をしていたので、それこそが懐夢の特徴であると、師である紫は認識していた。
だが、今の懐夢にはそれがなかった。その事で、紫は懐夢が正常ではない事に気付き、一同に声をかけた。
「皆、ちょっと下がって頂戴。ここはあの子の師匠である私が話を付けるわ」
一同が首を傾げる中、紫は一歩前に出て、目の前にいる弟子に話しかける。
「懐夢。この先に何がいるのか、貴方はわかっているんでしょうね」
弟子は静かに口を開く。
「師匠達は、何をしにここに来たんですか」
質問に答えない弟子に顰め面をすると、後ろに下がっていたはずの魔理沙が紫の隣に並んだ。
「私達は……霊夢を止めに来たんだ」
続いて、アリスが魔理沙の隣に並ぶ。
「貴方だって見たでしょうし、聞いたでしょう。この異変の犯人は霊夢……霊夢は放っておけば幻想郷の人や妖怪を<黒獣>に変えてしまう恐ろしい力を持ってしまっているのよ」
「それが、どうしたっていうんですか」
懐夢の言葉に、一同は顔を蒼くする。<黒獣>は霊夢の中に蓄積した博麗の巫女の邪な願いを実現するために、幻想郷を崩壊させる事を狙う存在。そして、<黒獣>は幻想郷の民が変化する事によってこの世に具現する存在だ。放置しておけば、どんどん増えて、最終的に幻想郷は崩壊させられる。
懐夢のあらぬ発言に、紗琉雫が弩を構える。
「どうしたって……何を言ってやがる餓鬼」
「幻想郷は霊夢達博麗の巫女を散々苦しめてきた。だから博麗の巫女達は自由を欲しがってこの幻想郷を崩壊させる術を、<黒獣>を作り出す力を得た。そういう事じゃないですか」
妹紅が顔を顰める。
「まさかお前、霊夢がこうなったのは皮肉であるとでも言いたいのか」
「だってそうでしょう。幻想郷が博麗の巫女を『人形』にしなければ、こんな事にはならなかったはずだから」
白蓮がキッと懐夢を睨む。
「確かにそうかもしれません。ですが、そんな理由で幻想郷が滅ぼされなければならないというのも間違いです」
「何が間違っているんですか。幻想郷はこんなになるまで、霊夢をあんなになるまで放置し続けていたじゃないですか。霊夢を、博麗の巫女にして、そのまま……」
今年、懐夢と友達になったばかりのレミリアが、懐夢に怒鳴る。
「どうしたっていうのよ、懐夢。貴方はそんな事をいう奴じゃない。貴方、明らかにおかしいわ!」
「ぼくは何もおかしな事を言ってないよ。だって幻想郷が霊夢をあんな事にしたのは間違いないんだから」
紫は俯いたまま、何も言わずにいた。明らかに間違った事を言っている弟子に声を掛けようとしない主に、藍は驚いたように言う。
「何故、黙っているのですか紫様。懐夢に言っている事は間違っているでしょう」
紫は首を横に振った。
「いいえ。彼の言っている事は間違いではないわ。霊夢があんなふうになってしまったのは、間違いなく幻想郷のせい……」
普通ならば、間違っている事を言っている人間を批判するであろう紫の言葉に、一同は驚き、紫の方へ目を向ける。
そしてその中の一人である、文が言う。
「な、何を言っているんですか!」
紫は懐夢に目を向ける。
「聞いて、懐夢。貴方の言っている事は間違いではない。幻想郷は確かに博麗の巫女を苦しめて、ここまで疲弊させてきたわ。
だから私達はこれから責任を取るわ。これからは、博麗の巫女は『人間』になる。感情抑制も、記憶消去も、みんな棄てる。次代の巫女からは、これまでとは比べ物にならないほど――」
「なんで、次代の巫女なんですか」
言葉を止めた紫に、懐夢は吐き捨てるように言う。
「なんで、霊夢じゃなくて次の巫女なんですか。それじゃあ霊夢はどうなるんですか。今まで散々苦しんできた霊夢には何の報いもなしですか?」
映姫が凛とした声で懐夢に言う。
「貴方もわかっているはずですよ懐夢。霊夢がもう取り返しのつかない状態になっている事を。あそこまで憎悪と邪な感情に取り憑かれた彼女に、巫女をやる資格など無いはずです。
