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ふたおとの足跡  作者: 藤堂阿弥
第二章
26/51

17話 

これで二章が終わります。長かったので二話に分けての掲載になります。

続きは今日中にアップさせていただきます。

王宮の一室。エンデルクの私室で、二藍は図鑑クラスの大きな本を膝に乗せ読みふけっていた。

タイトルは「魔法大全」。主だった魔法陣と、その効果について書かれたもので、上級魔法学院の教科書的存在である。


ことり、と音がして顔を上げるとエドガーの笑顔と目が合う。思わず笑いそうになるのを堪えて、少女は頭を下げた。

二藍の反応に苦笑気味の相手は、お茶請けのケーキを並べる。



「先日からそうだな」

ふと、書類に囲まれたエンデルクが立ち上がると、向かい側のソファへと腰を降ろした。

「エドガーの顔を見るたび、お前も紫炎たちも妙な顔をする。理由を聞いても構わないか?」

自分にもお茶をと侍従に指示をして、男は目の前の少女へと向き直った。呼んでいた本を脇に置いて静かにお茶を嗜んでいた彼女は、ばつが悪そうな顔をする。


「私が紫炎さまにお伺いしたことが、お嬢様の笑いのツボに入ってしまわれたご様子なのです」

「お前が紫炎にした質問?」

ぷくくくくと、少女が妙な笑いをした。怪訝な視線に小さく肩をすくめる。

「変化された後の、お二方のお召し物がどこからでてきたのか、です」

「ああ…」

流石にエンデルクも妙な笑いを浮かべざるを得なかった、彼自身も疑問には思っていたが、割り切って流していたのも事実だ。


「ご質問された時にもお答えしたんですけれど、あれは『条件付け』です」


お茶を口にして、少女は答えた。エンデルクのところで出されるお茶は、自分たちの世界の紅茶に似ていてとても飲みやすい。一度それを口にしたら、大量の茶葉が贈られて来た。

今では、キースの家の食後のお茶の定番となっている。


「元の姿から、人型に変化する時に、流石に裸ではまずい、ということで。まぁ、意味は違いますが、毛皮が服に化けると理解してくださればいいです」

本当はそういうわけではないのだが、口でできる説明ではない、ならば「こういう事」と思っていたほうが解り易い。

「っていうか、まさかエドガーさんの口からそんな質問が出るとは思わなかったものですから。ごめんなさい」

侍従に向って頭を下げると、穏やかな笑いと共に首を横に振られた。






軽いノックの音と共に入ってきたのは、先日関わった第三騎士隊の隊長だった。

「これは、姫君。お会いできて光栄です」

気取った仕草で頭を下げる相手に、少女も立ち上がって笑いながら腰を折る。

「珍しいですね、閣下に御用ですか?」

「兄たちのお供です。王女様にお呼びを受けまして」


いくら二度と御免だ、と騒いだところで王族からの呼び出しを無視するわけにもいかない。呼び出しを掛けられたのは紫炎と柘榴だけだったので、留守番するつもりだったが、王妃が少女も連れてくるようにと言ってきたので付いて来たが肝心の王妃さまが、急な来客で動けなくなってしまったので、こうして時間を潰しているのだった。


「ああ、あのお二方ですか。捕まってしまったんですね。お気の毒に」

面白そうに笑う隊長を見て首をかしげると、少女はエンデルクへと視線を移す。すると、男も同じような表情をしていた。

「あの二人は義姉上に良く似ている。外見もだが、性格もだな」

ああ、ミーハーさんなんですね。そう納得すると、彼女は再びソファに身を沈め淹れなおされたお茶を口にした。



「そうだ、姫君」

持ってきた書類をエンデルクに渡し、ドアに手を掛けた男は満面の笑顔で二藍を振り返る。

「騎士たちが褒めていましたよ。犯人の特徴を掴んだ冷静な判断力と、子供達を護った結界に」


そう言って、居住まいを正し、騎士として最上級の礼を少女にとった。

「貴女の勇気と行動力に、我ら第三隊より心からの感謝と敬意を捧げます」

隊長の行動に慌てる少女を、男達は目を細めて見ていた。

「姫さんを泣かしたら、俺達第三隊がお相手しますからね。覚悟しておいてくださいよ」

笑いながらエンデルクにそういい残し、隊長は去っていった。


残された少女は眉を八の字にして、笑っているエンデルクとエドガーを見上げる。

「カイルに気に入られたようだな。人脈は大切にしておけ。いずれお前達の楯となる」

「いえ、別に楯になっていただかなくてもいいんですけど」

がっくりと肩を落としてソファに身を沈めていると、外から華やかな声が聞こえてきた。その気配に頭を抱えるエンデルクと苦笑するエドガーを少女は不思議そうに見つめる。

「すぐにお解かりになりますよ」

少女の表情に気がついて、エドガーは意味ありげな笑顔をしてみせた。




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