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クールな彼女  作者: Satch
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第1話:遭遇

今回こそクールな女の子を書くぞ!という意気込みで書き始めました。

デレはあるのかな?

いまのところ6話で完結予定。

「…にぃ」

「おにぃ」


「うーん」


「起きて」


「うーん」


「起きろ!」


不意に激しく揺さぶられて目を覚ますと、目の前に愚妹の由佳の顔があった。

お互いの吐息を感じるくらい近いが、いつもの事なので特に動揺する事も無い。


「近いから離れろ…」


「もう! 妹の可愛い顔を間近で見て、思わずニヤけるとか、ちぅしちゃうとかないの?」


「ないな」


確かに兄の目から見ても妹は可愛い部類に入ると思うが、実の妹にちぅとか…ちぅってなんだ?


「うぇーん、おにぃがいじわるする」


「嘘泣きはいいから早く降りてくれ」


妹は現在俺の上にまたがっている。

誤解が無いように解説すると下からベッド、俺、かけ布団、妹の構造となっている。

間にあるかけ布団の役割は重要だ、朝から妹に欲情する変態兄貴の汚名を着せられずに

済んでいるからだ。俺は変態は変態でも健全な?変態だからな!


「そのまま、また寝たらダメだからね」


とか指で俺の鼻をつついてやっと降りてくれた。

そういうのは綺麗なおねぇさんがやってこそ効力を発揮するんだぞ!


ベッドから出てトイレに行こうとしたら、由佳が腕を絡めてきた。


「おにぃ、同伴で洗面所行こう」


「同伴って…どこで覚えてくるんだ?」


「こないだ連ドラでやってた」


うん、意外に大きく柔らかい感触に包まれるけど、妹相手に興奮はしないからね!


「おにぃ、鼻血」


「…ありがとう」


すかさずティッシュを渡してくれるけど、兄貴が鼻血出している事に疑問は無いのか?


2人で仲睦まじく洗面所に…いかない、それよかトイレ! トイレは同伴じゃないよ?


用を足して洗面所に向かうと、由佳は先に歯を磨き始めていた。

洗面所は2人では少し狭いのだが、一緒に磨かないと後で機嫌取るの大変だからな。


「おにぃ、さっきから固いの当たってる」


歯ブラシを口からだし、頬に手を当ててぽぅっと頬赤くしているけど、

当たってるのは肘だから固いのは当たり前だ!


「誤解を招く言い回しをするな!」


と空いた手で由佳の額に軽くチョップをお見舞いすると、チロっと可愛らしく舌をだす。

こういうところは可愛いんだけどね。


って自己紹介がまだだった、俺の名前は、下柳健二、高校2年生だ。

妹の由佳は高校1年生で同じ高校に通っている。


妹の学力ならもっと良い高校に行けたと思うのに、何故か同じ高校に入学してきた。

由佳曰く「おにぃより良い高校に行ったら、肩身狭いかなって思ってぇ」だってさ。泣いていい?


由佳は先に洗顔を終えて洗面所を後にする、流石に2人で同時に洗顔は出来ないからね。

洗顔を終えてリビングに行くと、テーブルには焼きたてのパンと目玉焼き、サラダが並べられてた。


うちは両親が海外で仕事をしている関係で、炊事洗濯は由佳の仕事だ。

洗濯に関しては「おにぃに下着見られり、触られたくない! 恥ずかしいから…」

ということで決まった。


「おにぃ、いつも学校先に行っちゃうけど、今日は待っててよ!」


「はい、はい」


「はい、は1回」


「へい」


「へい、は2回」


「へい、へい、ってなんでだ!」


朝食を食べ終えると、俺の部屋で制服に着替えようとする由佳を自室に押し込んで、制服に着替え、

玄関では2人で押し合いへし合いをして(主に由佳が絡んでくる)ようやく外に出る。


「おはよう」


「由紀ちゃん、おはよう」「由紀、おはよう」


由紀はお隣に住む幼馴染で、由佳と同じ高校1年生だ。そして俺と同じ高校…というか由佳と同じ高校?

兄妹のように育って来たせいもあるのと、由佳と由紀で名前も似てるので、

本当の妹のように思ってる女の子だ。

なので朝、由紀が起こしにきてもあまり嬉しくはない。


「なんか失礼なこと言われてる気がするけど、2人は相変わらず仲良いね」


「そうか? うっとおしいだけ、いてっ!」


おもっきし足踏まれた、由佳さん案外体重あるんだね!


