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クールな彼女  作者: Satch
3/7

第3話:自宅で遭遇

自分の部屋で最近仕入れたDVD(裸の女の人たちが運動会的なことをしているアレなやつ)を見ていると、

部屋の外から妹の由佳の呼ぶ声がする。


「おにぃちゃーん?」


おにいちゃんなんて久しぶりに言われた気がする。呼ばれ慣れないので、背中がムズ痒い。

っていうかいつもならノックもなしに何も言わずに部屋に入って来て、

「なんで何もしてないの!」と意味不明なことを叫びながら逆ギレするのに、今日はどうしたんだろう?


鑑賞中だったDVDを止めてからテレビを消し、部屋のドアを開けると

由佳は露出度の高い部屋着ではなく、余所行きの格好をして立っていた。


「どうした? 出かけるのか?」


「ううん、あのね、友達連れてきたから、おにぃちゃんを紹介しようと思って」


「うん? ああ、そういえば、そんなこと言ってたっけ」


「呼んで来るね」


「ああ」


休日になると由佳は俺の部屋でゴロゴロするのが常なので、友達がいないのかと心配していたところだ。

ドタドタと小柄な女の子の腕を持って、由佳が友達を連れて戻って来た。


「美優ちゃんだよ、かわいいでしょ?」


「みゅーちゃん!」


驚いた事に由佳が連れてきたのは、クールぺったんリトルガールのみゅーちゃんだった。


「せんぱい…? っていうかぺったんは余計です!」


え? 突っ込むのそこだけ? っていうか心を読まれた!?


「おにぃちゃん声に出して言ってるけど、って知り合いだったの?」


「う、うん、ちょっとね」


すると由佳の目がジト目に変わる。


「あやしい…」


「そ、そんなことないよね? みゅーちゃん?」


「…はい、転校初日に職員室に連れてってもらっただけで、胸を触られたりパンツ見られたりしてないです」


いやいやそれもうされたと言ってるのと同じだよね? って胸は触ってないし、パンツは…見たか。


「そうなんだ、おにぃちゃんは変態だけど、基本的に女の子には優しいからね」


まぁ…変態だから別に良いんだけど、身内にまで言われると少し悲しくなるね!


「じゃあ、美優ちゃんどうぞ入って」


「なんで俺の部屋!?」


みゅーちゃんは何の迷いも無く、俺の部屋に入る。って男の部屋に簡単に入るなと言いたい。

いや由佳もいるし、何も起きないけどさ!


「あたし着替えてくるから、美優ちゃんにいたずらしないでよ?」


「するか!」


っていうか心配なら自分の部屋に連れて行けっつうの!


「あのーみゅーちゃん? そんなに見回しても面白いものないよ?」


みゅーちゃんは部屋の中をキョロキョロと興味深そうに見回し、あちこち開けて回る。

いやいや男子の部屋を漁るのはダメなんだからね!


物色するみゅーちゃんをなんとか捕獲しベッドに座らせると、俺もその隣に座る。

するとみゅーちゃんは警戒するように少し距離をとった。なんとなく頬が赤いように見える。


「何もしないから大丈夫だよ?」


「いえ、あんまりせんぱいの近くにいると妊娠するですから」


「しねぇよ!」


みゅーちゃんは終始無表情なので、冗談なのかなんなのかが分かりづらい。


「おまたせ」


由佳が部屋着に着替えてきたが、ぶかぶかのタンクトップとホットパンツといういつもに増して露出度が高い。

ちょっと動くと胸の先や、ホットパンツの隙間からいろいろと見えそうだ! 下着着てないの?

でも実の妹に興奮とかしないから!


「おにぃちゃん、鼻血」


「お、さんきゅう」


いつもはティッシュを渡してくれるだけだが、今日は優しく鼻を拭いてくれる。

呼び名もまだおにぃちゃんのままだし。


「実の妹にこんなえっちな格好させてるですか、やっぱり変態先輩ですね」


みゅーちゃんが少し目を細くして睨んでいる。ように見える。


「嫌がる私をおにぃちゃんが無理矢理…」


由佳は自分で自分を抱くようにして、身体を震わす演技をしている。


「…」


みゅーちゃんがどん引きしているのが手に取るように分かる。って信じるな!


「いやいや、みゅーちゃん、嘘だからね、本気にしないでよ?」


「おにぃちゃんは、なんで必死なの?」


きゅるんと音がしそうな無邪気な表情で、悪魔のようなオーラを纏う。


「…っ! そ、それはおまえが友達に誤解されたままだとまずいと思ってさ、ははは」


我ながら苦しい言い訳だと思ったけど、そもそもなんで妹に弁解する必要があるんだろう?