彼女に巫女を続けさせるくらいならば、いっそ彼女に降りてもらって、次代の巫女というものを――」
「だから霊夢に死ねっていうのか!!」
いきなり怒鳴った懐夢に一同は背筋をびくりと言わせた。
懐夢は悲しそうな目で、師匠を眺めた。
「師匠、聞いてました。師匠が霊夢を殺そうって計画したのを。師匠は霊夢を救おうって、霊夢を人間に戻してやろうって考えなかったんですか。思い付けなかったんですか」
紫は首を横に振った。
「思ったわ。私だって、霊夢を助けたかった。でも、あそこまでこの世界への憎悪を抱いた霊夢を救う方法なんて、私にはわからなかった。いいえ、多分霊夢自身を変える事はこれから出来るでしょう。
だけど、どんな手段を取ったところで、きっと霊夢の中に宿った『花』は消えない。霊夢から『花』を切り離そうとしても、きっとその前に私達は殺される。もう、詰みが起きていたのよ」
「じゃあ諦めるっていうんですか! 次代の巫女は『人間』にするけど、霊夢は『人形』のまま焼却するって言うんですか!!?」
懐夢の怒鳴りを聞き、紫は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「……もう、霊夢に対して出来る事と言えば、彼女を『花』と共に葬り去る事で『人間』に戻してあげる事だけよ」
紫は顔を上げた。
「貴方の使命を更新するわ、<博麗の守り人>。貴方は私達と共に霊夢を討伐した後、新しい巫女の元へ行き、その巫女を守りなさい。もう、霊夢を守る必要はないわ」
懐夢は俯いたまま、黙り込んだ。
その目には、友人である者達の姿は見えず、父と母が幻想郷に奪われる瞬間が映し出されていた。
どうして、こうまでしてぼくの大事なものを奪おうとするんだ。
おとうさんとおかあさんを、里の皆を奪ったばっかりじゃないか。
なのにまだ、ぼくの大事なものが欲しいの。まだ、奪い足りないの。
もうあげれるものなんかない。それでも欲しいなら……
ゆるさない
「どうして……そこまでして……奪おうとするんだ」
懐夢の口から漏れた言葉に、一同ははっとする。懐夢の口からは更に言葉が漏れる。
「おとうさんとおかあさんを奪っておいて……まだ、奪い足りないのか」
直後、懐夢の背中から蒸気のような白い煙が上がり始めた。しかし、それを蒸気や煙だと思える者はこの場におらず、懐夢の身体の異変を見て、一同は身構える。
「懐夢!?」
懐夢から溢れ出す煙のようなオーラ、そして懐夢から感じられる気を受けて、映姫が驚きの声を上げる。
「これは……<黒獣>の気!?」
懐夢はかっと口を開いた。
「まだ、奪うのかぁぁぁ―――――――――――ッ!!!」
懐夢の悲鳴にも、怒号にも似た声が発せられると、懐夢の身体は猛烈な白い閃光を放ち、辺りを包み込んだ。
あまりに強い光に一同は目を腕で覆い隠して、耐え凌ぐ。そして光が弱くなって、目の前が見られるようになったところで、一同は驚きのあまり言葉を失った。
全身の大部分の肌が雪のような真っ白い色に、腕と脚が真っ黒い色に変色し、身体のところどころに刺々しい形の蒼い模様と、白い朝顔の形をした模様が出現し、解かれた黒い髪の毛は尻に届くくらいにまで長くなり、眼窩に座する藍色の瞳はそれと同じ色の光を放つ球体と化し、目つきそのものが獣のそれのように釣った形に変わっており、背中からは親指を失った人の掌を巨大化させたような形で、指に該当する部分がまるで蛇の頭のような形になっている、白くて巨大な異形が翼のように生えており、尻の付近からはあるはずのない太い尻尾が生え、肩、膝、肘、そして頭からは懐夢が普段放つスペルカード、「霊符「夢想封槍」」によって出現する光槍によく似た角が突き出ている、完全なる異形に、懐夢の姿は変わっていた。
ふー、ふー、と音を立てて呼吸をする変わり果てた友人の姿に、魔理沙が呟く。
「か、懐夢……」
幽々子が口元を覆う。
「な、何なの、これは……」
「<白獣>、です」
