出会いⅡ
あれ?
違和感を覚えたのは、その男の子らしい低い声を聞いたことが無かったから。
多分、この図書室に来るの初めての人だ。
そう思いつつ本から顔を上げた。
わぁ、整った顔だなぁ。
それが、第一印象。
真っ直ぐな黒い眼、サラサラな黒髪。
俗に言う、イケメンっていうやつなのだろう。貴方は本の中から出てきたのですか?と思わず聞いてしまいそうだ。
緑色の上履きだから、同級生なはず。
「えっと、どうかしましたか?」
向こうが声を掛けてきて初めて、自分がその人を不躾に見てしまっていたことに気付いた。
「す、すみません!!
え、えと…こん、にちは?」
ぷっとその男の子は吹き出し、でも、ちゃんと
「こんにちは。」
と言ってくれた。
あ、なんか優しそう。
「えっと、図書室は初めてですよね?」
「あ、はい。でも、なんで?」
「私ほぼ毎日図書室来てるんで、一回でも来たことある人はわかるんですよ、だから多分初めての方かな、と」
「ほぼ毎日?」
「えぇ。暇人なんです」
ちょっと笑いを混ぜて言ってみる。
「それにしては忙しそうに本を読んでますけどね、本当は本を読む為に用事を極力減らしているんでしょ?」
ニヤッと笑って彼が言う。
「え、何で分かるんですか!?」
「俺も同じようなもんだからです」
「成程……」
二人で顔を見合わせ、笑い合う。
あぁ、いいな、この感じ。
本が好き、っていうだけで根暗と決めつけ、どこか馬鹿にしたように話しかけてくるクラスの男子とは大違いだ。
まぁ、彼らも悪気がある訳ではないから、一概に悪いとは言えないのだが、やはりこちらとしては気分が悪い。
「そういえば、今日はどうしてここに?」