第2話 実技試験
クルツに連れられ、俺達は建物の裏手の広場へと向かう。そこはギルド付属の訓練場として使われている場所であり、城の練兵場には及ばないが、それでも学校の運動場の二倍近くの広さはある。
広場には数名程先客がおり、俺達が到着していた時は剣術の訓練か何かをしていたようだが、クルツの姿を見るなり中断し慌てて頭を下げていた。冒険者ギルドは新米の冒険者のために時折講習会を開いて訓練の相手をしているらしいし、恐らく先客達はその関係でここにいるのだろう。
その横を通り過ぎ、少しばかり離れたところでクルツは立ち止まり、俺達の方へと振り返った。
「ここら辺で良いだろう。さて……再度確認しておくが、武器は全員元々持っていたものを使用する、ということで良いな?」
その言葉に、俺と男四人は揃って首を縦に振る。
ここに来る道中クルツより、武器は自前のものとギルドの武器置き場にある練習用の武器のどちらを使ってもよい、という説明があった。そしてそれに対し、他四人は全員自前を使うと即答していた。
まあ当然と言えるだろう。ハナから俺を痛めつけることを目的としているわけだし、訓練に使うような比較的安全な武器を使うわけが無い。
ちなみに四人の技量は、受付でそれぞれの武器とステータスを見た時に既に確認済み。それぞれ短剣使い・槍使い・斧使い・中遠距離武器使いと、前衛三人後衛一人とバランスの良いパーティとなっている。
「良し。それじゃ、両者一旦離れてくれ。そっちの奴らも下がった下がった。見物するのは構わないが、戦いの邪魔にならないような位置にいてくれ」
その指示を聞き、俺達に付いてきた冒険者達は端の方へと移動していく。実技試験自体は何も秘密裏に行われるものではなく、邪魔さえしなければ誰でも見学して構わないということになっている。
それでも普段見に来るような輩は滅多にいないそうだが……今回は事前に随分と目立ってしまったというのと、試験内容が冒険者達から見ても非常識だということで、皆興味を持ち付いてきたのだ。
だがまあ、興味と一言にまとめてみてもその種類は様々。不利な状況に対しどう抗うかを見に来た者もいれば、俺がリンチにされる様子のみを楽しみにする者もおり、中にはこの戦いではなくこの後に起こるであろう展開こそを予想し、それを見ることを目的とした者もいる。勿論直接話したわけじゃなく、視線から感じ取ったり、聞こえてくる会話から判断したものだけども。
「先程言った通り、先に気絶するか降参した方が負けとする。攻撃方法は直接攻撃系の魔法以外は何でもオーケー。武器は勿論、打撃や脚撃も許可する。ただ一つ、なるべく互いが命を落とさないようにしてくれればそれで良い。あと、危なくなったら私が止めに入るから、そこんところよろしく」
あくまでこれは模擬戦闘、殺し合いに発展するまでやらせるつもりは無いから、伝説の冒険者であるクルツが直々に審判をするとのこと。十分に殺傷力のある武器使わせといて殺し合いはダメとか何抜かしてんだと思うのだが、そこら辺はこちらの世界独自の価値観なのだろう。流石は命が軽い世界だ。
「ではーー始め!」
「「「「うぉぉぉおおおおお!!!!」」」」
開始の掛け声が響くや否や、四人は各々武器を抜き殺意を剥き出しにしてこちらへ向かってくる。さっきの注意ガン無視じゃねぇか。
ちらりと横目でクルツを見ると、その顔には苦笑いが浮かんでいる。頭を抱えているわけではないということは、まあこの程度のことは予想出来ていたということだろう。
「はっ! 武器も抜かねぇとは、随分と余裕じゃねぇか!」
「それとも、やるなら早くぶっ殺してくれってことか? なら望み通りーーえ?」
既に勝負は始まっているというのに、奴らの言う通り向かってくる相手に対し、俺はまだ剣を抜いていなかった。
だが、勿論それはやる気が無いとかそういった意味ではない。ただ単に、こっちの方が手っ取り早いと判断しただけのこと。
(虚刀流ーー流)