突然聞こえてきた声に一同は驚き、異形となった懐夢の方を見直した。いつの間にか、懐夢の背後には霊夢の中に宿っているとされる『花』の『化身』が姿を現していた。その姿は相変わらず、自分達が幻想郷を護るために倒そうと考えている博麗霊夢と同じ形だった。
慧音が『花』の『化身』に叫ぶように声をかける。
「<黒服>、一体どういう事だ、これは!」
『化身』は微笑みながら腕を小さく広げた。
「<黒獣>は、人や妖怪が抱く強い負の感情によって発生する……というのはご存知ですよね」
紗琉雫が弩を『化身』に向ける。
「わかってるよそれくらいの事は。そんで、その原因を作るのはお前なんだってな」
『化身』はふふっと笑う。
「物わかりがよくて結構です。では、負の逆である正の強い感情を抱いたら、どうなるかを考えた事はありますか?」
白蓮が驚いたような顔になる。
「正の感情……ですって」
「えぇそうです。負の逆は正、正の逆は負というでしょう」
妖夢が刀を抜き、身構える。
「何が言いたい!」
『化身』は幽々子に目を向けた。
「幽々子、貴方は懐夢のこの姿を見て、なにこれと思いましたよね。その答えをお教えします。
この子は、正の感情と負の感情の両方で<黒獣>になったのです」
幽々子が驚き、紫が口をはさむ。
「正の感情と負の感情の両方で、<黒獣>になった……?」
「今までの<黒獣>は全て、純粋な負の感情によって生まれていました。当然、この子の中にも大きな負の感情がありました。愛する者を、大事なものをいくつも奪おうとする貴方達への憎悪という大きな負の感情が。
でもそれと同時に、この子の中には大きな正の感情もあったのです。自分の事を愛してくれた霊夢を愛し、守りたいという大きくて穏やかな正の感情が」
『化身』は胸の前でそっと手を組んだ。
「これら二つが混ざり合い、この子は<黒獣>へと変化いたしました。本来ならば生まれるはずのない、正と負、両方の感情を抱く<黒獣>に。いいえ、これはもう<黒獣>と呼ぶべきではないかもしれません。もはや、<黒獣>のようで<黒獣>ではない、<白獣>と呼ぶべき存在でしょう」
リグルが口をぱくぱくさせながら、呟く。
「ま……<白獣>……?」
『化身』は傍らに立つ<白獣>に目を向ける。
「この子の力は未知数です。正と負という反発し合うはずの力を持っているせいで弱体化しているか、それとも両方の力が足し合わされた強力な破壊力を会得しているか、わたしにもわかりません。
ですが元よりこの子は幻想郷最強の存在である博麗の巫女と同じ力を持つ存在……弱体化していたとしても、仙人や妖怪よりは遥かに強い……」
『化身』はそっと、<白獣>の身体を背後から抱き締めた。
「さぁ懐夢。あの人達は貴方の大事な霊夢を狙っています。あの人達を放っておいたら、ご両親の時と同じように、貴方は大切なものを失ってしまいます。
もう貴方は無力な子ではないのです。だから、霊夢を守るために戦う事だって出来る……」
『化身』は<白獣>となった懐夢の頭に手を乗せた。
「貴方はもう戦える。貴方はもう弱くない、寧ろとても強い。だから、あの人達と戦ったとしても、きっと貴方なら勝てるわ。
霊夢を守れるわ……大丈夫だから」
『化身』は<白獣>の頭を優しく、そっと撫でた。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
おまじないを受けた<白獣>はかっと目を開き、目線を目の前にいる、大事なものを奪おうとする者達に向けた。
<白獣>より視線を受ける一同は身構えながらも、震えた。
その内の一人である魔理沙が呟く。
「まさか……懐夢と戦うのかよ……」
幽香が少し笑みを浮かべる。
「懐夢とは戦わないつもりだったのだけれど……こうなったなら仕方がないわね」
『化身』は<白獣>の身体を離した。
「さぁ、御行きなさい懐夢。大切なものを守る戦いの始まりですよ」
<白獣>はがうっと吼えて、背中の異形の掌で羽ばたき、目の前にいる一同へと向かった。