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再生の物語 誰ともつながれなかった人のリカバリー  作者: 冷やし中華はじめました
始まりの村
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同居生活の崩壊

春が訪れ、厳しい冬を乗り越えた村には少しずつ暖かな陽射しが差し込むようになった。しかし、澤北とタケルの同居生活は次第に問題を抱え始めていた。


「ねえ、タケル。もういい加減この同居生活、どうにかしないか?」澤北はため息をつきながらタケルに言った。


「え?どうして?俺たち、仲良くやってるじゃないか?」タケルはキョトンとした顔で答えた。

「冬の間はよかったんだよ。二人のほうがあったかいし。」という澤北、見つめ合う二人。そして続ける。

「いや、食料を探していたときは生活リズムが同じで良かったけど、今はやることが違いすぎてすれ違いばかりだよ…」澤北は困った顔をして続けた。


「例えば?」


「例えば、俺が夜遅くまで衣料を作ってるのに、タケル、お前は早朝に起きて狩りに出かけるだろう?その度にお前の騒がしい準備で起こされるんだよ!」澤北は声を張り上げた。


「ああ、そういうことか。でも澤北、お前も俺が寝てる間に大きな音を立てて仕事してるじゃないか!」タケルも負けじと反論した。


「それは服を急いで作らないといけないからだ。それよりもお前のいびきのほうがうるさい。」


「俺のいびき?そんなにうるさいか?」


「お前のいびきは村中に響き渡ってるんだぞ!」と適当に澤北がいう


新しい住居の準備


痴話喧嘩のような口論が続く中、澤北は決意を固めた。「もう、自分の住居を作るしかないな…」


「じゃあ、そうしよう。俺もお前に邪魔されずに眠れるからな!」タケルは笑いながら答えた。


澤北はまず、住居の場所を探すことにした。村の周りを歩き回り、最適な場所を見つけるために鑑定スキルを使った。


「ここなら静かで日当たりもいいな。よし、この場所に決めた!」澤北は満足げに言った。


材料の調達と建築


次に、住居を建てるための材料を集める必要があった。タケルも手伝うことにしたが、二人の会話はまだ続いていた。


「この木材、どこから取ってくるんだ?」タケルが尋ねると、澤北は笑いながら答えた。


「お前のいびきのせいで眠れなかった夜、近くの森を歩き回って見つけたんだよ!」


「なんだよ、それ。じゃあ、俺のおかげで見つけたってことだな!」


「そういうことにしといてやるよ…」


二人は木材や石を集めながら、まるで痴話喧嘩のように口論を続けた。


「この石、重すぎないか?」タケルが不満そうに言うと、澤北は笑いながら「お前の筋肉にはちょうどいいだろう?」と返した。


「筋肉バカにしてるのか?」タケルが笑顔で返す。


住居の完成


数週間後、ついに澤北の新しい住居が完成した。小さくても暖かくて快適な家だった。たとえ4畳なくても。。。


「やっと自分の家ができたよ…」澤北は満足げに新しい住居を眺めた。


「おめでとう、澤北。これで俺もぐっすり眠れるぞ!」タケルは笑いながら言った。


「ありがとう、タケル。これからはお互いの生活を大事にしよう」


「そんなこと言うなよ、澤北。俺たちは友達だろ?」


笑い合う二人だった。


澤北の新しい住居が完成した日、村人たちが次々と訪れて声をかけてきた。みんな、澤北の新しい家に興味津々だった。


「澤北さん、新しい家ができたんですね!」と一人の村人が笑顔で話しかけた。


「はい、なんとか完成しました。これでやっと落ち着けます」と澤北は答えた。


「うちも地震で家が崩れちゃって、親戚と一緒に住んでるんです。でも、狭くて大変で…」別の村人が困った顔で言った。


「そうなんですか。みなさん大変ですね…」澤北は無難な答えを選択した。


「澤北さんの家、すごくいい感じだけど、うちも同じように建てるのはちょっと難しそうだなあ」と別の村人がぽつりと言った。


その言葉を聞いたタケルが、「そうだよな、澤北の家作り、俺たちも結構大変だったし。もっと簡単にできる方法を考えないとな」と話を切り出した。


「そうだな、もっと手軽に作れる方法を探さないといけないな…」澤北は考え込んだ。

「石はもうやだ」とタケルもボソッと言っていたのを聞き逃さない澤北であった。


澤北は再び鑑定スキルを使うことを決意した。「この周りの材料を使って、もっと簡単に家を建てる方法を探してみよう」と言った。


タケルは、「じゃあ、また材料を探しに行こうぜ!」と元気よく提案した。