先頭に立ち突っ込んできた短剣使いの男の攻撃を、半身になりつつ刀身を見切り素手で弾いて方向を逸らす。同時に腕を掴み、足を払いつつ合気道の要領で片腕で後方へとぶん投げる。勿論、落下した時に短剣が体に刺さって死なないように調整はしておいた。
ついでに、それに一瞬意識を取られた斧使いの男にもう片方の腕でフックをかまし、脳震盪を起こさせ行動不能にする。こちらも斧が体に刺さらないように、予め横から打撃を加えて位置をずらしておく。
そして、背後から「ぐぇっ!!」という音と地面を滑る音が聞こえたのとほぼ同時に、斧使いは全身から力を失い地面へと崩れ落ちたのだった。
「まず一人」
続いて直ぐ様、立ちあがろうとした短剣使いの腰に肘打ちを一発叩き込み、よろめいて地面に手を付いたところで当て身を食らわせ昏倒させる。倒れる直前にまた呻いていた気がするが、問題はないだろう。ちゃんと手加減したし、神経に問題はないはずだ。
「これで二人」
そこまでやったところで、残り二人の攻撃が来ないことが気にかかり目を向ける。すると、初期位置から少し進んだところで呆然と立ち尽くしている姿が目に入った。
「どうした? お前らは来ないのか?」
「え……いや、それは……」
戦闘中だというのに、二人は顔を見合わせてしまった。余程この数秒の出来事が衝撃的だったのだろう。
観客側を見ると、目の前の二人ほどではないまでも見事に困惑ムードが漂っていた。あのクルツでさえも、一見平静を装ってはいるが予想外の事態に頭が追い付かないという感じだった。
「……悪いが、こっちも悠長に待つ気は無い。来ないならーーこっちから行かせてもらおうか」
瞬行を駆使し一気に肉薄しようとする。これで勝負が決まってしまえば良かったのだが、残念ながらそう簡単には行かなかった。
一瞬の隙をつかれ二人やられたとはいっても、奴らは仮にもCランク冒険者。俺の動き出しに即座に対応し、二人揃って攻撃を仕掛けてきた。それに対し、俺は今度は横ではなく後方に回避する。
理由は二つ。一つ目は、槍使いが使っているのはただの真っ直ぐな槍ではなく、先が三つに分かれたいわゆる三叉槍。それを寝かせて突き出してくるので、横に僅かにずれるだけでは食らってしまう危険性がある。
そしてもう一つは……。
「おらぁっ!」
「ッ!」
高速で飛んできた鎌をかがんで回避する。直後、後ろから飛んできた先程の鎌を横っ跳びにかわした。そうして鎌は持ち主の元へと返っていく。
もう一人の武器ーー中遠距離武器と一言で言ったが、その内の一つが今使われた鎖鎌である。分銅ではなく両端に鎌が付いているので、二丁鎖鎌と言った方が正しいか。
槍だけなら何とかなったのだが、二人が息を合わせて攻撃してくるせいでこちらも思うように行動出来ない。
それもそのはず。今飛んできている鎌は適当に放たれているのではなく、徹底的にチャンスを潰し動きを邪魔するように上手く操作されている。おかげで槍使いに隙が出来てもそう簡単に近付くことが出来ないでいる。
そもそも、強靭な魔物相手に鎖鎌なんぞで挑もうとする事自体が有り得ないことだ。鎖鎌というのは元々農民の護身用に農具を改造されて出来たものであり、人間ならまだしも積極的に動物等を殺すことに向いているわけではない。振り回す以上鎌自体をそこまで大きく出来ないしな。
ということは、動きからして恐らくこの男は、普段から魔物を撹乱する役目を負っているのだろう。MPの値も四人の中で言うと一番高いし、普段は撹乱で時折魔法を叩き込む、っていう戦闘スタイルなんだろうな。
ふむ……どうしようか。流石の俺も飛んでくる刃物を素手で掴み取るような事はしないし、危険だから白羽取りもやりたくない。てか、白羽取りって実際にやると普通に手切れるしね。
さっき使った流も、あれはあくまで接近戦においてある程度軌道を読んだ上で使えるものだし、遠距離で飛んでくる物に対してはあまり役には立たない。
ということで、そろそろ使いましょうか。どうせなら素手のままで倒してみたかったが、あんまりチンタラやってると鎌だけじゃなく投げナイフまで飛んでくるしな。
ーーギィンッ!!
