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シャドウの報告とまたしても通れないゲート


 

「陛下、シャドウから連絡が来ています」


「……やっと来たか」


 皇帝ルーカスの元にシャドウから連絡が届いたのは、ジェド達が帝国を出発してから数日後の事だった。

 聖国へ行くのに普通はそんなに時間がかかる物では無い。1日、2日あれば辿り着けるし、何も無ければすぐに戻って来るはずだった……

 ジェドがすぐに聖国に辿り着けるとは思ってはいなかったものの、明らかに日にちがかかりすぎていた……何かあったのではないかとヤキモキしてそろそろ限界かと思っていた矢先、ゲート都市を通じてシャドウから連絡が届いたのだ。


(何故ゲート都市から? そこまで来たのならば戻って報告すれば良いだろう)


 と首を傾げながらルーカスは書面を見た。


「なになに……親愛なる皇帝ルーカス陛下、まずはご連絡が遅れた事を深くお詫び申し上げます。騎士団長と帝国を出発した矢先、ゲート都市で騎士団長が不正入国により捕まってしまったのはご存知かと思います。その際は陛下の手を煩わせてしまい申し訳ありません……って、別にシャドウが謝る事は1つも無いんだけど」


 悪いのはジェドである。何故かシャドウが責任を感じているようだったが、ジェドに関する大体の事はジェドのせいなので気にする事は無いのだ。難儀な男だとルーカスはため息をついた。


「シャドウは真面目だし、まだジェドに慣れて無いんでしょうね」


 騎士団長ジェド・クランバルは1回出歩けば10の面倒事を持って帰って来るような男である。

 大小様々な面倒事を後片付けして来たルーカスとエースはもう慣れっこだった。本人に悪気がある時もあれば、ただ巻き込まれただけの時もある。その事については深く考えてはいけない。深く考えては負けなのだ。


「シャドウもそのうち慣れるだろう。それで……ファーゼスト大陸に入る事が出来た私達は世界樹までは辿り着けましたが、肝心のエレベーターゲートは聖国人の妨害により故障していた為頂上までは行けず、匠国から階段で登る事にしました。……やはり刻印の件は聖国で広まっていたようだな」


 それも予想はしていた。だからこそジェドに様子を見て貰うよう頼んだのだが、やはり事態は思ったよりも悪い方へと進行しているようだった。


「エレベーターゲートが故障するとは困りますね。昔は階段で登ったと聞きますが、匠国からも相当な距離を登るようになりますからね……」


「まぁ、ジェドもシャドウも訓練している騎士だから大丈夫だろうとは思うが……えーと、エレベーターゲートで匠国のアテナキバの街に降り立ったのですが、そこで刻印のある者を騎士団長が見つけました。調べようとその者が入った店へ行きましたが……そのまま罠にかかり投獄されました。……また捕まっているのか?」


「2度ある事は3度目もありそうですが……」


「いや、それは流石にジェドを舐めすぎだろう。で、……色々ありましてアテナキバの件は解決し、幸いな事に匠国への呪いの被害はそれだけで済んでいたようです。私達は階段を使い聖国に向かいましたが、階段が悪役令嬢だったみたいで半日無駄にしてしまいました……?」


 何言っているのか分からず、一瞬書き間違いかとも思ったが、そうでは無いらしい。


「相変わらず訳の分からない次元に生きていますねジェドは……」


「……最早細かい事を一々気にしていてはキリがなさそうだから読み飛ばそう。……そうしてなんやかんやで聖国へ行った私達は、殆どの聖国人が刻印に呪われていた為捕まってしまい投獄されました」


「……やっぱり3度目もありましたね」


「……殆どの聖国人が呪われていたとて、何で簡単に捕まるんだあの男は。騎士団長の自覚あるのか? それで、捕まった牢屋では――」


 ルーカスの目がピタリと止まり、エースがその続きを覗き見て驚愕した。


「え……聖国の女王が殆どの羽を失う程の大怪我?? た、大変じゃないですか!」


 エースは驚きのまま更に読み進めて行く。


「オペラ様は何とか大丈夫でしたが、騎士団長が聖国人を止めるために聖国のゲートを暴走させ、聖国は半壊……聖国人に被害は無かったが復旧がかなり大変な為後片付けだけで時間がかかってしまいました……?」


 エースはそのまま頭を押さえてフラフラとした。聖国は前の被害から復旧したばかりだというのに何てことをしているのだと蒼白となる。


「ジェドは本当に何をしているんですか……ああもう。更に、オペラ様が探していた本の男はその本の作者と同じ名前、ワンダーであると判明。騎士団長とは何度面識があり。探していた事を忘れていた上に逃がしてしまった事で更にオペラ様が激怒……。陛下……もうこれ国交がヤバイかもしれません……」


