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俺様系ナルシスト 魔王リュウガ

時を少し戻そう。


ギャル魔王サヤカがリストラされ、砂漠の地で

彷徨っている頃


ムーン・サウンドでは───


サヤカ追放の主犯であり、国を「古き良き恐怖の統治」へ戻そうと目論んでいた強硬派筆頭、四天王のティン・ガロ。

彼は国に唯一残された正統な召喚能力を使い、莫大な魔力と引き換えに、今度こそ「真の魔王」を呼び出すべく正式な儀式を執り行った。

しかし、魔法陣から立ち昇る光の中から現れた姿を見た瞬間、ティン・ガロは己の目を疑い、膝から崩れ落ちそうになった。


「ふっ……。この俺様を呼んだのは、どこのどいつだい?」

現れたのは、夜の街を支配する王者のような、俺様系ナルシスト(オレナル)——ホスト風の美青年、魔王リュウガであった。

その服装、その仕草、その香水の香り……。すべてがティン・ガロの理想とする「質実剛健な魔王」から数万光年かけ離れている細くスタイリッシュな魔王だった。


「……絶望だ。ムーン・サウンドに、またしても絶望が降りたのだ……」


ティン・ガロの呟きをよそに、リュウガは城を見渡し、鼻で笑った。

「おいおい、どこのギャル仕様だよ、この城。ピンクとか、俺様の美学にはちょっと刺激が強すぎるな。

……まぁいい、俺様色に染め替えてやるよ」

こともあろうか、リュウガはサヤカと二人三脚で城を作り上げた功労者バルバトスの前で、その努力をバッサリと批判した。バルバトスがムッとした顔を見せる間もなく、リュウガは軽快なステップを一歩踏む。

カツンッ!

床をけると、バルバトスが塗ったピンクの外壁は、瞬く間にリュウガの魔力によって「シャンパンゴールドと深紫」のラグジュアリーな配色へと上書きされた。


「……ふん。少しはマシになったな。俺様のものになったからには、この国はとことん輝かせてやる」

リュウガは究極のオレナルだったが、意外な一面があった。

彼は「俺様のもの」と認めたものに対しては、異常なほどに過保護で大事にする男だったのだ。

彼は、サヤカが残した活気ある街の雰囲気を壊すどころか、さらに洗練された高級感ある街へと発展させていった。


「……バルバトス、お前の淹れる茶は悪くない。それと……亜美とかいう娘、この俺様をイメージした『リュウガ・パフェタワー』を持ってこい。完食してやる」

亜美の作ったデコラティブな巨大パフェを前に、満足げに微笑むリュウガ。

彼はサヤカのような奔放さこそないが、ある種「真面目」に魔王の公務をこなし、バルバトスや残されたアルフレッド(本物)とも良好な関係を築いていた。

しかし、唯一彼が相容れない存在がいた。


「……ティン・ガロ。

お前のその、湿気たツラはどうにかならないのか? 俺様の視界に入るなら、もっと磨いてこい。

……あと、その古い価値観もな」

「リュウガ様……! 魔王たる者、品格を重んじ、威厳を持って民を怯えさせねば……!」


「ハッ、時代遅れなんだよ、おっさん。怯えさせるより、酔わせる方が支配は簡単なんだよ。

……どけ、俺様はこれから民にシャンパンタワーならぬ、魔力タワーを振る舞いに行く」

リュウガとティン・ガロの間には、常に一触即発の火花が散っていた。

サヤカよりは真面目に、しかしティン・ガロの思惑とは全く違うベクトルで、ムーン・サウンドは「ホスト魔王リュウガ」の統治下で奇妙な安定を見せていたのだ。


——そんな中、


地下深くで「闇の十連召喚」が行われた。

ターゲットは、当然このムーン・サウンドも含まれている。

リュウガの「オレナル統治」に、かつてない危機が迫ろうとしていた。

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