「なっ……!?」
「よっと」
剣を抜き、飛んできた鎌を上方向へと弾く。そのまま回収される前に鎌同士を繋ぐ紐を掴み取り、即座に引っ張って使用者の体勢を少しだけ崩す。斬っても良かったんだが、どうせなら利用させてもらおう。
そして瞬行で近付き鳩尾に蹴りを入れ、短剣使いと同じく当て身を食らわせ昏倒させる。途中槍使いから攻撃が来たが、剣を使って軌道を逸らし一旦距離を取って体勢を立て直す。
鎖鎌というのは確かに振り回される鎌自体は速いのだが、それに対し大元の動かす手の動きは単調でゆっくりとしたもの。そこを見れば大体の軌道は予測出来るし、加えて俺は鍛え上げられた動体視力と反射神経がある故、鎌の動きをみることは別に難しいことじゃない。弾くのは剣じゃないと無理だけど。
「さて……てなわけで、残るはお前だけだな」
一人残った槍使いに剣先を向けそう言い放つ。未だ闘志はあるようだが、それでも僅かに怯えが見える。
仕方の無いことではあるだろう。何せ、二人は開始から僅か数秒でやられ、自分をサポートしていた鎖鎌使いもいなくなったのだ。しかも、Cランクである自分達が新人の冒険者なんかに次々にやられたとあっては、気味の悪い思いをするのも当然だ。
「う……うぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
迷いを吹っ切るように雄叫びを上げつつ槍使いは突っ込んでくる。そしてそのまま、槍先を何度も連続して突き出してきた。
それに対し俺は、腰を深く落としながら一気に前へと進み出た。回避するのはもう終わりーー最後は正面から勝負を決めてやろう。
「ふっ!」
槍のギリギリ射程外の位置で急停止し、大地を踏みしめ余った勢いと全身の力を剣に乗せ、予測した槍の軌道目掛けて振り上げる。その剣筋は高速で動く槍の中心線を正確に捉え、切っ先を上方へと跳ね飛ばした。
それでも相手は槍をすぐに戻し体勢を整えようとしたが、当然そこには僅かに隙が出来る。その間に俺は懐に潜り込み、鳩尾に拳をめり込ませた。
「ごふぅっ!!」
槍使いの体は衝突位置から後方に一メートルか二メートル吹っ飛び、何回か転がったのち腹を押さえてうずくまる。そんな槍使いの首に俺は剣を突き付け、降参を促した。
「どうだ? まだ続けるか?」
「ゲホッ、ゲホッ!ぐぅぅ……んなこと出来るわけ、無い、だろ……。降参だ」
その宣言に満足し、剣を鞘に納め辺りを見回す。意識喪失二名に行動不能二名……うん、上出来だ。
相手は殺しに来てたんだから、こっちも殺しにかかって良いのかなと最初は思ったのだが……考えた末、それは止めておいた。普段なら良いが、今だけはダメだ。
俺はこれからギルドに登録する身なのだ。実技試験で相手を殺して冒険者になったとあっては、悪い意味で目立ってしまい活動がしにくくなってしまう。軽い噂程度なら何とかなるが、目撃者が多すぎるから信憑性も増すしなぁ……。
最初から剣を使わなかったのはそのためでもある。カストロやブロディと戦った時とは違い、今持っているのは刃の潰れていないまともな剣、今の俺の力で振るえば人間なんぞ簡単に殺してしまう。
確かに手加減は出来るが、爺ちゃん達基準で鍛えまくってきた俺のことだ。良く切れる刃を人間の体に打ち込むのなら、何か調整を間違えて殺してしまうような事が無いとも言い切れない。だからこそ、相手の体そのものに向けるのは全てこの身による打撃にしていた、というわけだ。
……だったら練習用の武器使えって? 魔物も殺すような武器相手に、そんなん使う気には流石にならんわ。他に選択肢が無いって言うならそうしたが、今はそういうわけじゃないんだし、別に良いだろう。