「はぁ……」


 ルーカスはため息を吐き続きを読み上げた。


「刻印事件はオペラ様の証言や騎士団長の話から竜の国の差し金で間違いないでしょう。更に、聖国襲撃事件にはもしかしたら亡くなったと思われていた聖国の第1王子が関係していたかもしれないです。そのせいもあってか、オペラ様は我慢の限界が来て竜の国に殴り込みに行くと言って聞かず……先の件もあるので私達も一緒に行かなくてはいけなくなりました。その為しばらく帰れません……」


 ため息の吐きすぎは幸せが逃げるという言い伝えがある。だが、この訳の分からない事態に頭が追いつかず出てくるのはため息しか無かった。もう色々言いたい事が山程ありすぎてどれに突っ込んでいいかは分からない。


「数日、聖国の片付けとオペラ様の仕事の手伝いをしていてようやく出発出来まして、今はファーゼストからプレリ大陸に向かう為こうしてゲート都市に居ます。そして、騎士団長がまた捕まってしまいました……」


 最後の一文を読んでルーカスももう限界で書面を机に置き、目蓋に手を当てて天井を仰いだ。


「……何をやっているんだ、本当にもう……」


 そのまま蒼白としているエースを手招きした。


「……ちょっと頼んでいい?」



 ★★★



 話は書面がルーカスに届く少し前に遡る。


 漆黒の騎士団長、ジェド・クランバルは聖国の瓦礫や倒木などの片付けを一通り終えていた。

 仕事に一区切りがついたオペラとシャドウはもう出かける準備をして待っている。


「さぁ、早く行きますわよ」


「……」


 何で竜の国に付き合わされるのか、何で少しも休ませてくれないのか……泣きたい気持ちを堪えて作業服から着替えた。何もかも自分が悪い訳ではないと思うのだが、最早どこまでが悪かったのか分からないのだ。

 オペラにしこたま怒られたが、多分今帰ったとて陛下に怒られるだけだろう……ならば少しでも女王の機嫌を取っておいた方がいい。


 そもそも忘れそうになったが悪役令嬢であろうオペラから逃れる術なんて無いのだ。流されよう。俺は諦めた。


 聖国に入って数日経つ間にエレベーターゲートも復興していた。オペラがその間に麓に連絡を取り、運行に問題は無い事が確認取れたのだろう。


 アテナキバにはもう一度寄りたいような気もしたが、余計な事件に巻き込まれず竜の国に行くにはあまり寄り道もしない方がいいだろう。

 エレベーターゲートが正常に動くとすぐにゲート都市に戻る事が出来た。

 やっぱり普通に何も無く真っ直ぐ行けたならばもっと早く着いていたんだなぁと痛感した。3倍位時間かかったよね……



「ファーゼストに入った時がだいぶ前のように感じますね」


「ああ……そういや数日前に来た時は捕まったんだよな。今度こそ不備が無いように通らなければ……」


 数日前は不正入国で捕まったのだ。そんな俺をオペラが冷たい表情で蔑んだ。


「……ゲート都市の入国で捕まる人なんているの……? 貴方騎士よね? しかも貴族の……」


 捕まる貴族の騎士もいるし、なんなら権力とか全然意味ないからね。


「前は致し方なかったりウッカリだったりしたが、今回は思い当たるものも無いから多分大丈夫だ」


「……大丈夫の信憑性は分からないけど」


 俺達3人は書類の不備がないか確認して関門所へと進んだ。

 当たり前だが、オペラもシャドウもすんなりと許可が下りて通り抜けて行く。


「よし、俺も行くか」


 意を決して関門所に行くと、書類を受け取った係員が眉を寄せた。


「……ジェド・クランバルさんで間違い無いですよね……?」


「え? そうですが……」


 ……何?


「……ジェド・クランバルさんはもうファーゼストを出て帝国に入国しているよう記録があります」


「え……? 何かの間違いでは……」


「そうかもしれませんが、記録がある以上お通しする訳に行きません。記録の事実がハッキリするまでこちらにいらして下さい」


「えー……」


 俺は何人かの係員にズルズルと引きずられて、見覚えのある地下牢へと連れて行かれた。


 遠くなる関門所の向こうでシャドウとオペラが驚きて見ていた。


「騎士団長ー! 今度は何ですかー!!」


 シャドウが叫んでいるが……ごめん、今回に関しては俺にも分からない……

 俺が何したって言うの……ぴえん

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