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ふたおとの足跡  作者: 藤堂阿弥
第二章
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幕間 2

一応、第三章への場繋ぎと状況説明です(笑)

王室騎士団は、大きく分けて3つの部隊がある。


第一隊は、「近衛」とも呼ばれ、主に王族や要人の警護が主流となる。王宮に配備されるのも彼らで、貴族の子弟が中心の構成となっている。ファミアたち女性騎士の多くがここに所属している。


第二隊は、国境警備の部隊で2年周期の交代となる。これは、ある意味兵役制度に似ていて、身分に関係なく成人男性の義務である。


そして、第三隊。


主に市中警護が任務である彼らは、その構成に身分は問わないで居た。言い換えれば、貴族だろうが平民であろうが同じ扱いをする、ということだ。ここが、ロデオの目指している「騎士団」である。


そして、ここでもお約束のように身分に寄る選民意識が起きるのである。

「全部の貴族がそういう訳ではないけどな」

第三騎士隊の隊長であるカイルは少女に話した。



肝心の中心的人物を逃したとはいえ、資金源の商人(かの変態発言をした人物の一人である)や買い手となっていた貴族が捕まったので、暫くは安全だろうと、紫炎たちと街に出て巡回中の彼に出会ったのだ。

部下を先に返し(隊長ばかりずるいとの声をしっかり無視して)行きつけの食堂に案内した男は苦笑まじりで現状を説明してくれる。


そもそもは少女の素朴な疑問「騎士団の仕事の内容」である。




「この間一緒だったファミアは少数派だな。けれど大多数が『騎士団』は自分たち第一隊の呼称と思っている。…と、いっても第二隊は別だが」

「大方、新人教育にでも使うんだろう?国境警備を通して愛国心を養うとかどうとか」

「大当たりだ。それに身分関係無く『義務』だからな。2年くらい我慢しろって言うのが一般的な考えだ」

柘榴の言葉にカイルは頷いた。


「今の陛下も将軍閣下も実力主義だからな、別に第一隊が貴族でなければいけない、とおっしゃっている訳じゃない。けど、今までの因習とお偉方が煩くってな。まぁ、三隊の連中もお高く留まっている一隊の中で仕事をしたいとは思わない連中だからね」



自分たちが居た世界でも、表立ってではないが身分というものは存在した。とはいえ、この世界ほど確立したものではない。おぼろげに財産や職業などの差別意識に似たようなものだ。一昔前なら兎も角、現代社会において「身分違い」というのは死語に等しい。



「と、いうわけで、お前さんたち三隊に来ないか?」

「どこでどう繋がって『と、言うわけ』になるんだ?」

「今の陛下と将軍閣下が実力主義ってところだな」

紫炎の呆れたような声にカイルはあっさり応じる。

「幼い頃より相応の師について修行をしていた貴族に比べると、どうしても一般人は剣技において劣勢となる。入隊後数年もすれば、桁違いに実力は異なってくるがな」

入隊するときの心構えが違う、とカイルは説明する。ある意味全てを捨てる覚悟の平民と、自身に箔を付けあわよくば王族や上級貴族と繋がりを持とうとするもの。

しかし、入隊の試験はどうしても修練を積み重ねてきた貴族に軍杯があがる。


「だから、三隊は万年人員不足なんだよ」

「俺達は二年も妹を置いて国境に行く気は無い」

「それなら大丈夫だ、俺と閣下の推薦付なら、新人教育なんざ免除できる」

「ほぅ」

にやり、と笑った紫炎にカイルはしまった、という顔をした。

「成る程な。話の元はそこか」

唇の端を上げる紫炎を見て、男は深々と諦めたように息を吐く。

「確かに話を持ってきたのは閣下だ。けれど、悪くないと思ったから俺も賛成したんだぜ?」



ちなみに、二人の会話中、柘榴と二藍は我関せず、といった顔で食事を黙々と続けている。彼らは、ちゃんと自分の立場と役割を理解して行動しているのだ。この場合、紫炎は一番上の「お兄ちゃん」である。



「…雇用条件は?」

「騎士隊名義の一戸建て付、二人とも三隊所属で給料が――」

カイルの出す条件に、二藍がおや?と顔を上げる。彼らが提示する給料がこちらの物価水準で換算すると大企業の重役クラスに値するのだ。少女がそれを口にすると、騎士隊長は妙な表情を浮かべる。

「閣下の言葉をそのまま使うぞ?『彼らに帰る事を諦めさせた以上、国からの保護は当然のことだ』だ、そうだ。意味解るか?」

男の言葉に彼らは顔を見合わせる。エンデルクの言うことは分かる。

諦めたわけではないのだが、危険を冒して探すより、今出来ることを選んだだけなのだ。



「ま、いいさ。貰える物は貰っておこう。邪魔になるものじゃないしな」

「柘榴」

やれやれと笑いながら、紫炎はカイルへと向き直った。

「話はわかった。しかし、三隊の面々はどうなんだ?色々特権を与えられた俺達に反感を持つことはないか?」

「っていうか、少なくとも三隊はお前達…特に紫炎、お前さんに対して腹に一物持つ奴はいねぇよ」

軽く肩をすくめ答える相手に、紫炎は鼻で笑い、柘榴は「ああ、あれか」と爆笑する。

嫌な予感満載の少女は、目の前の男に恐る恐る尋ねた。

「すみません、兄、何をしたんですか?」

ん?と男は少女に視線を向けて、次にゆっくりと唇を上げた。


楽しそうな、悪戯を思いついた少年の顔。


「気にすることは無い。向こうの魔法に踊らされた部下達の目を覚ましてくれただけだ」

「雷を落としただけだ」

怒鳴るとか、怒るとかの比喩ではないことくらい少女にも解った。あの時柘榴が一足先に戻ってきたのはこういう理由だったのかと改めて思い出し、肩を落す。

「大丈夫さ、姫さん。騎士隊は魔法に対する耐性があるからな。それくらいやったところで死にはしねぇよ」

つまり「それくらい」やったんですね。とは、口に出せない二藍であった。







次回も番外です。

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