お昼
「蒼ー!お昼ご飯たべよ?」
実香音が来てやっと午前の授業が終わったことに気付いた。
「あ、もうそんな時間か。」
「そーだよ〜。どうしたの?ぼーっとしてた??」
「あぁ、まぁ、そんなとこ。」
真逆男子のこと考えてたなんて言える訳がない。
だって私が男子少し苦手って知ってるからね、実香音は。
「大丈夫?さっき当てられたときもなんか考えごとしてたみたいだけど」
「大丈夫大丈夫、ちょっとぼーっとしてただけだから」
「そっか、じゃあ食べよー!」
「うん。」
微笑んで二人でお弁当を広げる。
でもそっか、もう午前終わったのか。
早く放課後にならないかな。
「ん?今日蒼放課後予定でもあるの?」
お弁当のプチトマトを口に入れながら実香音が私に聞く。
プチトマトってそれだけでお弁当に彩りが出るから良いよね。
って、え?
「え、嘘、声に出てた?」
「出てたよー」
プチトマトを咀嚼しながら実香音が言う。
嘘!
「で、何かあるの??」
「い、いや、早く図書室行きたいなって」
平然を装ってそう言うと、実香音はなんだ、という顔をした。
「もう、蒼は本当に本好きだよねー」
良かった、なんとか誤魔化せたっぽい。
「えへへ」
なんて笑いながら、なんでこんなに焦ってるのか自分でも不思議だった。