「ええ、行こう!」澤北も元気を取り戻し、二人は村の周囲を探索し始めた。


まず、澤北は周囲の木を鑑定し始めた。「この木は柔らかくて加工しやすいぞ。これならもっと簡単に使えるかもしれない」と言った。


「おお、確かに!でも、これだけじゃなくて他にも使えるものがないか見てみよう」とタケルが言った。


次に、澤北は石や土を鑑定した。「この土は固めて使うと、壁材として使えるな。これを使ってみるか」と提案した。


「それなら簡単に壁を作れそうだな!さっそく試してみよう!」タケルは興奮気味に応じた。


石を鑑定しているときのタケルが嫌そうな顔に見えたのは自分のコミュ症のせいだと澤北は思うようにした。


二人は村に戻り、村人たちに新しい方法を説明し始めた。


「みんな、もっと簡単に家を建てる方法を見つけたぞ!」とタケルが叫ぶと、村人たちは集まってきた。


「まず、この木材を使います。柔らかくて加工しやすいんだ」澤北が木材を示すと、村人たちは興味深そうに見た。


「でも、澤北さん、あの木材は折れやすいんじゃないか?」と一人が心配そうに尋ねた。


「だから、これを使うんだ!」澤北は土を手に取り、固めて壁材として使う方法を説明した。


「これで壁を作れば、簡単に丈夫な家が作れるよ!」タケルが元気に説明すると、村人たちは拍手を送った。


村人たちは澤北とタケルの指導のもと、さっそく新しい方法で家を建て始めた。


「この木材をこうやって組み立てて…あ、ちょっと待って、逆さまだ!」澤北が慌てて指摘すると、村人たちは笑いながら修正した。


「この土を固めて壁にするんだよ。簡単だろ?」タケルが言うと、子供たちも手伝い始めた。


「これなら私たちでもできるわ!」と村人たちは喜びながら作業を進めた。


数日後、新しい方法で建てた家が完成し、村人たちは感謝の言葉を口にした。


「澤北さん、タケルさん、本当にありがとう!これで私たちも新しい家に住めます!」と一人の村人が感謝の気持ちを伝えた。


後日談!!!


春の暖かな日差しが降り注ぐ中、村人たちは新しい住居での生活を楽しんでいた。澤北とタケルは、村の中心で休憩を取りながら、新しく建てた家々を見つめていた。


「なあ、澤北。あの家、本当に頑丈なのか?」タケルが疑わしそうに尋ねた。


「うーん、ある程度はね」と澤北は苦笑しながら答えた。


「ある程度って、どういうことだよ?」タケルが不満げに言った。


「地震を意識したら、俺の家よりもっと頑丈にしないといけないんだよ。でも、そんなの作っていたら、時間が足りないから、ああいう簡単な家にしたんだ」澤北は肩をすくめながら説明した。


タケルは腕を組んで、「つまり、あの家は完全に安全じゃないってことか?」


「そうだな。生活レベルを少しずつ上げていくしかないんだよ」と澤北は笑いながら言った。


「それって、村人たちには言わなかったのか?」タケルは疑問の目を向けた。


「いや、言ってない。だって、言ったらみんな心配するだろ?」澤北はニヤリと笑った。


タケルは頭を抱えて、「お前、それじゃ俺たちが騙したみたいじゃないか…」


「まあまあ、でもあの家はしばらくは大丈夫だよ。もし地震が来たら、その時はその時でまた対策を考えればいいさ」澤北は気楽に言った。


「お前、本当にお気楽だな…」タケルはため息をついた。


「そうでもないよ。俺だって色々考えてるんだ。ただ、今はこれがベストだと思ったんだ」と澤北は真剣な顔で言った。


「まあ、澤北がそう言うなら信じるよ。でも、次はもう少し頑丈な家を建てる方法を考えようぜ」とタケルは提案した。


「もちろん。次のプロジェクトは、もっと頑丈な家だな。だけど、まずはこの簡単な家で生活を安定させることが先だ」と澤北は同意した。


「それにしても、お前の鑑定スキルには助けられたよ。あの土の壁とか、なかなかいい感じだし」とタケルは笑顔で言った。


「そうだろ?意外と使えるんだよ、俺の鑑定スキル」と澤北も笑顔で答えた。


二人はしばらくの間、新しい家々を見つめながら話し続けた。村人たちの生活が少しずつ改善されていく様子を見て、澤北とタケルは達成感と共に、これからも村を支えていく決意を新たにした。


「さて、次は何をするか…」とタケルが言うと、澤北は「まずは昼寝でもするか」と冗談めかして答えた。


「お前、ほんとにお気楽だな…」タケルは笑いながら澤北を軽く叩いた。


「そう見せているだけだ」と思う澤北だった。


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