いい日旅たち!?
村人たちは集会場に集まり、足りないものや失ったものについて議論を交わした。トウモロコシは少ないし、牛はもう一匹もいない。でも、なぜか村の誰かが見つけた銀の塊だけは豊富だった。誰もが「これを売って何とかなるんじゃないか」と思っていたが、実際に誰がそれをやるかが問題だった。
「タケル、お前が行け!」と村の長老が唐突に言い出した。
「えっ、俺?」タケルはびっくりして口をあんぐり開けた。「なんで俺が?」
「お前が一番若くて、脚も速いからだ」と長老はにやりと笑った。タケルはこの瞬間、自分が一ヶ月の徒歩旅行に巻き込まれることになると悟った。
「澤北も行ってもらえるかの?」と長老は続ける。「タケルだけでは何が必要かわからん。鑑定もできん。騙されるのが落ちだわ!」よろしく頼むと丁寧にお辞儀する長老の前で、断ることが出来なかった澤北であった。
「まさか、徒歩で片道1か月もかかるなんてな」とタケルは荷物を背負いながらぼやいた。彼の隣には、村一番の頭脳派(?鑑定ができるだけ?)である澤北がいた。「タケル、お前の歩幅を測ったら、おそらく平均して一日30キロは歩けると思う。だから、1か月もかからないかもしれないぞ」と澤北は言ったが、タケルは疑わしげな目で澤北を見た。
「お前、それ本当に計算したのか?」
「いや、まあ、大体ね」と澤北は曖昧に答えた。
旅の初日は何も起こらなかった。二人は静かに歩き続けた。しかし、二日目になると、彼らのコメディアン魂が目覚めた。
「ねえタケル、あの木の陰に何か見えないか?」と澤北が言った。
「何も見えないよ。ただの木だろう」とタケルは答えたが、近づいてみるとそこには巨大なキノコが生えていた。
「食べられるかな?」とタケルは手を伸ばした。
「待て、タケル!それ、毒キノコかもしれないぞ」と澤北は止めた。「試しに少しだけ食べてみよう」と澤北が言うと、タケルは一口かじった。
「うん、意外といける…あれ、ちょっと待って、舌がしびれてきたぞ!」とタケルは驚いて叫んだ。澤北は大笑いしながら、「だから言っただろう!」とタケルを支えた。