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約3000字漫才集

漫才【スポーツ】

作者: 名もなき山田

ボケ=A(エー/小太り)


ツッコミ=B(ビー/細身)

A/B「よろしくお願いしますー」

A「そろそろ涼しくなってきたんでね、健康のために少し体を動かそうかなと」

B「珍しいじゃない。何するかとかもう決めてるの?」


A「やっぱり一人だと楽な方楽な方にいっちゃうから」

B「なるほどね。じゃあみんな――っていうか、団体でやるのがいいかしら」


A「でもワイワイやったら絶対だれか飲みに行こうとか言うじゃん」

B「じゃあインストラクターつけてジムいくとか」


A「でもそれ綺麗なお姉さんとかだったら気になって集中できないし」

B「なら男の人に頼めよ。厳しい、スパルタな人に」

A「それはそれで何かに目覚めてしまうかも……」

B「もう運動する気ないだろ」


A「いややる気はあるんだけど俺を運動させる気にさせる運動がないっていうか」

B「えっ……ただの屁理屈じゃねえか」


A「だから男二人ぐらい――もちろん相手は普通の人ね、で出来てある程度の疲労感があり、その上終わった後に『お疲れ様会』とか絆の生まれないスポーツを探してるんだけど」

B「ねえよ」


A「えっとビーくんはこの世のあらゆるスポーツを網羅して――?」

B「ねえよ。その上でねえっつってんだよ」

A「キャッチボールとか」

B「お前キャッチボールの絆なめんなよ」


A「卓球とかテニスはダメだよな……ボーリング!? ボーリングだ!」

B「あー、まぁ相手がいればね、いいんじゃない」

A「そこだよなぁ。一人であんな玉転がしてもクソの役にも立たないもんなぁ」

B「ボウリング協会の皆様、言ったのは彼ですから」


A「それに考えてみれば靴履くのも面倒だし玉重いしでいいとこないわ。却下~」

B「とりあえず謝ってくれる?」

A「大体スポーツの秋とか言うくせに代表的なものがないのがいけないよ。食欲の秋だったらサンマ、とかすぐ出るじゃない」

B「それ言ったら読書の秋もないよね?」


A「やっぱり国を挙げてスポーツの秋はこれ! っていうのがないと、ねぇ?」

B「いやだから読書の秋も読むならこの本! っていうのないよね? ある?」

A「もうオリンピックなんだからさ、もっとスポーツを浸透させなきゃ」

B「絶対聞こえてるよね?」


A「ぅるせえなぁ……! 新潮社秋のおすすめ! とか講談社オータムベスト! とか秋に読む幻冬舎! とか本屋行きゃいくらでも揃ってんだろうが! それをもって読書の秋の定番としろやカス!」

B「その怒りをスポーツに向けなさいよ」


A「怒りを? まさか格闘技……ッ! ボクササイズ……っ!」

B「格闘技じゃないけどね。でもいいんじゃない? 男の先生なら」

A「お前ボクササイズとヨガは女の人が先生やるって決まってんだろうが!」

B「決まっては、いない」


A「もうこの際俺が新しいスポーツを作ろうかなって」

B「また簡単に言うけど……かなり大変よ浸透させるの」

A「それで前ね、お年寄りの方がバドミントンの羽でゴルフみたいのしてたのよ」

B「あ、僕も見たことある。逆さまにした傘みたいなとこに入れるやつでしょ」


A「それ見て既存のスポーツの融合、これはいけると思いましたね」

B「ま、一から作るよりはいいでしょうけど。例えばどんな?」


A「まずサッカーと」 B「サッカー人数多いけどね」

A「フットサルを融合!」 B「んっ?」

A「名付けて『箱庭サッカー』どうよこれ」 B「箱庭、サッカー……?」


A「11人足す5人、これが2チームで合計32人がフットサルコートを――」

B「多い多い! まず16人集まらないだろ。仮に集まっても、『もう8×8でよくね?』ってなるよね。それじゃあちょっと人数の多いフットサルじゃん? っていうか4×4の方が絶対楽しいわ」


