Final Chapter - Re:「ここから、もう一度始めたい」
(休日の夕方・閉校後の母校の校舎)
(校門前)
こなみ「ほんまに、入ってよかったん?学校……」
わかざいる「元生徒やし。警備員さんにも許可取ったし」
こなみ「……懐かしいな。下駄箱のにおいとか、床のきしむ音とか」
(ふたり並んで歩く。教室の前で足を止める)
わかざいる「ここ、覚えてる?」
こなみ「うちの席、あそこやったな……
窓際で、あんたが毎朝うるさくて、寝かせてくれへんかった」
わかざいる「それお互いや」
(ふたり、くすっと笑う)
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(屋上・夕暮れ)
(風が吹く中、校舎を見下ろしているふたり)
こなみ「ここで花火の話したよな。
うち、うるさく笑って、あんたに“声うるさい”って言われて」
わかざいる「それ、好きって意味やったんやで」
こなみ「ふふ……知ってた」
(ふたり、風の中で沈黙。空は赤く染まりはじめている)
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(わかざいる、深く息を吸って)
わかざいる「……なあ、こなみ」
こなみ「ん?」
わかざいる「俺さ。
ずっと“またここに戻ってきたい”って思ってた。
楽しかったから、懐かしかったから、だけやない」
(ポケットから、小さなリングケース)
わかざいる「“始まりの場所”で、
新しい人生のスタートも、お前と一緒に迎えたかってん」
(こなみ、静かに目を見開く)
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わかざいる「お前が泣いたとこも、笑ったとこも、
怒って走ってった階段も、全部覚えてる。
それぐらい、お前がここにいた時間が、
俺の青春のぜんぶやった」
(わかざいる、片膝をついて)
わかざいる「だから――もう一回、ここから始めよう。
俺と結婚してください。毎日、隣で笑ってください」
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(こなみ、手を口に当てて泣きそうになりながら)
こなみ「……なにそれ、反則やん……
うち、もう“好き”だけじゃ足りんくらい、
ずっとあんたが大事やのに……」
(涙をこらえて、笑って頷く)
こなみ「はい。よろしくお願いします。
あんたのこと、これからもずっと好きでおるから」
(指輪が、夕日に照らされてキラッと光る)
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(ナレーション)
「出会った場所に、もう一度戻る。
そこで“これから”を誓うって、
きっと、誰よりも遠くまで歩いてきたふたりだからこそできること。
これからの毎日が、
あの教室のように、やさしい光に包まれていく。」
──THE END──