「そっか、おにぃはやらしいね」


「そこはやさしいと言ってくれ…」


「お二人は仲が良いのですね、私は兄妹がいないのでうらやましいです」


みゅーちゃんはどこか寂しげに見える表情でポツリと言った。


「じゃあ、みゅーちゃんも妹になる? いてぇ!」 


由佳が俺の腕をつねりながら半眼で睨んでいた。


「わ、わたしは妹よりも…」


「え?」


「な、なんでもないです!」


みゅーちゃんは何かごにょごにょ言っていたけど、なんだろう? めっちゃ気になる。



それから3人でゲームをしたり、俺と由佳のアルバムを見たりして過ごした。


「それじゃ、私はそろそろ帰るです」


DVDデッキの時計を見ると午後6時になろうとしていた。


「え? 美優ちゃんご飯たべていきなよ」


「でも…」


みゅーちゃんは少し困ったように両手の指先を付けたり離したりしている。


「そうだよ、俺たち親が海外で居ないから、いつも2人で寂しいしね」


俺がそう言うとみゅーちゃんは、ぱぁっと明るい表情になり、ニコっと笑った。(イメージです)


「そうなんですか? じゃあ…」


「よし、決まりだね!」


そういうと由佳は部屋を出ながら振り向き「おにぃ今日は美優ちゃんいるから裸エプロンは無しね」と

特大の爆弾を投下してドアを閉めた。


「…」


みゅーちゃんはゴミ虫でも見るように俺を見る。


「いや…嘘だからね?」


由佳のやつ! っていうか、みゅーちゃんすぐ信じすぎじゃない? お兄さんは将来が心配です。


「…由佳ちゃんが作るですか?」


「あ、うん、俺も作れなくもないけどね」


「…そうですか」


「…」


「…」


ヤバイ2人になったら緊張して来た!


「せんぱいは…」


「うん?」


「私と話してて楽しいですか?」


みゅーちゃんは真っ直ぐ俺を見ながら、不安そうに瞳を揺らす。


「え? なんで?」


「いままで、友達と呼べる人は居ませんでしたから、私と話すことは楽しくない事なんだと…」


「そう? 俺は楽しいけど? 可愛い娘と話して楽しくないわけがない!」


まぁ俺の持論だが、健全な男子なら普通そうだろう。

例えそれが感情があまり外に出ない娘だったとしても、他のやつは知らないけど、俺は楽しいと感じる事が出来る。


「か、かわいい? わ、私が?」


白い頬がほんのり赤く染まって見える。


「うん、学校でもトップクラスだと思うよ?」


「そ、そんなこと…ないです…よぉ」


みゅーちゃんは耳まで真っ赤になって俯いてしまった。っていうか自覚してなかったのか…。


「へ、変態先輩に言われても嬉しくないです!」


みゅーちゃんは、ちょっと拗ねたように、ぷぃっとそっぽを向く。でも顔はまだ赤いままだった。


うーん、嬉しくないんだからね!って言われたかったなぁ。

ツンデレ彼女は俺の夢なんだよねって、みゅーちゃんは彼女じゃないけどさ。


なんて考え込んでいたら、みゅーちゃんの顔がすぐ近くにありドキっとする。


「せんぱい…怒ったですか?」


「え? なんで?」


「急に静かになったですから」


みゅーちゃんはヒドイ事言う割りに、繊細な性格の持ち主のようだ。


「あ、いや、理想の彼女について考えてただけだからさ」


「り、理想の彼女…ですか?」


「まぁ、些細な夢だけどね」


「…」


何故かみゅーちゃんはじーっと俺の顔を見つめてくる、そんなに見つめられると土下座しちゃいそうだよ。

いや、もしかして眼力で殺そうとしているのか?


「…教えてください」


「え? な、なにを?」


不純異性交遊なら俺が教えてもらいたいくらいだけど?


「り、理想の彼女…」


「へ? そんなの聞いても何の役にも立たないよ?」


「なんの役にも立たないですが、特別におねーさんが聞いてあげるです!」


なんの役にも立たないって強調しなくてもよくね? っていうかなんで上から目線?

それにおねーさんって…年下じゃんか! って3段ツッコミなんて初めてしたよ。


「まぁいいか、簡単に言うとツンデレだよ」


「…っ! ツ、ツンデレです…か、私にはハードルが…」


「え?」


「な、なんでもないです! やっぱり変態さんですね!」


「なぜ!?」


ツンデレ好きは変態ですか?


「ご飯できたよー」


その時、由佳が部屋のドアを開けて顔を出した。


「おう、みゅーちゃん行こう」


「…はい」


「べ、別におにぃちゃんのために作ったんじゃないんだからね!」


「何言ってんだ? あ、おまえ聞いてたろ?」


と由佳の頭に軽くチョップを食らわす。


「えへへ、でもおにぃちゃんにツンツンするのは無理だなー」


「まぁ、いまさら感があるしな」


「私はそういうことを言ってるんじゃないんだけどなー」


「ん?」


「なんでもない」


なんなんだ、みゅーちゃんも由佳も今日は何かを誤魔化している気がする。


「由佳ちゃん」


みゅーちゃんが由佳を連れて俺から少し離れる。


「せんぱいって…」


「うん、おにぃちゃんは…」


何やら2人でコソコソ話しているみたいだが、せんぱいとかおにぃちゃんとかは聞こえて、肝心なとこ聞こえねぇ!

だったら全部聞こえないようにしてくれ、気になって眠れなくなるから!

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