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東方幻双夢  作者: クシャルト
邂逅編 第壱章 流れ着いた半妖
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第一話

「霊夢ー! 早くー!」


 雪が降り積もって、冬の匂いが風に乗って広がる雪原を歩く私から見て少し前のところで、一人の男の子が手を振っている。男の子は白い巫女服に似てる服を着て、女の子のように伸ばした長い黒髪を一本結びにしてるっていう男の子としては変わった髪型をして、藍色の瞳を持つ特徴的な子。


「待ちなさいー」


 機嫌よさそうに言って、私はその子を追いかけるように歩みを進める。男の子との距離が縮まると、男の子はくるりと雪原の奥に身体を向け、走り出す。もう歩くだけじゃあの子に追いつく事は出来ない。


「待ちなさいって!」


 得意げに笑むと、男の子のように私もまた走り出した。雪は結構積もっていて、ちょっと気を緩めただけで足を取られて転びそうになるが、私は大して気にしようとせずに、男の子の後を追って走った。男の子はあまり速く走ろうとは考えていなかったのか、距離がぐんぐんと縮まっていく。そして走り出してからわずか数秒程度で、男の子のすぐ後ろに追いついた。男の子は気付いていないのか、じっと前を見たまま走り続けている。今背中に手を当てられたら、それは驚く事だろう。


「追いついた……あっ」


 男の子の背中に両手で触れた瞬間、足が雪に引っかかり、つんのめった。ぐらりと身体が前のめりになり、真っ白な雪で視界が埋まる。転ばないように何とか踏みとどまろうしたけれど、全く無意味で、私の身体は冷たい雪の中に飛び込んだ。

 ぼふっという柔らかい音が聞こえて、全身に雪の冷たさが走ったかと思えば、近くでもう一度ぼふっという音が聞こえた。雪の中から顔を上げて、首を横に何度も振って顔にこびり付いた雪を払い落としてから、周囲を見渡した。さっきまで追いかけていた男の子の姿がどこにもない。


「あれ?」


 どこいったのかなと思いきや、すぐ目の前で男の子が身体を起こした。私と一緒に転んでしまったんだ。男の子は私に顔を向けて、不機嫌そうな表情を浮かべる。


「もう、どついて転ばせる必要ないじゃない。服の中に雪が入っちゃったよ」


「貴方が急に走り出すからよ。でも、巻き込んじゃったわね。ごめん」


 男の子の顔を見た途端、思わず吹き出した。男の子の顔と髪の毛の至る所に雪がくっついていて、肌色と黒色と合わさって斑模様になっていた。それを見た途端、瞬く間に笑いが込み上げて来て、耐えようとしても耐え切れず、お腹を抱えて大笑いした。


「ちょ、何でいきなり笑うの?」


「だって貴方ったら、顔が、斑模様になってるんだもん」


 男の子は吃驚して自分の顔を頻りに触ったが、そのすぐ後に私の顔に目を向けてきて、指を差した。


「っていうけど、霊夢だって同じような事になってる」


「えぇっ!?」


 顔を触ってみたら、ぼろぼろと雪が落ちるのを感じた。顔を振った時に墜ちたと思っていたけれど、全くと言っていいほど雪は落ちずに私の顔にへばり付いていた。

 思わず本当だと言って、男の子と顔を合わせると、もう一度笑いが込み上げて来て、私は大きな声を出して笑った。男の子もそれに触発されたのか、とても大きな声で笑い出した。私達の声が誰もいない雪原に木霊する中、私は途中で笑うのをやめて、目の前で笑い続けている男の子を見つめた。

 男の子は視線を感じたのか、笑うのをやめて、私と目を合わせた。


「どうしたの?」


「ちょっと、こっち来てくれる?」


 手招きすると、男の子はゆっくりと私に寄ってきた。男の子がすぐ目の前まで来たところで、私はそっと男の子の身体に差し伸べて、すっぽりと抱き締めた。


「霊夢?」


 私はどれだけこの子に助けられただろう。

 こんなふうに誰かを抱き締めたり、さっきみたいにおいかけっこをしたり、大笑いしたりするのは、あの時、あの日までの私ではあり得なかった。


「何でもないわ。ただ、貴方と出会った時もこんな日だったなって思ってね」


「そういえばそうだったね。あの時もこんなふうに雪が降ってて」


「そうそう。それから、とても色んな事があったわね。」


 本当に、色んな事があった。あの日から、あの時から、本当に、色々な事が起きた―――。






            *






 目覚まし時計が鳴った。

 音を止めて文字盤を見てみたところ、針は八時三十分を差していた。


「……朝か」


 呟いて身体を起こした直後、凄まじい冷気と寒気が包み込んだ。

 霊夢は身震いし、一瞬の間に布団の中に戻り、愚痴を零した。


「寒いッ……なんでこんなに寒いのよ……」


 霊夢は布団を被ったまま考えた。

 正直言って寒くて動きたくない。今日も特にこれと言った予定もないし、比較的暖かくなる昼までこうして寝ていようか。


「……寝ていよ」


 霊夢は呟くと瞳を閉じた。が、すぐにその瞳を開けてある事を思い出した。

 賽銭箱の中の賽銭だ。

 霊夢は毎朝起きると賽銭箱の中を確認するのが日課で、いかなる日も賽銭箱の中身を確認しなければ、一日が始まった気が起きない。……まぁ大概賽銭箱の中が銭や札で満たされている事などなく空っぽなのだが、それでも一度は確認しなければ気が済まない。


