表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅いロープに星屑を  作者: 文詩衣ソワカ
第1章
6/37

-interlude- お金持ちのボンボンなのでは

シルヴァとルチアーナが透流を連れて店を出てから数時間後。

カフェ・グランデは閉店間近で、店内の客もまばらだった。


「ねぇ、トールくんのことだけど」


ラストオーダーのグラスワインをカウンターに置いたアンナが、オネストとバルドに話しかけた。


「硬貨の価値を正確に知らなかったのよね」

「えっ」

「いくら国外から来たとしても、おかしいと思わない?」


オネストは、ワインをひと口味わってから探偵よろしく余裕ある表情をつくる。


「ボクは『金持ちのボンボン説』を推しますね。商家とかの」


顎に手を当てて、自身ありげに推理を披露する。しかしアンナは身を乗り出して首を振った。


「商家だったら流石にお金の種類くらい把握してると思うの。だからね、私の予想は『お忍びで街に下りてきた貴族』かしら」


「ありえる」

プライドも何もなく前言撤回のオネスト。アンナの予想にうんうんと頷いている。


「雰囲気的には中流貴族の三男てところだな」

さらにはバルドが話の流れに乗っかった。


「貴族は買い物もまとめて親が後払いするし、紙幣くらいしか数えないのかもな」

「実際そんなことある?」

「並の貴族で後継ぎじゃなければ案外そんなもんだぞ」

「でもボクは女の子に貢いでもらう気持ちが理解できません!」


謎の対抗意識を燃やしたオネストが、一気飲みしてグラスを置いた。目が座っている。


「オネストは貢ぐ側だからな」

「でもトールくん、顔は良かったわよね」

「アンナさん……!? まさか……」


揶揄うモードに入った二人に弄ばれるマフィアの図。わいわい盛り上がる彼らの話を、数席離れたカウンターの端でフードを被った人物だけが聴いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