A「次! テニスと」 B「聞け人の話を」

A「卓球を融合!」 B「系統がもうね」

A「名付けて『箱庭テニス』どうよこれ」 B「箱庭から離れろ」


A「卓球のルールはそのままに、ボールをテニスボールに変更――」

B「スピード感ゼロじゃねえか」


A「じゃあ次! これ相当自信あるよ」 B「なら初めに持ってこい」

A「マラソンと」 B「マラソンは無理じゃない?」

A「エアロビックを融合!」 B「エアロビ……?」


A「名付けて『マラビック――』」

B「ちょっ、そこまでっ!」

A「相撲と融合した『マラ相撲』ってのもあるけど」

B「馬鹿じゃねえのお前」


A「もう、じゃあどうしたらいいのさ! ビーくん考えてよ!」

B「思ったんだけど、ランニングはどうかな?」

A「ジョギングかー」

B「ほら、よく皇居周辺とかランニングする人たちいるじゃない。一人だとだらけちゃうけど、みんな――それも知り合いでもない人、がたくさんいればモチベも保てるっていうか」


A「ビーくん、皇居周辺の奴らは『皇居周辺走ってる俺私かっこいい』勢だから」

B「ん、どういうことかな?」

A「だから、奴らは皇居周辺をジョギングすることによって、何ていうかな、都心! それもあの皇居! その周辺を走ってますよかっこいいでしょう、どうぞ見てください! ってオーラがすごいのよ」

B「そんなことないでしょ」


A「いやあります! 女子なんかピンクとか黄色のウェア着てコンクリと緑に映える映える! 男子はシュっとしたメガネ掛けてレギンスなんか履いてるし! 奴らはね、ジョギングしに来てるんじゃないんですよ。だってそうでしょう? 走りたいだけなら近所の公園でも走って犬のウ〇コ踏めばいいんですよ」


B「やめろお前。そんなこと言ってるけど羨ましいだけだろ」

A「うん」 B「素直過ぎて言うこと忘れたわ」


A「ただ、あそこはハードル高い。素人ジョギンナーが一人で行く場所じゃない」

B「ジョギンナー?」

A「……だから、一緒に、やらない?」 B「えっ?」


A「何よ、もう一度言わせる気?」 B「僕とマラソンするってこと?」

A「ふん、分かってるじゃないの」 B「えっ二人で?」

A「はぁ? 私じゃ不満なわけ?」 B「誰なのこの人」


B「僕嫌ですよ走るの。っていうかそもそも運動嫌いですし」

A「ビーくんさぁ! 何事も嫌いだからって逃げてたら、いつの間にか好きなことからも逃げることになっちゃうよ!?」

B「それっぽいこと言おうとするからメチャメチャだよ」

A「でも運動嫌いって言っても見るのは好きでしょ? よく見てるじゃん」


B「見るのはね。実際やるのとは違うもん」

A「けど見てるとやりたくならない?」 B「別にならないかな」

A「……それはさビーくん、諦めてるからじゃないの?」

B「次ちゃんとお願いしますね」


A「今からやっても同じようには出来ないって、そう諦めてるんじゃないの? 例えばよ、例えば今ビーくんにプロ野球選手クラスの実力があったらどう? 野球するでしょ」

B「それは、まぁ、するけども……」

A「つまり実力があれば運動するのもやぶさかではない、ってことだよね?」

B「うーん、そうなるのかな?」


A「それは運動嫌いとは言えないよね?」 B「まあ野球するならね」

A「つまり運動嫌いの人は、得意な運動、スポーツがないってことになる、ここまでいい?」

B「はあ」


A「だからそうならないように小さいころから運動して、何か得意なものを作りましょうよ、って話」

B「いや今の話だよ! じゃもう無理じゃん! 子どもの頃からスポーツしてないと無理じゃん!」

A「そんな人に『マラ相撲』っていう新しいスポーツがあるんですけど――」

B「それはもういいよ!」


A/B「どうもありがとうございました」


次のキャプテン誰なんだろ。_(._.)_

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