「もっかい踏む?」


「い、いえ、結構です」


そして時々エスパーのように心を読む。


「っていうか、おにぃさっきから口に出して言ってるけど?」


「あははは」


「由紀、笑いすぎ」


由紀はチロっと可愛らしく舌をだす。由佳と由紀はなにげない仕草も似ている。


学校までの道のり(徒歩)は、3人で通学するときはいつもこんな感じだ。



学校に着くと妹2人(本当の妹とそれっぽいの)と別れ校舎2階の教室へ向かう。


階段を上った先の曲がり角に来ると、タッタッタという足音が聞こえた瞬間、

ぶつかると思ったのもつかの間、むにっという感じで何やら柔らかい物体とぶつかった。


「…っ!」


俺はなんとか耐えたが、ぶつかってきた柔らかい物体…女子のほうはその場に尻餅をついた。

すかさずパンツが見えないか確認したが、とっさに手で押さえたようで拝見できなかった。

拝見って拝んだら見せてくれるって語源…じゃないよね?


パンツは見えなかったので顔を確認すると、かなりの美少女だった。

俺の脳内では1年生から3年生までの、全クラスの美少女名簿が高速でめくられて行ったが、

該当者なし! そんなバカな! 俺の美少女名簿は完璧なはず!


「…変態さん」


まてまて落ち着け、もう1度脳内名簿をゆっくりめくるが、該当者なし? なん…だと!


「…そこの変態さん」


こないだ1年生を制覇して、やっと完成した脳内美少女名簿に穴があるなどと誰が認めるというのだ!


「…あほの変態さん」


「え? なに? 今忙しいんだけど?」


ぶつかってきた女の子は無表情でじぃっと見てる。なんか怖い。


「…謝らないのですか?」


「え? っていうかぶつかって来たのそっちだよね?」


「それは謝ります、ですので謝ってください」


えっと…これトンチですか? そういうの苦手なんだけどな。


「えっと…俺、謝るようなことしたかな?」


「私の胸を触ったです」


「は?」


目線を胸に向けると『ぺたーん』と書き文字が入りそうな感じだ!


「えっと…なんていうか、ごめんなさい!」 


「…失礼な変態さんですね」


もし、仮に、万が一、百歩譲って、触ったというか触れた?としても分らないよね!


「…失礼な変態さんですね」


彼女は良く見ると幼い顔立ちで目はパッチリと大きく、身長は150cmあるかどうかという、

高校生というより小学…。

黒髪のツインテールで、残念なぺたーんで、ニーソックスを履いている。絶対領域が眩しい。


「…変態さんに視姦されました」


「違うから! そんなことより、君は何年生?」


「…1年ですけど?」


「なんだ後輩か」


「…急に態度が大きくなりましたね、というか先輩でも進級できるですね」


「うぐぅ!」


痛いところを針で突いてくる、しかし1年生にこんな娘いたかな?


「何組?」


「…」


急に黙り込む後輩女子。


「どうした?」


「職員室はどこですか?」


「どこって…入学してからだいぶ経つと思うけど、まだ覚えてないのか?」


「…今日転校してきましたですから」


「なんだ、そっか、じゃあ連れてってあげるよ」


そうか、そうか、それなら俺の脳内美少女名簿に居なくて当たり前だな。

と手を引いて行こうとしたら手を引っ込められた!


「いきなり手を繋ぐとか、ありえないです…」


「いや、連れて行ってあげようかなと…」


「子供じゃないので、手を引いてもらわなくても大丈夫です」


公然と手を繋ぐチャンスだったのにな。



職員室に着いたがどの先生に言えばいいか分らないので、とりあえず担任のところに行く。


「先生」


「ん? なんだ下柳か…」


「なんだはないでしょう、それよりこの娘…」


と彼女に視線を送る。


「おまえ…遂に幼女誘拐を…」


「違うから! っていうか遂にってなんすか?」


いつかやるだろうみたいな?


「んで、見掛けないその娘は?」


「転校生らしいんすけど…」


「ああ、1年生の転校生が来るという話だったな、

じゃあ俺が担任のとこ連れて行くから、おまえは早く教室行け」


「いぇっさー」


彼女を見ると相変わらずの無表情だが、心なしか心細そうな顔に見えた。


「大丈夫だよ、なんかあれば俺に言えばいい、2年3組にいるから」


と肩をポンと叩くと、肩の力が抜けたようだ、無表情だから読み取りにくいけどな!


「じゃあまたな」


「…また」


彼女は小さな声でそう言った。

序盤で、このまま妹ルートで突き進んでも面白いかもって思ったのは内緒です。

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