聖魔王誕生
巨大な六芒星の光が不浄を焼き尽くし、城を覆っていたドス黒い怨嗟が晴れていく。
天窓からは、久方ぶりにメテオの街を優しく照らす本来の月光が差し込んでいた。
「……終わった、のですね」
清兵衛が深く息を吐き、結んだ印を解く。その横では、力を使い果たした真雄と桜花が、式神憑依を解いて清兵衛の裾に寄り添っていた。
メテ王の姿はどこにもなかった。欲望のままに膨れ上がった闇は、彼自身の存在ごと浄化の光の中に霧散したのだ。独裁者が消え、怨嗟が消え、メテオには静寂と、そして本当の意味での「自由」が訪れた。
「清兵衛さん……僕たち、これからどうなるの?」
真雄が不安げに尋ねる。
「真雄くん、桜花ちゃん。あなたたちは今日、この国を救った正統なる『魔王』として覚醒しました。そして……」
清兵衛は、自身の手に宿る『陰陽魔王』としての証、そして双子と共有された魂の刻印を見つめる。
「私たち三人は、一つの意志を持つ『第三の魔王』として、ミレニアムイヤーに行われる大魔王選出の資格を得たのです。サヤカ殿やリュウガ殿と並ぶ、世界の命運を握る候補者として」
「えーっ! 陰陽魔王って、あたしたち三人セットなの!?」
桜花が驚いて声を上げる。
「ええ、そのようです。一人では足りない器を、三人の絆で補う……。これこそが、闇の通信講座には真似できない、本物の魔王の在り方かもしれませんね」
清兵衛は優しく微笑み、二人の頭を撫でた。
しかし、感傷に浸っている時間は短かった。城の外を見れば、まだ闇の魔王が放った亡者たちの爪痕が残り、街の復興には膨大な時間と労力が必要なのは明らかだった。さらに、空の向こうには未だに禍々しい闇の柱が幾本も立ち昇っている。
「清兵衛! 感動の再会中に悪いけど、まだ闇の連中はピンピンしてるぞ!」
ニャ王ま神が、屋根の上から叫ぶ。
「わかっています。……真雄くん、桜花ちゃん。まずはこの国を立て直しましょう。そして、来るべき大魔王選出の日までに、次なる闇の魔王の襲来に備えるのです」
「……うん、やってやるよ! 僕たちがこの国の新しい『映え』を創るんだ!」
「サヤカさんにも、格好いいところ見せなきゃね!」
清兵衛は、双子の頼もしい言葉に頷き、魔導符を天に掲げた。
「陰陽魔王・雨乃清兵衛、並びに双子の魔王・真雄、桜花。……これよりメテオの復興、及び防衛任務を開始します!」
サヤカのスターダスト、リュウガのムーン・サウンド、そして清兵衛たちのメテオ。
三つの勢力が揃い、ミレニアムイヤーを巡る戦いは、闇の十人衆との全面対決へと加速していく——。




