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クールな彼女  作者: Satch
2/7

第2話:変態

第1話で書き忘れ…書ききれなかった主人公についての補足になるので、

セリフは少なめです。

「うぃーす」


いつものように砕けた挨拶をしながら教室に入るが、いつものように挨拶は返って来ない。

何を隠そう、いや隠す必要は無いけど、俺にはクラスに友達がいない。いや隠したほうがいいのか?


理由は1つ、胸を張って言おう、それは変態だから。

いや健全な男子高校生なら普通だと思うが、このクラスは進学クラスだから、

俺みたいな一般人は妙に浮いている存在と言える。


なぜ進学クラスにいるのか?

それは脳内美少女名簿を作っていることでも分かると思うが、記憶力だけが異常に良くて、

教科書は全て暗記してしまっているため、必然的にテストは学年トップクラスになる。


進学希望ではあるが、別に良い大学に行きたい訳じゃないんだけど、

教師達は有名大学合格率を上げたいがためだけに、俺を進学クラスに入れている。という噂だ。

学校のテストだけ良くてもダメだと思うけどね。


朝のHRが終わると、1時間目の授業に向けクラスの空気が張り詰めていく。

その息の詰まる教室を出て、いつものように屋上に向かう。


そしていつものように昼寝だ、教師達はもう諦めて何も言ってこない。

っていうかテストの点だけは良いので、大目に見ているところもあるかも知れない。


そしてどのくらい時間が経ったか分らないが、ふと人の気配を感じた。


「変態先輩…こんなとこにいたですか…」


「ん?」


聞き覚えのある声に、目を開けると、朝廊下でぶつかったあのぺったんこな女子だった。

感情の読み取れない目でじぃっと俺を見下ろしている。


「白か…」


「?」「…っ!」


一瞬何を言われたか分らなかった女子は、自分の位置と俺の位置を見て、慌ててスカートを押さえた。


「見たですね?」


「うん、当然見た! 見えなくても見た、いや見えなかったら見る!」


「しょうがない変態さんですね、最後のは捕まりますよ…?」


彼女は呆れたような顔をして(実際は無表情のままなんだけどそうゆう風に見える)、ため息を吐く。


「それよりどうしたの? なんかあった?」


「いえ…えっと…」


彼女は何故か目を宙にさ迷わせて、おどおどしている、ように見えた。


「あ! たまたま気分転換に屋上に来ただけです…」


「今、あ! って言ったよね?」


「…言ってないです」


すると彼女はわざとらしく、ぺったんこな胸を大きく膨らませて深呼吸をしている。


「えー? 俺を探してたんじゃないの?」


ほとんど冗談で言ったのだが…


「…探してないです、偶然です、たまたまです、教室を覗きに行ったりしてないです」


ものすごい早口なんだけど最後バラしちゃってるよね?

でもこれ以上突っ込んだら、どこかに行ってしまいそうなので、生暖かい目で彼女を見ておく。

まぁ好かれるようなことしてないし、怖いもの見たさで探してたんだろうけどね。


「そっか、だったら邪魔しちゃ悪いし、そろそろ俺行くわ」


「あ…」


彼女はどこか名残惜しげな顔をしている、ように見える。


「ん?」


「…いえ、なんでもないです」


呼び止められるかと思ったんだけど、まぁいっか、とそこであることに気が付いた。


「あ、そうだ!」


「はい!」


表情はあまり変わらないけど、少し嬉しそうに見えるのは、俺の願望だろうか?


「名前、まだ聞いてなかったよね?」


「あ…そうですね、竹中です…竹中美優です」


「みゆちゃんか…じゃあ、『みゅーちゃん』って呼ぶわ」


『ゆ』を小さい『ゅ』で言うのがポイントだ。


「…いきなり慣れなれしいですね」


美優…みゅーちゃんは少しジト目で睨んでいる、ように見える。


「そっかー…じゃあ普通に竹中さ」「せ、先輩がどうしても呼びたいのなら、わ、私は我慢するです」


「う、うん」


なんとなくみゅーちゃんの取り扱いが分ったような気がする。


「変態先輩の名前は」


「ん? ああ、俺は下柳…下柳健二って言うんだ」


「じゃあ、変態先輩と呼ぶです」


名前を聞いた意味は! まぁ変態だから別に良いけどね、いまさら下柳先輩とか背中痒くなりそうだしさ。


「じゃあ、またな」


軽く手を振って屋上を後にする。


「…また…会える…ですか?」


彼女がつぶやいた小さな声は俺には聞こえなかった。





昼休み、いつものように屋上でパンをかじりながら双眼鏡を覗く。

校庭でサッカーをする連中を見るわけでもなく、バードウォッチングでもなく、

言うならば、スクールガールウォッチングだ!