「寒いけど……見に行くか」


 霊夢は布団を被ったまま立ち上がり、廊下に出た。廊下は戸を閉めてあるため、床が雪で濡れる事は無い。しかしこの寒さにより、廊下の床もかなり冷たくなっており、足が床に触れる度悪寒のような寒さが体を突き抜けてきた。まるで、氷の上を歩いているようだった。

 やがて神社の出入り口前まで来ると、霊夢は戸を開けた。一面雪景色が広がっていた。


「……博麗神社の雪化粧……か」


 博麗神社とは、幻想郷の最東端の高い丘の上に建っている神社の事だ。

 しかし、決して神を祀っているだけのただの神社ではない。博麗神社、というよりもそこに住まう巫女にはある重要な役目がある。

 それは『幻想郷の境界』として、幻想郷と外の世界を隔てる大結界、『博麗大結界』を見張るという重大なもので、代々博麗の巫女と呼ばれる巫女がここに住みながら、結界の管理を担当しているのだ。その博麗神社を今現在経営し、博麗大結界を管理している巫女こそが霊夢である。

 霊夢は博麗大結界の保持と管理をしながらも幻想郷に度々起こる異変の解決や妖怪退治などもやっており、幻想郷では比較的知れ渡っている、十七歳の少女だ。

 霊夢は辺り一面に広がる雪景色を見ながら、深呼吸をした。冷え切った空気が体の中へ入り込んできて、鳥肌を立たせて震え上がった。


「寒い!なんでこんなに寒いのよ……冬だからって容赦なさすぎでしょ……」


 霊夢は震えながら、目の前に広がる真っ白な雪景色を愚痴を溢しながら見つめたが、どんなに愚痴を溢してもその寒さは止むことはなく、雪も消える事はなかった。

 入り口への階段を下り、そこにある普段履く靴とは違う、厚めの草履を履き、雪を被った賽銭箱へ近付き、覆い被さる雪を払って中を確認した。中は予想通り空で、銭はなかった。参拝客がいない証拠だ。


 考えてみれば、当然の事だ。この神社には鬼の伊吹萃香や隙間妖怪の八雲紫などといった人から見れば凶悪極まりない妖怪達が度々来る。そんな神社の賽銭箱に賽銭を投げ入れる者などそうそういない。いるとすればそれは相当な物好きだろう。


「はぁ~……ただで寒いのに、こんなことしかないなんて……って……ん?」


 霊夢は溜息を吐くと、ある事に気付いた。……賽銭箱の横の雪が妙に盛り上がっている。まるで下に何か物があり、それを覆うように積もっているような、不自然な盛り上がり方だ。


「変な盛り上がり方をしてるわねこの雪。下に何かあるのかしら……」


 霊夢は盛り上がる雪に近付いて屈むと雪を手で振り払った。

 勿論その時、かなりの冷たさを感じたが霊夢は気にせずに雪を払いのけた。


「あ、見えてきた……え?」


 霊夢は雪を払い除け、雪の下にあったものを見るなり驚いて立ち上がり、被っていた布団を落とした。


 雪の中から出てきたもの。それは人だった。しかもそれは大人ではなく、九歳くらいの歳の子供だった。


「遺体……かしら」


 この寒さの中、厚い雪の下に埋まっていたのだ。生きているはずがない。これは間違いなく、死体だろう。


「はぁ……お賽銭じゃなくて子供の遺体か」


 この死体、どうするべきだろうか。

 こんなところにあるのだ、放っては置けない。

 何かで包み、街に運んで行って火葬してもらおうか。


 そう思いながら屈みこみ、死体を眺めた。

 ……何かがあって神社まで来て、力尽き、雪の下に埋もれたのだろう。身体には雪がこびり付いているが、顔は比較的綺麗だった。立ちはどこか女の子に似ているが、よく見れば男の子だとわかる整った顔立ちだ。

