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奇跡のコラボ

「サヤカ…」

シェリーの鋭い声が、スターダストの夜風を切り裂いた。彼女の視線は遥か彼方、かつての故郷であるムーン・サウンドの方角を射抜いている。


「はい……。ムーン・サウンドで、二つの大きな力が…。

一つは完全に消え、もう一つは、今にも消えかけようとしている……」


サヤカの手が、かすかに震えた。魔王としての直感が、かつて自分が統治した街の惨状を伝えてくる。


「おそらく、相打ちといったところだねぇ……。あの街を守っている『後釜』も、相当な無理をしたんだろうさ」


「それじゃ……亜美ちゃんや、ドスコイ・コニチは!? 街のみんなはどうなっちゃうの!?」


サヤカの意識が、一瞬だけムーン・サウンドへと飛んだ。仲間の安否、自分が愛した風景。その心の隙間を、戦場は決して見逃さない。


「サヤカ、後ろっ……!!」


「はっ……!?」

振り返る暇さえなかった。

闇に取り込まれ、理性を失った蛾次郎ブラッディ・ジョーの巨大な拳が、サヤカの腹部を鷲掴みにした。


グワシーーン!!?


「がはっ……っ!!」


音速を超えるスピード。

景色が線になり、次の瞬間には背中に爆辞的な衝撃が走った。

サヤカは蛾次郎に掴まれたまま、スターダスト城の堅牢な外壁に、その身を深く叩きつけられたのだ。

皮肉にもサヤカ本人が堅牢にした事が裏目に出た。

城壁は蜘蛛の巣状にひび割れ、凄まじい砂塵が舞う。


「ア……ウオオオオアオオォォォォォォッ!!」

咆哮を上げる蛾次郎は、もはや人間ではなかった。闇の魔力によって肥大化した左腕をサヤカの腹部に押し当てたまま、零距離からどす黒い魔弾を次々と撃ち込んでいく。

ドッ、ドォォォン!!


「……っ、あ……」

連続する爆炎と衝撃。サヤカの意識は、真っ白な闇の中へと沈んでいった……



(サヤカ……。


(だれ……し…師匠……)


(サヤカ…あんたに足りないのは、圧倒的な戦闘の経験。

前にも言ったはずだ!!

魔力の大きさイコール強さだなんてのは、昔の話なんだよ……

力に頼るから 強敵が現れたら対象できないのさぁ…

余裕があるから油断するのさ…)


脳裏に響くのは、シェリーの厳しい教え。

(私が……。私があんたに教えてきたのは、その足りない部分を埋めるための、死線の越え方なんだ。立ちなよ……!)


(ごめん、シェリー師匠……。


みんな……ごめん……。私……もう、ダメみたい……。コニチ……。ロカの新作、着たかったな……。

…… 亜美ちゃんのパフェ……食べたかった……)

遠のく意識の中で、サヤカは自分の無力さを呪った。


だが、その暗闇の底で、不意に一筋の「シャンパンゴールド色の光」が差し込む。

(……フッ、こんなものですか?)


(えっ……だれ……!?)


(あんなに素晴らしい街を創った者を見に来てみれば……。まさか、これほど情けない奴だったとはね。俺様の評価も、地に落ちたものだ)

シャンパンゴールドの輝きを纏った、傲慢で、それでいてひどく優雅な声。

そこには、大袈裟に首を振ってやれやれと溜息をつく、俺様系ナルシストのイケメンが立っていた。


(あんた、誰よ……。あたしの心の中に勝手に入ってこないでくれる……?

一応プライバシーってもんがあるのよ)


(俺様か? 俺様は、リストラされた君の後釜さ。……魔王サヤカ)


死の淵にいたはずのリュウガが、精神の世界でニヤリと不敵に笑った。

その姿は、ムーン・サウンドで深手を負ったはずの悲壮感など微塵もなく、ただ圧倒的な「王」の輝きに満ちている。


(君の創った街は、俺様が守った。……今度は、君の番だ。

そんなブサイクなヤンキーに、俺様の大切な『先代』が負けるなんてことは……万に一つも許さない)


「それでも…お前が戦えないなら…俺様が、力を貸してやる…」


俺様系ナルシスト魔王リュウガがサヤカに触れた瞬間


ぴん黒色とシャン金が混じりあい強烈で独特の光を放った。


その眩さに

蛾次郎の視界が一瞬奪われ


グオオオオトオオオ……


咆哮をあげながら 蛾次郎はのたうち回る


サヤカの瞳が、カッと見開かれた。


「……マジ、人のこと情けないとか、超失礼なんですけど」


城壁を粉砕し、なんか派手に光るオーラを発しながら 蛾次郎の身体を押しのける。

覚醒したサヤカの周囲に、かつてないほど洗練された魔力のオーラが渦巻いた。

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