ルは発音せずに言いましょう。では一緒に、スクーガーウォッチング!


午後の体育に向けて、更衣室で着替える女子達を観察する目的をもった、健全なサークルです。

1人しか居ないけどサークルです。


この学校には体育の着替えを行なうための女子専用の更衣室がある。

男子は教室とかその辺で着替えやがれっていう素晴らしい校風ですね。


更衣室は教室や校外から見えない位置に窓があるが、屋上からはしっかり見える。

普段は屋上への扉には鍵が掛けられているが、合鍵を作る夢を見たらなぜか手元に合鍵があった。

白昼夢ってやつだね! いやまぁ作ったんだけど。


2、3年生には、スクーガーウォッチングは知られてしまっているため、

カーテンがキッチリ閉まっているが、1年生はまだ境内にいる鳩のように無警戒だ。


早速窓際で着替えている娘を発見、上下白の下着姿だ、でも胸はぺったんこだ、ってか全体的に小さくない?

双眼鏡を少し上に向けると顔が見えてきた、ってあれはみゅーちゃんじゃん!


やっぱりみゅーちゃんには白が良く似合うなぁってほわーんとしてたら、

みゅーちゃんに話しかけるようにして、近づいて来た娘がいた。


この娘は細すぎず太すぎず、出るとこは出て、出てないところは出てない、って当たり前か、

なんとも美味しそ…こほん、なんともスタイルの良い娘だった。


「って由佳かよ!」


あぶない、妹に欲情するとこだった!


由佳はみゅーちゃんに何かを言いながらカーテンを閉める、カーテンが完全に閉まる瞬間、

あろうことか一瞬こっちを見上げてきた! 見つかった? いや天気でも確認したのか?


なんて思っていると、ポケットで携帯が震える、由佳からメールだ。


-見たかったのなら言ってくれれば、いつでも見せるのに(はぁと)-


「おまえを見るのが目的じゃねぇ! ってかやっぱバレてた!」





午後は巨乳美人の翔子先生の授業を受けつつ、ぼんやりと窓の外の校庭を眺めている。

校庭では1年生の女子が走り高跳びをやっていて、なんとはなしに1人の女の子を目で追っていた。


歩いても走ってもジャンプしてもまったく揺れる気配なしという、ミラクルを連発しているその娘は、

言うまでもなくみゅーちゃんだった。


ふと視線に気付いたのか、こちらを見てから自分で身体を抱くようにして何かつぶやいている。


そこで俺は特殊能力の変態アイを発動する、わけもなく双眼鏡を取り出し口元を確認すると、

「…へんたいせんぱい」と動いていた。まぁ変態は俺にとっては誉め言葉だけどな!


みゅーちゃんの横でモデルのようにポーズをとっていた由佳が、俺が反応しないのを見て口を尖らせていた。


そんな感じでみゅーちゃんを眺めてるうちに授業は終わり、俺は即効で移動する。


行き先は更衣室、体育を終えた女子たちが帰ってくるまえに潜入する。

といっても制服をすーはーする訳でもなく、制服に白濁した何か付けるわけでもない。


俺はそんな変態じゃない! 着替えを間近で覗くだけの健全な変態だ! ツッコミは不要だ!


がやがやと言う感じで女子たちが帰ってきたので、慌ててロッカーに入り準備完了。


「走り高跳びって、やる意味が分んないよねー」


「社会人になって必要なのかよって感じだよねー」


まぁ学校の授業なんて大抵そういうものだと俺は思うけど。

しかし間近で女子たちが着替えてると思うとなにか興奮するよね?


女子達の着替えをロッカーの隙間から堪能していると、俺が隠れているロッカーが急に開けられた。


「…」


「…」


ロッカーを開けたのは、活発そうな少し小柄な女子だった。

数秒見つめ合ったあと無言でロッカーが閉められ、そして…


「キャー!!」


耳をつんざくほどの大声量の悲鳴が響き渡った。


俺は慌てるでもなく普通にロッカーを出ると「やぁ」と爽やかに挨拶、

呆気にとられる女子たちを尻目に、颯爽と更衣室を出ると、慌てて走って逃げる。


更衣室ではひとしきり大騒ぎしたあと、1人の女子が

「あの人知ってる、校内でも有名な変態らしいよ」と語ったと、後で由佳に聞いた。

さすがに由佳も自分の兄だとは言えなかったという。

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