 血の気のない真っ白な肌と顔色を見ながら、霊夢は顔を顰めた。


「可哀想にねぇ……こんな小さいのに……」


 うつ伏せになって倒れ、顔を左に向けている少年の口は微かに開いていた。口が開いてはいるものの、呼吸している様子は見られない。

 霊夢は真っ白い少年の顔を一通り見ると、身体の方を見た。

 やはり、動いていない。


「やれやれ仕方ない。死体なんか、触りたくないけれど……」


 霊夢は死体に手を伸ばし、背中に軽く触れた。


「……げほっ!!」


 こびりついていた雪に触り、冷たさを感じたその時、死体が突然びくんと動き、開いていた口から思い切り空気を出した。

 霊夢はその場に尻餅をついた。


「え……え!?」


 突然、死体が動き出したように見えたが、いったい何が起きたのだろうか。

 と思っていたその時、霊夢は自分の目を疑った。……死体にこびりついていた雪が、見る見るうちに溶け始めたではないか。


「ゆ、雪が溶けてる……いったい何が……!?」


 その時、ある事に気付いた。――少年の背の辺りが、膨らんだり縮んだりを繰り返しているような気がする。

 霊夢は一瞬目の錯覚かと思って目を擦って改めて少年の背の辺りを見た。

 少年の背は、確かに膨らんだり縮んだりを繰り返している。

 霊夢はそっと少年の口元に顔を近付けた。頬の辺りに息がかかった。


「……生きてる!!?」


 怒鳴るや否、霊夢は少年の顔をぱしぱしと叩いた。


「ちょっと、貴方! 大丈夫!?」


 顔を叩いた後、身体を揺すったが、少年は全くと言っていいほど動かない。

 けれど、確かに呼吸しているし、首元に手を当てれば、脈打っている。

 霊夢は少年の体に手を伸ばし、そのまま少年を抱き上げた。ぐったりとはしているものの、軽い体だった。


「って……あれ?」


 その時、手に温もりを感じた。雪の中に埋まっていたというのに、少年の身体は冷たくなく、むしろとても暖かいのだ。

 しかし霊夢は深く考えず、そのまま寝室へ走った。


 霊夢は少年を寝室に運び込み、着替えさせて、布団に寝かせた。

 その時に、雪に埋まっていて冷たくなっていた少年が熱を出している事に感付いて、驚きながらも何とかしようと冷水とタオルを用意。冷水を含ませたタオルを少年の額に乗せてあげた。そうすると、少年の少し来るそうな顔は徐々に穏やかなものへと変わっていった。


「一体この子は……」


 少年を見ながらつぶやいたその時、少年が小さな声を出して、ゆっくりと瞳を開けた。霊夢はぴくりと反応し、少年に声をかける。


「気が付いた?」


 少年の瞳はゆっくりと動き、辺りを見回すと少年は小さく「ここは……?」と呟いた。その時に、霊夢は少し驚いた。少年の瞳の色が左右非対称で、右が紅、左が藍色だった。

 霊夢は少年に声をかけた。


「博麗神社よ。貴方、熱を出して神社の前に倒れてたのよ。雪の中に埋まりながらね」


 直後、少年は突然何かに気付いたように表情を変え、体を起こして叫んだ。


「そうだ! おかあさんッ!!」


 霊夢は驚き、動こうとした少年の体を抑えて、怒鳴った。


「よしなさい! 貴方、今熱があるのよ! 動いては駄目よ!」


 少年は暴れながら怒鳴った。


「でも!おかあさんの匂いがしたんだ! ここから、おかあさんの匂いが……!」


 その時、少年は突然ぴたりと動きを止めて黙り込んだ。

 霊夢はきょとんとしてしまい、しばらくした後、霊夢は恐る恐る少年へ声をかけた。


「……どうしたの?」


 動きが突然止まった少年に声をかけると、少年はゆっくりと霊夢の方を向き、霊夢に顔を近付けて、霊夢の匂いを嗅ぎ取るような仕草をし、その表情をやがて唖然としたようなものに変えた。


「え………おかあさんと……同じ匂い……どうして……おかあさんと同じ匂いがするの……?」


「え?」


 霊夢は少年の言葉を聞いてまたきょとんとした。

 直後、少年は突如大きな声を出して泣き出し、霊夢は吃驚した。


(何で泣くの?私、何か悪い事したかな?)


