第2話 まともな会話
(教室のざわめきの中)
わかざいる「げっ…おまえ、朝の……食パン野郎…」
こなみ「だれが野郎じゃ!!乙女やぞ!!しかもお前がぶつかってきたんやろ!?」
わかざいる「こっちがそのセリフ言いたいんだけど…朝から食パンくわえて爆走とかマンガかよ」
こなみ「現実におるって証明したったろ?なぁ?」
クラス(ざわ……)
先生「はいはい、静かに~!わかざいるくん、席はこなみさんの隣ね」
こなみ「ええええっ!?まさかの隣っ!?!?」
わかざいる「おまえの方が動揺してんじゃん……」
(微妙な空気のまま、席につくふたり)
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(休み時間。妙な沈黙)
こなみ「……あのさ」
わかざいる「ん?」
こなみ「さっきの…ほんまはちょっとだけ、びっくりしたけど……怪我してなくてよかった」
わかざいる「……あー。うん、まあ俺も。あんなん初めてで」
こなみ「うちもや。てかあれな、朝から飛ばしすぎたわ」
わかざいる「いや、普通に道見て走れ。マジで命がいくつあっても足りん」
こなみ「うっさい!でもなんやろ…おもろかったな。なんか」
わかざいる「それはちょっと、わかる」
(ふたり、ふっと笑う)
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ナレーション:
「このときはまだ、
ただの『変な転校生』と『食パン爆走女』。
でも、次の授業で同じ班になった瞬間、
この“ややこしい関係”は、さらにめんどくさくなることになる――」