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17/51

上書き増し増し✞✞

「どうせなら……もっと面白くしてあげる……」

サヤカは ニヤリと笑った。


悪だくみを思いついた子供のように、無邪気で、そして少し残酷なイタズラを楽しむ『魔王サヤカ』がいた。


皆が寝静まった頃、彼女は行動を起こした。

サヤカは、痩せ細った大地にそっと手を当てる、 誰にも気づかれない程度に魔力を大地に流し 彼女の思い通りに上書きする。

彼女の頭に浮かんだのは、通信講座の「景観デザイナー」や「都市計画士」の知識、そして何より「映え」という絶対的な美意識だった。

彼女の魔力によって、超小さな村レベルだったの国は、一夜にして隣国に並ぶ城下町へと上書きされた。

もちろん『映え盛り』で。

古びた石畳は磨き上げられ、ところどころに可愛らしいカフェテラスが並び、枯れていた噴水からは七色の光を放つ水が吹き上がっている。

城壁には、星屑を模したキラキラのイルミネーションが施され、夜空の下で幻想的に輝いていた。

「よしっ、完璧! これでインスタ映えも狙えるし、一気に観光客も呼べるっしょ!」

そしてサヤカは、自分自身の変装に取り掛かった。

彼女は「レクリエーションインストラクター」の資格と「マジシャン」の認定を駆使し、本物の道化師の姿へと身をやつす。

顔にはカラフルなペイントの仮面を被り、そしてマオロリの衣装を隠す為、上から、ピエロ風のオーバーオールを纏った。

「偽物よ、朝が楽しみだね。」

サヤカはクスクスと笑った。


翌朝。


城下町に降り立ったクルシャア王やムノン大臣、そしてギース将軍は、一夜にして完成した新しい王都の姿に、驚きを隠せなかった。

「おお……! なんと、なんという光景だ! これが、魔王様の御力か!」

ムノン大臣は感嘆の声を上げ、目に涙を浮かべた。

ギース将軍も、荒れ果てた景色に慣れていたためか、呆然と立ち尽くしていた。


「……まさか、一夜にしてこれほどの変貌を遂げるとは。これで首の薄皮一枚が残った、というわけか……」

安堵の声が、王都のあちこちから上がる。

当然、一番驚いたのは、偽魔王サヤカと偽アルフレッドの二人だった。

彼らは昨夜、自分たちが何もしていない場所が、なぜか急激に発展している光景を見て、顔面蒼白で口をパクパクさせている。

「ひっ、ヒヒッ……こ、これは、まさしく真の魔王の力……ッ! さ、さすが我が主!」

偽アルフレッドが、必死に取り繕う。

「ま、まぁね……。私がここにいる限り、これくらいは朝飯前だし?」

偽魔王サヤカも、冷や汗をかきながらも皆の話しぶりに合わせるように、必死で平静を装う。

「すごい! 魔王様、マジで神! こんなに可愛い王都になるなんて、あたし感動しちゃった!」

道化師に変装したサヤカは、偽魔王サヤカの前に跪くと、わざとらしいほどキラキラした瞳で、尊敬の念を込めた(演技の)言葉を放った。手に持ったお手玉を器用に操りながら。

「まぁね……私がいる限り、今回のミレニアムイヤーは私の勝ち、確定ね。


つまり、この星屑が最下位から抜け出すってことよ。……

それより、あんた。道化師の芸にしては、随分と地味じゃない?」

偽魔王は、得意げに後ろ髪をかき分けると、お手玉をするサヤカを見下し、城の奥へと入っていった。

サヤカは、偽魔王の背中を見送りながら、無言で口元に笑みを浮かべた。

(ふふん。私の力を勝手に利用してくれて、マジ助かるんですけど。これであたしは、堂々と裏で暗躍できるってわけ!)


時を同じくして。


スターダストが突如として活気を取り戻したという報告は、隣国の王にも届いた。

隣国の王は、訝しげに眉をひそめ、一人の術師を派遣した。

術師。

その職業は『陰陽師』。

名は、雨乃あめの 清兵衛せいべえと言った。

彼は、スターダストに蔓延る『魔』の波動の正体を突き止めるべく スターダストに足を踏み入れようとしていた。


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