 霊夢は声を上げて泣く少年をただ、見つめた。



      *



 少年は約五分ほど泣き続けて、泣き止んだ。霊夢は少年が泣き止んだのを確認すると、少し微笑みながら少年に声をかけた。


「落ち着いた?」


 少年は霊夢を見てゆっくりと頷き、やがて霊夢に礼を言った。


「……助けてくれてありがとうございました」


 霊夢は「いいのよ」と軽く手を振り、少年にあることを尋ねた。


「ところで貴方、どこの子? 街の子よね?」


 少年は首を横に振って黙った。霊夢はこれは駄目だなと思い、話を替えた。


「私は博麗霊夢。ここ博麗神社の巫女、所謂博麗の巫女よ」


 霊夢の名を聞いた少年はきょとんとし、霊夢に尋ねた。


「え? 博麗の巫女? お姉さんが」


「霊夢よ」


「あ、失礼しました。霊夢さんが、博麗の巫女?」


 霊夢は「そうよ」と答えた。それを聞いた少年は再びきょとんとし、そのまま動かなくなってしまった。霊夢は硬直した少年を首を傾げながら見て、声をかけた。


「ん? ぼく? どうしたのかしら?」


 少年はハッとした。


「……すいません。まさか博麗の巫女さんに会うなんて思ってなかったんです。それで思わず吃驚(びっくり)しちゃって。

 僕は百詠懐夢(びゃくえい かいむ)っていいます。……半妖です」


 霊夢は早速、問いをかけた。


「それで、何で私に吃驚したの? もしかして私のファンか何か?」


 懐夢は首を横に振った。


「いいえ、特に何もありません」


 その直後、懐夢は自らの体を気にし始めた。


「ってあれ……この服は……?」


 霊夢は懐夢に説明を施した。


「その服はうちの箪笥の中にあったやつ。貴方に丁度良さそうだったから、着せたわよ。だって貴方布キレみたいな服を着ていたんだもの。あんなの来てたんじゃ風邪引くわよ。外寒いしね」


 霊夢が言うと懐夢は自分の服を軽く見て、霊夢に「ありがとうございます」と礼を言うと、布団から体を出して立ち上がった。

 その姿を見た霊夢は酷く驚き、懐夢に声をかけた。


「ちょ……ちょっと貴方! 貴方熱があるのよ! 安静にしてなきゃ駄目よ」


 懐夢は不思議そうに首を傾げた。


「え? 熱? 熱なんてありません」


 霊夢はそんな馬鹿なと思った。

 懐夢の額に熱冷ましの布を乗せてから数分しか経っていない。こんな短時間で熱が引くはずなど、まずない。

 霊夢は実際に確かめようと懐夢に近付き、懐夢の額に手を当てた。やがて懐夢の額から手を離すと、懐夢の言っていることが本当であることを霊夢は理解した。……懐夢の額が熱くなくなっている。


(なんで?あんなに熱があったのに……何もなくなってる……?)


「……霊夢さん?」


 霊夢は懐夢に呼びかけられてハッとし、懐夢に苦笑した。


「……あ、あぁいえ、なんでもないわ。熱無いなら……それでいいわ。さてと懐夢。動けるんなら、街に行くわよ」


「え、何で?」


「街に、子供に寺子屋で教えを説いてる友人がいるのよ。その人に貴方の事について相談に行くのよ。そこでなら、貴方も自分の事を話せると思うし。ほら、さっさと支度しなさい」




          *




 霊夢は懐夢を連れて博麗神社を出て、そのまま神社の階段を下りて林道へ入り、林の中を進み、幻想郷で最も規模の大きい『街』に辿り着いた。

 先程よりも活気に満ち溢れて行き交う人々、店の前で大声を出して客寄せに勤しんでいる人々で賑わう街の中を抜けて、二人は街の子供達が通う寺子屋の前に辿り着き、中に入り込んだ。

 木と墨汁と紙の匂いがうっすらと漂う木造の校舎に懐夢はきょろきょろとし、霊夢が奥に向けてこの寺子屋の教師の名を呼ぼうとした直後、物音を聞き入れたのか、寺子屋の教室より、寺子屋の学童が六人ほどやってきた。


「あ、巫女さんだ!」


 学童達のうち一人の女児が霊夢を指差して言った。

 幾多の異変の解決や悪さをする妖怪の退治をしている霊夢の名は頼もしい存在として街の子供達にも知れ渡っている。いわば、有名人だ。

 霊夢は女児に声をかけられるなり子供達に微笑んで軽く手を振ったが、学童達はそのすぐ後に、霊夢の隣にいる懐夢に気付き、霊夢に尋ねた。


「あれ、この男の子は?」


「神社の雪の中に埋まってた子よ。どこの生まれでどこの育ちなのかわからなくて困ってるのよ。それで今回この子の今後について相談するために貴方達の先生である慧音に用があってきたの」


 子供達はあまり霊夢と懐夢の事情をよく理解せず、懐夢に近付き、声をかけた。


「おいお前、名前なんていうんだ?」


 懐夢はしどろもどろしながら答えた。


「え……あ、懐夢だよ。百詠懐夢」


 それを聞いた子供達は「よろしく!」と懐夢に暖かく当たり、話しを始めた。様子を見るに子供達は懐夢と早速と友達になろうとしているようだ。その時、子供達の騒ぐ声を聞いたのか、蒼と白を基調としたい服を身に纏い、青白い長い髪を棚引かせた女性が寺子屋の奥より姿を現した。

