表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/51

サヤカ登場

「ふふふふ……。闇の魔王たちも、随分と必死だねぇ……」

スターダストの夜風に吹かれながら、サヤカは遠くアイアン・ハーツの方角を眺めて呟いた。彼女の瞳には、かつてのライバルたちが放つ強大な魔力の衝突が映っている。

「『闇』だしね。必死にもなるだろうさ……」

隣で、紫光のシェリーが心底面倒くさそうに突っ込みを入れる。彼女は爪を研ぎながら、夜空に漂う不穏な気配を鼻で笑った。

「それだけ奴らは……ミレニアムイヤーってやつに、首までどっぷり浸かって必死なのさ」

「でもさぁ……みんな、私より弱い魔王ばっかり狙ってない? それってズルくない?」

サヤカが頬を膨らませて不満を漏らすと、シェリーは呆れたように肩をすくめた。

「あんたのような面倒くさい奴を、わざわざ正面から相手にしたくないんだろうさ。戦いってのは、より確実で、より楽な道を選ぶのが定石なんだよ。特にあのフードの男みたいなタイプはね」

シェリーは少しだけ目を細め、考え込むように首を傾げた。

「でも、闇の魔王を裏で操っている奴……。あいつは一体、何を目的にこんな大掛かりな茶番を仕掛けてるんだろうねぇ。ただの大魔王の座が欲しいだけには見えないけれど……」

「……そいつに、直接聞いてみればいいじゃないか。案外、しょうもない理由かもしれないよ?」

サヤカの軽薄とも取れる提案に、シェリーは一瞬の間を置いて、フッと口角を上げた。

「……そうだね。それが一番手っ取り早いかもしれない」

「だよね! ……でも、私、このスターダストから出ちゃダメなんでしょ? 街が消えちゃうし……」

サヤカがしょんぼりと肩を落とすと、シェリーは意外な言葉を口にした。

「……少しなら、出てもいいのさ」

「えっ、マジ!? 出ていいの!?」

「ああ。ここには元・闇の魔王(蛾次郎)もいるし、私の結界を少し残しておけば、数時間はもつだろう。……それに、まあ、話は後だ。サヤカ、ついておいで。本物の『魔王の距離感』ってやつを教えてやるよ」

「はーーーい! わかりました、師匠!」

サヤカが威勢よく返事をした、その刹那だった。

隣に立っていたシェリーの膨大な魔力が、まるで最初から存在しなかったかのように、この空域から一瞬にして完全に消失した。

「えっ……マジ!? 師匠、どこ行ったの!?」

サヤカは驚愕して周囲を見渡す。気配すら残っていない。隠密術などというレベルではない。世界の断層に滑り込んだような、完璧な「消失」だった。だが、サヤカはすぐさま目を閉じ、記憶の底にあるシェリーの独特な魔力の波長を必死に手繰り寄せる。

「……見つけた。あっちだね!」

サヤカは全魔力を解放し、一点に向けて空間を跳躍した。

キィィィィィィン!!

爆発的な音と共にサヤカがテレポートした先——そこは、魔導都市アイアン・ハーツの最上層テラスだった。

そこには、異様な光景が広がっていた。

最強魔王キーラ、鉄壁のガン・シールダー、そして魔王を喰らったフードの男。

三人の強者が互いに次の一手を放てぬまま、極限の緊張感の中で硬直していた。魔力が絡み合い、誰かが瞬き一つした瞬間に、この街ごと吹き飛ぶような均衡状態。

「……あ、なんか超ピリついてるじゃん。お邪魔おじゃま虫だったかなー?」

サヤカは、その一触即発の魔圧のド真ん中に、平然とした顔で降り立った。

キーラが目を見開き、フードの男が初めて苦々しく舌打ちする。

「サヤカ……! 貴様、何故ここに……っ!」

「え? だって、みんなの喧嘩の声がうるさくて、寝られなかったんだもん♪

それに…フードあんた……

なぜ 必要以上に 私に対し敵意を見せるのか…あんたの正体わかったもんね 」


サヤカはニヤリと笑った。


最強の三人が均衡して動けないその場所で、最も「自由」な魔王が、戦場のパワーバランスを根底からぶち壊そうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