村への帰還
タケルと澤北は都から村へと戻った。道中で手に入れた工具一式を大事に抱え、村のために何ができるかを考え続けた。村に到着すると、住民たちは彼らを出迎え、二人の帰りを喜んだ。
「タケル、澤北、お帰り!無事で何よりだ」と村長が笑顔で迎えた。
「ありがとう。都では大変なことがあったけど、何とか少しでも村のためになるものを持って帰ってきたよ」とタケルは答えた。
「これがその工具だ」と澤北が箱を開け、工具一式を見せると、村人たちは興味深そうに覗き込んだ。
持ち帰った工具一式は、銀細工師から手に入れたもので、いくつかの用途に使えるものだった。
鋳造用の型は、農具や日用品を作るのに役立つ。澤北が村人たちに説明した。
「この型を使えば、壊れた農具を修理したり、新しい道具を作ったりできる。これで作業効率が上がるはずだ」
村の鍛冶屋は興味津々で型を手に取り、「これならば、村の農具を全て修理できる。さらに、使いやすい新しい農具も作れるぞ」と興奮気味に言った。
銀細工師から譲り受けた頑丈な鎚は、修理作業に不可欠な道具となった。澤北は鍛冶屋に鎚を渡しながら説明した。
「この鎚は修理用に最適だ。これを使えば、鍬や鋤だけでなく、家屋の修理にも役立つ」
鍛冶屋は感心し、「この鎚があれば、村全体の修理が捗るだろう。大事に使わせてもらうよ」と感謝の言葉を述べた。
その他の工具も、農作業や生活の様々な場面で役立つものだった。澤北は一つ一つの工具の使い方を村人たちに教えた。
「この鑿は木工に使える。家の補修や新しい家具作りに役立つだろう」
「このやすりは、金属を滑らかにするのに使える。壊れた鍋や釜を修理するのに便利だ」
工具を活用し始めると、村の生産性は大きく向上した。壊れていた農具は次々と修理され、新しい道具も作られた。これにより、村の農作業が効率化され、収穫量も増加した。
また、家屋の修理も進み、村全体が活気を取り戻していった。家具や日用品の製作も進み、村人たちは生活の質が向上するのを実感した。
澤北の鑑定の力が村の再建に大いに役立ったことは、村人たちの間で語り草となった。
「澤北のおかげで、この工具がどれだけ役に立つか分かった。彼がいなければ、ただの古びた道具だったかもしれない」と村長が感謝の言葉を述べた。
タケルも澤北に感謝の意を示し、「お前の知識と判断力がなければ、こんなに早く村を再建できなかったよ」と言った。