 この女性こそが寺子屋の管理者であり、教師である『上白沢慧音(かみしろさわ けいね)』だ。かつて大きな異変があった時に、異変の解決に向かった霊夢の目の前に立ちふさがった事があるが、今となっては霊夢の良き友人の一人だ。

 霊夢は慧音がやってきたのを確認すると、子供達と話している懐夢をその場において、慧音の目の前まで歩みを進めた。

 慧音は腕組をして、やってきた霊夢に用件を尋ねた。


「お前か。もうすぐ授業が始まる時刻なのだが、何の用だ?」


「ちょっと相談があってね。あの子の事なんだけど」


 尋ねられた霊夢は懐夢を指差して懐夢から聞いたことを全て慧音に話した。

 慧音はそれを一通り聞くなり全てを理解して、答えた。


「はぁ? 神社の雪の中から出てきた子供だと?」


 霊夢は頷いた。


「そうなのよ。どこの出身なのか、教えてくれなくて困ってるのよ。慧音、あの子に心当たりない?」


「知らないなぁ……ところで、あの子供の性別はどっちだ?」


「男の子。女の子っぽい顔してるけどね」


 慧音は「ふぅん」と言った後、腕組みをして眉を寄せた。


「しかし、雪の中から出てきたというのはどういう事だ?」 


「そのまんまよ。あの子が雪の中に埋もれてたの。そんで、掘り出したら生きてたから、介抱したの」


「そうか。だが……あまりよくない目に遭ったのだけは、わかるな」


 霊夢はきょとんとした。


「え、そうなの」


「疎い奴だな。子供が雪の中から見つかる事が、お前は普通だと思うのか」


「思わない」


「そうだろ。あの子は何らかの事件に巻き込まれたかして、お前の神社にやって来たんだ。しかしまぁ、雪の中に埋もれていたというのに、生きていたのはすごいな。よく窒息死しなかったものだ」


 霊夢は思わず眉を寄せた。実は雪の中から掘り出した時には呼吸が止まっていたけど、触ったら息を吹き返したなどという事は口が裂けても言えない。いや、言ったとしても多分「何をおかしなことを言ってる」と罵られるだけだ。ここは、黙っておこう。


「まぁ何れにせよ、まずは彼から話を聞かなければ。今後についてはそれからだ」


「頼むわね。私が知ってる中で子供に対する面倒見がいいのはあんたと幽香くらいだからさ」


「あぁ。何とか話し合ってみるよ」


「おっけ。後は頼んだわよ」


 霊夢が笑顔で答えた直後、子供達が慧音の元に懐夢を連れてやってきて、慧音に声をかけた。


「先生、懐夢すげえよ!!」


「懐夢の何がすごいんだ?」


 子供達曰く、懐夢に自分達の匂いを嗅がせてみたところ、自分達の家の材質や状況などをぴたりと当ててきたという。

 慧音は子供達の話を聞くなり懐夢のそれに興味を持ち、懐夢に話しかけた。


「ほほぉ。では懐夢、私からは何の匂いがするかな? 当ててごらん」


 懐夢は慧音の指示通り、慧音の体に鼻を近付けて鼻をくんくんと鳴らし、匂いを嗅ぎ取ると、答えた。


「これは……古い紙の匂い……本が沢山ある家……?」


 慧音は驚いた。


「おぉ見事正解だ。確かに私の家は本で溢れかえっているよ」


 霊夢は懐夢が子供達や慧音と楽しげに話しているのを見て、霊夢は「もう大丈夫だ」と安心して、子供達、慧音、懐夢に見つからないように寺子屋を出て出入り口の戸を閉め、神社へ戻っていった。




        *




「んん~。やっぱり寒い日は炬燵に入ってじっとしてるのが一番よね」


 霊夢は炬燵の温もりを全身に浴びながらごろんと横になって頭を座布団の上に乗せた。

 冬の間はこうしているに限る。落ち葉を掃く必要もなければ、雪を退ける必要もないのだから、一日中ごろごろしていられる。


 そう思ったその次の瞬間、霊夢の頭の中をあるものが横切った。


 それは先程慧音の元に預けてきた懐夢だった。

 何故懐夢の事を思い出したのか霊夢は理解できなかったが、そのまま考え始めた。


(懐夢は、慧音とうまくやっていけるのかしら)


 ほんの一瞬だが、懐夢の事が心配になった。しかしそれはすぐに霊夢の心から姿を消した。

 懐夢を預かったのは寺子屋の経営者で子供達に勉学を教えているあの慧音だ。慧音ならば懐夢の面倒もちゃんと見れ、寺子屋にて懐夢を勉学へ励ませ、立派な大人に育て上げる事が出来るだろう。