そんなことを考えつつ、倒れた四人を放置し観客スペースへと近付いていく。ほぼ全員冷や汗を流しつつ口を閉ざしていたが……。
「フフ……フハハハハハハハハ!!!」
ただ一人、クルツだけは俺を見て変な声で笑い出した。あんたはどこぞの世紀末覇王か。
「まさかここまでとはな! あの四人を相手に出来る位の実力はあるんだろうと思っていたが、こんなに早く終わってしまうとは思っていなかった。Cランクでは相手にならない、ということか?」
「そうでもないさ。俺はあくまで隙を突いただけ、まともにやってたらそれなりに時間はかかってた」
「謙遜するでない。それはつまり、一瞬の隙をも突ける技量があるということだろう? それに、重い槍をたったの一撃でかち上げる程の膂力も見事と言う他無い」
「そりゃどうも。というか、あれくらいしか無傷で突破する方法無かっただろ」
当然の事実だが、武器同士の戦いでは本人の技量や隙といった要素の他に、武器自体の性能も重要になる。より硬く、より重く、より鋭利に……といった感じのものだ。
そしてその中で一番勝敗を分けると言っても過言では無いものが、武器自体のリーチ。ナイフより刀の方が強く、刀より槍の方が強く、槍より銃の方が強く、銃よりバズーカの方が強い。これは覆せない事実であり、これを本人の技量などで如何に対処するかが、異なる武器同士の戦いにおいて避けて通れない道となる。
今回の場合で言うと、剣対槍では圧倒的に剣の方が不利。一般的に剣使いが槍使いに勝とうとする場合、少なくとも相手の三倍の技量は無いと無理と言われているほどに。一旦懐に入ればこっちのものではあるのだが、動き出しに対応してきたところを見ると、ただ回避を繰り返して隙を突くのは難しそうだった。
……ということで、強引に槍をかち上げるという力業で突破させてもらった。捨て身で突っ込むと何が起きるか分からなかったしな。
「それで、これで試験は終わりか? それなら俺は早く受付に戻って登録を終わらせたいんだが」
「ふむ……そうだな。試験に関してはこれで完了としよう」
「てことは、まだ何かあるってことか?」
「ああ、君に一つだけ頼みがあってな。今度は私とたたかーー」
「断る」
うん、やっぱ予想通りだったわ。受付で四人と戦うように言ったとき、試しにって言葉の前に付けてたから、まあこうなるんだろうなと思ってた。
そのまま踵を返して建物へと戻ろうとすると、
「待て待て待て! 話は最後まで聞け!」
と慌てた様子で静止をかけてきたので、仕方無く止まり振り返る。
「最後まで聞いたところで、アンタと戦えっていう内容は変わらないんだろ?」
「まあ、それはそうだが」
「ならお断りだ、何でわざわざSランクとなんて戦わなきゃいけないんだよ。もう試験自体は終わったんだし、俺は戻らせてもらう」
こんなところで時間を食うつもりは無いし、そんなことをするなら何か一件依頼をこなした方がマシだ。郊外に行くなら、早くしないと今日のうちに城に戻れなくなるしな。
それに……戦闘を避ける理由は他にもある。ただ単に、こいつとは戦いたくないのだ。
そんなわけで、俺は足早に建物へと向かう。さて、これでやっと冒険者としての生活がーー
「そうか……残念だな。もし勝負を引き受けてくれるというのなら、ギルド長権限でFランクから始めさせてあげようと思ったのだが」
「……………………」
背後から聞こえてきたそんな言葉に、俺の足はピタリと止まる。今の俺にとって、それは決してスルーしてはいけない内容だったからだ。
ギルドに登録して正式に冒険者となる際、ランクは必ず一番下のGランクから開始となる。どんな家の出だろうと、どんな実績を持っていようと、どんなに金を積もうと、この仕組みは変わらない。勿論俺だってこの仕組みには当てはまる。
