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クールな彼女  作者: Satch
4/7

第4話:約束

今回は短めです。

3人で夕食を食べた後、明日は学校もあるしということで、みゅーちゃんは帰ることになった。


「おにぃちゃん送ってあげて」「なんで…」「何か文句あるの?」「…ありません」で、

みゅーちゃんを家まで送っていく事になった。いやもとから送っていくつもりだったけど、

由佳に言われて行くのも癪だったので、抵抗を試みただけ。あっさり玉砕したけどね。


「先輩…わざわざすみませんです」


「ん? 別にいいよ、こんなかわいい娘を、ひとりで帰らせるわけにいかないからね」


「…」


みゅーちゃんはまた耳まで赤くなってるし、まだかわいいと言われると照れくさいらしい。

由佳にかわいいと言っても、当たり前でしょ?おにぃバカ?と蔑んだ目で見るのにさ。


「せ、せんぱい?」


「なに?」


みゅーちゃんは、赤く染まった頬のまま、こちらを見上げて何かを言おうとしている。何この破壊力!


「こ、今度のお、お休みは暇ですか?」


「え…?」


「ああのあの、か、買い物に行くですので…その…」


「ああ、荷物持ちね」


一瞬デートの誘いかと思ったけど、みゅーちゃんみたいなかわいい娘が、俺を誘うわけ無いしね。


「…そ、そうです、はぁ」


えーと、最後のため息は何だろう? 考えても分らないし、まぁいいか。


「任せてよ! 俺のみゅーちゃんの頼みを断る訳無いじゃん!」


やべぇ! 俺「の」みゅーちゃんっていっちまったぁぁぁ。


「俺の…?」


みゅーちゃんはすかさず言い間違いに気付いて、何故かちょっと潤んだ目で俺を見上げる。

そりゃそうだよね、いきなりそんなこと言ったら、変態だよね。


って俺変態だった! じゃあいいのか? いや良くないよ! どないやねん!


「あ…ああ、ごめん、間違った」


「間違い…ですか」


「うん、ごめん」


「…………い、いつかは、せんぱいの美優になるです」


みゅーちゃんは少し考えたあと、ごにょごにょと何か言った。


「え?」


「い、いえ、何でもないです、特別に許すです」


「あ、ありがとう」


なんなんだ、ちょっとした言葉のあやなのに、そんなに嫌だったのかな?


「そ、それより、由佳ちゃんは優しい人ですね」


「うん? なぜ?」


「転校してきた日ですけど、最初は皆面白がって色々聞かれたですが」


「うん」


「緊張して上手く喋れなくて、しかも表情が顔に出ないので、

すぐに潮が引くように周りから人が居なくなったです」


「…うん」


なんだろう、目から汗が出そう…みゅーちゃんもなんとなく泣きそうな感じだし。


「そんなとき由佳ちゃんが声をかけてくれたです」


「ああ、あいつは昔から小動物とか、かわいい物が好きだったからな」


「小動物…私がちっさいって言いたいですか?」


「いやちっさいとは言わないけど、リトルっていうか?」


「同じです…そしてなぜ英語ですか?」


おお! この2重のボケにツッコめるとは、みゅーちゃんなかなかやるな!


「わたしはまだ身長伸びてるですから、そのうち2m超えるです」


「超えねぇよ!」


みゅーちゃんは何故か無い胸を反らして、うまいことボケてやったぞって感じでドヤ顔。に見える。


「その後も、事あるごとに私に気をかけてくれるので、すごく嬉しかったです、それに…」


みゅーちゃんは、ぽぉーっと頬を染めて何故か俺を見つめてる。

背景には百合の花でも咲いていそうな、って、え? まさかそっち系?


「違います…なぜそうなるですか」


心を読んでツッコむという高等技術まで持っているとは、恐るべし!


「先輩、声に出して言ってるです」


「え? あはは」はははは、アホや俺!


「あ…もうそこなので、この辺で…」


「早! あ、でも15分くらい歩いたか」


「はい」


15分歩いたって言ってもゆっくりだったから、急げば10分くらいかな?


「じゃあ、またあした学校で、って学年が違うから会わないか」


「…だったら…会いに行くです」


「え?」


「な、なんでもないです、またお買い物の時にです」


「おう、前日にメールか、由佳に伝言しといてよ」


「えっと…メ、メールするです」


みゅーちゃんは何故か少し逡巡してからそう言った。メアドは昼間に交換済みだ。


「うん、分かったじゃあ…」


「あ…せんぱい」


手を振って帰ろうとすると、みゅーちゃんが寂しげな表情で俺をじっと見る。


「なに?」


「あ…いえ…何でもないです」


そう言ってみゅーちゃんは目をそらした。何かをお願いしようとして諦めた感じだ。

今までもこうして、いろいろ諦めてきたのでは無いか、と思わせる仕草だった。


その時、何故かそうしなきゃいけない気がして、俺はみゅーちゃんの頭をなでなでしてあげた!


「ふにゃ!」


みゅーちゃんは、ビクッと身体を震わせて、今まで出したことがない声をだしてビックリしていた。


「にゃ、にゃにするですか…?」


「えーと…なんとなく?」


そういいながらもまだガシガシと頭を撫ぜていると、みゅーちゃんがモジモジしだした。


「…やっ……んっ………せん…ぱい…?」


「ん?」


みゅーちゃんは少し赤くなった頬と、潤んだ瞳で俺を見上げる。


「…セクハラです」


「ち、ちげーし! サラサラな髪の毛の感触なんて楽しんでねーし!」


みゅーちゃんの頭から手をどけて必死に言い訳しようとしたけど、失敗しました!


「ふふ…冗談です」


あれ? すぐ無表情になったが、今一瞬笑ったように見えた、気のせいだろうか?


「みゅーちゃん今笑ったでしょ?」


「…?」


みゅーちゃんはきょとんとした感じで俺を見ている。


「気のせいか…じゃあ、みゅーちゃんまたあした!」


俺が手を振ると、みゅーちゃんは少し恥ずかしそうに、胸の前で小さく手を振った。


「また…あした…」

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