 ……何も心配はあるまい。懐夢はもう大丈夫だ。


 霊夢は大きな欠伸をした。

 炬燵の温もりと心の晴れが一気に眠気へと変わり、襲い掛かってきた。瞼が鉄にでもなってしまったかのように重い。目を閉じたらそのまま眠ってしまいそうだ。


「……暖かいし……雪降ってて掃除も出来ないし……寝るかな……」


 霊夢は炬燵に深く体を潜らせると、そのままゆっくりと瞳を閉じた。


「……ぉーぃ……霊夢ー……」


 どこから来たのか分からない、自分を呼ぶ声が耳の中へ入り込んできた。

 霊夢はふっと目を覚まし、身体を起き上がらせ、目を指で擦りながら声の主を探していると、もう一度自分を呼ぶ声が耳に飛び込んできた。声のする方角を見てみれば、そこは神社の玄関口方面だった。こんな糞寒いというのに物好きな客でも来たのかと霊夢は思うと、炬燵から出て立ち上がり、声の聞こえてきた玄関口方面へと歩き、やがて玄関口に出たところで、霊夢は思わず驚いた。玄関先で待っていたのは、今寺子屋で授業を行っているはずの慧音だった。


「慧音!?」


「すまないな。急に押しかける事になってしまって」


 霊夢は首を振った。


「寺子屋はどうしたのよ。まだ授業があるでしょう?」


「お前と話をするために、切り上げてきた」


 霊夢は腕組みをする。


「私と話をするために?」


 慧音は頷く。


「わかると思うが、懐夢についてだ。その事を報告したくて、来た。まずは彼についての話をしたいのだが、いいか」


「何があったのよ。中に入れるから、話しなさい」


 霊夢は居間に慧音を上がらせて、座布団の上に座らせると、早速用件を尋ねた。


「んで、何かわかった事はあった?」


 慧音は少し悲しそうな顔をした。


「……彼は、孤児だったよ」


「孤児?」


 慧音は頷き、説明を施した。

 懐夢から聞いた話によると、懐夢の父は蛇の妖怪、母は人間で、その二人の息子である懐夢は半妖だそうだ。一家で行商をしていて、旅をしながら暮らしていたらしい。しかしある日、山道で妖怪と人に襲われ、一家共々殺されそうになったになったそうだ。だがその時、懐夢は崖から足を踏み外して、山の斜面を転がり落ち、助かったそうだ。

 山を転がり落ちた後、気付けば懐夢は知らない場所に居て、そのすぐ後に両親の死を覚り、やがて自分の死んでしまうのだと思ったそうだが、その時どこからか母の匂いを感じたという。懐夢は半妖であるからなのか、嗅覚は優れているらしい。

 懐夢はその匂いを嗅いで母が生きていると理解し、その匂いに誘われるまま歩いたそうだ。そして、博麗神社に辿り着いたらしい。


「私に話してくれたのはここまでだ。肝心な出身地については教えてくれなかった」


 霊夢は「えっ」と言って血相を変え、懐夢が目を覚ました時の事を思い出した。

 だからだ。だからあのような反応をしていたのだ。懐夢はどこかの山からここまで、母を探してやってきたのだ。そして博麗神社の前まで来たところで力尽き、雪に埋まり、自分に見つけられたのだ。


(あの子は……父さんと母さんを失って……一人ぼっちで……)


 そう思った途端、頭の中に懐夢の姿が浮かび上がり、胸の中がざわめき始めた。

 懐夢の事が心配だ。どうしてなのかはわからない。普段では考えもしない事が頭と胸の中に満ちて、霊夢は自分の中の落ち着きというものが無くなって行っている事を実感した。

 慧音は続ける。


「あの子は、両親と死別して私達の元へとやって来た。多分帰るところもないのだろう。

 誰かが彼の保護者になる必要がある。彼の年齢は今、九歳だそうだが……九歳の子供がたった一人で生きていくのは難しい」


 霊夢は俯いて、答える。


「当たり前よ。たった九歳の子が一人ぼっちで生きて行けるはずない」


 慧音は霊夢へ視線を向けた。


「だから、私が預かる事にしたんだ」


「あんたが、懐夢を?」


「うむ。私はこれでも沢山の子供達を見ているし、子供の育て方も勉強しているからな。だから……」


 霊夢は胸の中のざわめきが大きくなったのを感じた。

 懐夢は慧音の子になる。慧音は確かに寺子屋の教師をやっているだけあって、子供には慣れているし育てる技術も、知恵もある。だから、懐夢の事も問題なく育てて行けるだろう。懐夢は慧音に育てられ、ちゃんと大人になれる。だが、それを認める事は出来ない。彼を慧音に任せるという事を、呑み込む事が出来ない。普段は何でも呑み込めると言うのに、胸のざわめきが邪魔をして呑み込めない。