そして、ランクを一つ上げるには結構時間がかかるらしい。どれくらいの実績を積んだら上がるのかはあくまでギルド側の判断らしいので、書物にも詳しい事は載っていなかったが……体験談を見るに、王都住まいかつ単独で一番下のGからFに上がるのならば、どんなに早くとも一週間以上はかかるのだとか。
俺の場合は書庫での調べものや魔法の修練と平行して行うので、一週間どころか二週間以上はかかるだろう。下手したらもっとかかってもおかしくない。
先に言った通り、冒険者は自らのランクによって受けられる依頼が変わってくる。GならG相当、FならF相当、と言った感じに。
パーティの場合はメンバーの中で一番ランクが高い者を基準にするとかいう措置は取られるそうだが、基本ソロでやるつもりの俺には関係無いので一旦置いておこう。
つまり、俺はしばらくGランク相当の依頼しか受けられないということだが……調べてみた感じ、冗談抜きに大した事の無いものばかりなのである。街の修繕依頼とか荷物運びとか、あとは薬草集めとか。戦闘関係の依頼だって、野生の兎を狩るとかそういった程度だ。
別に馬鹿にしているわけではない。依頼が出ている以上困っている人間がいるということだし、街の細かい事だって一つの立派な依頼であるということは変わらない。
だが俺は誰かを助けるために冒険者になるのではなく、あくまで生き残るため、強力な魔物達との戦闘経験を積むために冒険者をやるのだ。そういった事と関係無い依頼を受けて、変に時間を潰すような真似をする気は無い。
そんなわけで、Gランクでいる期間というのは俺にとっちゃ無駄以外の何物でも無いのだ。それをすっ飛ばせるなどという事を、俺が聞き逃して良いはずが無い。
「その言葉、本当か? というかそんなことが出来るのか?」
「ああ、勿論。あまり大きくは言えないが、ギルド長である者が直々に実力を認めた相手なら、特例としてFランクから開始する事が出来るという決まりがあるのだよ。……尤も、最近では新米達の中にそんな者を見かけることなど無いから、殆ど形骸化していたものではあるがな」
「……認めるかどうかっていうことなら、今の時点で既にそうなんじゃないのか?」
「確かにそうだが、それでも戦ってみたくはあるじゃないか。そして君ほどの力を持つ者なら、一刻も早く高ランクとなって魔物と戦いたがるものだ。ならば、こういう形にした方が互いにとって得だろう?」
「……………………」
クッソ、選択肢無ぇじゃねぇか。良いように話に乗せられてて心底イラつくが、そんな話を断れるはずが無い。
「……分かった。その話、受けてやる」
「おお! やっとその気になってくれたか」
「わざとらしいわ! 上手くいったな、とでも言いたげな顔しやがって……!」
「ハッハッハ、そう言うな。私とて冒険者としての血が騒いでいるのだ、多目に見てくれ」
「笑い事じゃねぇっつの……」
そう、真面目に笑い事では無い。クルツの奴も腰に剣をぶら下げているわけだし、戦うのならお互い真剣を使うことになる。
となれば……これは決して模擬戦闘などではなく、単なる殺し合いと言ってもいいくらいになるということだ。こいつはそれだけの腕を持っており、俺もそう手加減をすることは出来ないだろう。
冒険者になってパパッと依頼をこなすつもりだったのに……何でこんなことになるかね。まあ、俺にとってもかなり得のある話だから、仕方無くはあるんだけどさ。
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