「だから、もうお前が気にする必要は」


 慧音に割り込むように、霊夢は言った。


「ねぇ慧音。懐夢は今どこにいるの」


 慧音は首を傾げた。


「懐夢なら私の家に居るよ。さっきも言ったとおり、今後は私が彼の親代わり」


 場所を聞くなり、霊夢は咄嗟に立ち上がって居間から走り去り、玄関で靴を履き、神社の外へと飛び出すと、地面を勢いよく蹴り上げて上空へ舞い上がった。そうしてから、懐夢がいるという慧音の家のある街の方へ目を向けて、霊夢は飛翔した。凍えるような冬の風が身体へ流れ込み、身体が冷たくなったが、霊夢はこれまで感じた事が無い不思議な気持ちに捕らわれて、身体を容赦なく冷やす風を気に出来なかった。

 懐夢と別れた時はなんともなかったが、あの子供が両親を失って神社に辿り着いた孤児であったと聞いてからだ。あの子供の顔をもう一度見たいと思ったのは。どうしてなのかはわからない、どうして、あんな何の変哲もないただの子供にもう一度会いたいと思っているのか、全然分からない。だけど、あの子供の顔をもう一度みたい。もう一度、あの懐夢に会いたい。そんな不思議な衝動に駆られながら、慧音の家へと、霊夢は急いだ。

 街の上空へやってくると、霊夢は急降下し、地面へ近付いたところで速度を落として静かに着地。街行く人々の間を抜けながら、霊夢は慧音の家を目指した。慧音の家には前に行った事がある。その時の記憶によれば慧音の家は寺子屋のすぐ近くだった。ひとまずは寺子屋を目指して歩くのだから、道に迷う事も無いはずだ。

 そんな事を考えながら歩いていると、寺子屋の前に辿り着いた。近くを見てみれば、数件家が立ち並んでいるのが確認出来る。その中に一つだけ、比較的大きな家が一軒だけある。慧音は寺子屋で学童達に勉強を教える教師であると同時に街を守る守護者。だから、他の家と比べて少し豪華な家に住んでいるのだ。この記憶が正しければ、あの比較的大きな家が、慧音の家だ。

 霊夢は大きな家の前までやってくると、表札に目を向けた。慧音の名字である上白沢という名が書かれている。やはり、この家で間違いは無かった。そして、今この家にはあの子供……懐夢がいるはずだ。

 霊夢は何も言わずに入り口の戸を開き、玄関口へ入り込んだ。その時に、鼻へむっと古紙の臭いが流れ込んできたが、霊夢は気にせずに玄関の戸を閉めて、家の中を見回した。まず目の前にはかなり長い廊下が伸びていて、途中で三つほど部屋への入り口がある。他の民家と比べれば、かなり奥行きのある家だった。ここのどこかに懐夢はいるはずだ。

 霊夢はすぅと息を吸うと、懐夢の名を呼んだ。


「懐夢、いるのよね」


 声は家の中に響き渡っていった。しかし、一向に反応が返ってこない。声が届かなかったのか、もしかしたら、家にいないのだろうか。そう思って顔を顰めたその時、廊下に隣接する部屋の一つから、ひょこっと人影が廊下へ飛び出した。その正体は、博麗神社に突如として現れて、慧音から話を聞いた途端に胸の中に姿がちらついて仕方が無かった、百詠懐夢だった。

 懐夢は辺りをちらちらと確認した後に玄関先の方へ顔を向け、霊夢と目を合わせて、驚いたような顔になった。


「あれ、霊夢さん」


 そう言ってから、懐夢は静かにこちらに歩み寄ってきた。その様子を、霊夢は何も言わずに、じっと見つめていたが、懐夢が目の前までやってくると、今朝彼が見せた泣き顔が頭の中に鮮明に映し出されてくるのを感じた。同時に、胸のざわめきも大きくなった。


「懐夢」


「はい?」


「貴方は、今日から慧音と一緒に暮らすそうね」


 懐夢は頷いた。


「そうです。慧音先生が一緒に暮らそうって言ってくれました。だから今日からはここでお世話になります」


 先程思ったとおり、慧音は優秀だ。慧音ならば懐夢を立派な大人に育て上げる事が出来る。だけど、何故かそれを呑みこむ事が出来ない。慧音は、孤児の気持ちが分かるのだろうか。小さい時から一人で暮らしている者の気持ちを理解できるのか。そんな人の下に、この懐夢を置いておきたくない。

 懐夢には確かに養ってくれる人が必要だけど、もっと必要なのは、気持ちを理解してくれる人の方なはず。それに相応しいのは、多分慧音じゃない。


「……それで、貴方はいいの」


 懐夢がきょとんとする。


「え?」


「慧音と一緒に暮らして、それで」


 言いかけたその時、背後から声が聞こえて来た。


「おい、霊夢!」


 振り返ってみると、そこには疲れたように息を切らしている慧音の姿があった。身体が熱くなっているのか、吐かれる息が白くなって見える。


「一体全体、どうしたというのだ。急に懐夢の元に来たりして」


 霊夢はふと思った。今、この場には伝えたい事のある者が揃っている。これほど、丁度いい事はない。


「慧音。さっきの話だけど」


「なんだ」


 霊夢は一呼吸置いて、力強く言った。


「懐夢をあんたが養うっていうの、ちょっと待ってくれるかしら」


 慧音はきょとんとして、首を傾げる。


「なんだと? どういう事だ」


 霊夢は懐夢へ顔を向け直し、ごくりと唾を飲んでから、凛とした声で言った。


「懐夢、貴方は私の神社で、暮らしなさい。

 貴方は、私が養う」


 懐夢は唖然とし、慧音は驚きの声をあげた。


「な、何を言ってるんだ霊夢!」


「そんな事がお前に出来るわけないだろ、とでも言いたそうね」


「当たり前だ! お前はただでさえ人との関わりがないうえに、子供に関する知識や知恵だって持ち合わせていないのだぞ。そんなお前に、出来るわけがないだろう!」


 まさしくそのとおりだと霊夢は思った。自分には子供に関する知識や知恵はないし、これまで誰かと一緒に住んだ事だってない。だから懐夢を養っていけるという保証は何処にもないが、それでも尚懐夢をこのまま慧音に任せようとは思えない。このまま懐夢を慧音に任せたなら、このよくわからない胸のざわめきにずっと苦しめられる。懐夢を慧音から引き取り、神社に住ませたならば、この胸のざわめきは治まり、尚且つその正体を知ることが出来る。そんな気がしてならなかった。


「知識や知恵はこれから身につけるわ」


「これからだと? 遅すぎる」


「えぇ一から学んでいこうものなら遅すぎるわ。だけど、子供に関する知識や知恵に秀でた人ならここに一人いるわ」


 慧音が自らを指差す。


「私か?」


「私は他の人の力は借りたくない主義なんだけど、今回ばかりは無理そうだから言わせてもらうわ」


 霊夢は慧音の方を向き、目を合わせた。


「慧音、私が困ったら、知恵を貸して頂戴」


 慧音は驚愕したような顔になって、目の前の霊夢を見つめた。


「お前、そこまでして……」


 霊夢は何も言わずに慧音を見つめ続けていた。慧音もじっと霊夢を見つめたが、やがて溜め息を吐いて、霊夢に言った。


「わかった。やってみせろ霊夢。ただし、お前ではやはり無理だと感じたり、お前が懐夢を投げ出そうものならば、私が即座に懐夢を引き取る。それでいいな」


 霊夢は頷いた。


「構わないわ」


 慧音は「そうか」と言った後に、懐夢に目を向けた。


「というわけなのだが、いいか懐夢」


 懐夢は首を傾げる。


「いいかって……」


「お前を最初に見つけた霊夢が、お前を引き取りたいと言っている。霊夢はそこそこ信用に足りる相手だから、私はお前を霊夢に引き取らせてもいいと思う」


「え、僕は慧音先生と暮らすんじゃなかったんですか」


 戸惑う懐夢に慧音は近付き、腰を落として目の高さを懐夢と同じにした。


「試しに、だ。試しに霊夢と暮らしてみないか。霊夢と暮らしてみて、お前がこのままでいいと思ったならば霊夢とずっと暮らせばいいし、霊夢との生活が駄目だと思ったならば、霊夢との生活をやめて私のところへ来ればいい。その時、私はお前を引き取ろう」


 慧音は微笑んだ。


「どうする。決めるのはお前だよ懐夢」


 懐夢は少し不安そうな顔をして、慧音と霊夢を交互に見た。そして顔から不安を消して、何かを決めたような顔になって霊夢に近付いた。


「……霊夢さんと、暮らします」


「いいのね?」


 懐夢は頷いた。


「これから、お世話になりますね、霊夢さん」


 霊夢は首を横に振った。


「違うわ。貴方は今日から神社に住むんだから、私を霊夢って呼んで、敬語も使わなくていいのよ。友達と接した時みたいでいいの」


 それを聞いた懐夢は少し驚き、改めて霊夢に言った。


「わかった。それじゃ……これからお世話になるね、霊夢」


「よろしい」


 霊夢は慧音に目を向けた。


「そういうことで、懐夢は私が引き取るから、よろしくね慧音」


 懐夢が慧音に頭を下げる。


「ほんの少しの間でしたが、お世話になりました、慧音先生」


 慧音が立ち上がり、頷く。


「あぁ。何かあったら、来るのだぞ」


 霊夢と懐夢は頷き、慧音の家を出て、街を後にした。そして懐夢にとって新たな家となる博麗神社に、歩みを進めた。

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