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シーカーズ ~大器晩成魔法使いの異世界冒険譚~  作者: 霧島幸治
設定資料集 随時更新 (ネタバレ注意)
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魔法編(二章34話時点)

作中にもある文をまとめた他、いくつかの裏設定や事情を載せてあります。



全部まとめると文字数が多すぎて見にくいので、いくつかの項目に分けて投稿という形になっております(機器の問題で、まとめると処理落ちして編集すらまともに出来ないから分けている、という裏事情もあり)。

【魔法】

 魔力を用いて起こす超常的な現象の総称(と一般的には定義されている。実際は異能の中にも魔力を用いるものは存在するので、この定義は正確には正しいとは言えない)。大きく分けて属性魔法と魔法陣魔法の二つに分かれる。




『魔力』

 魔法を使う際の燃料であり、世界のどこにでも存在する物質(作中で明言はされないが、素粒子のようなもの)。魔法を使えば使うほど体内の魔力は減っていき、それに応じ体には様々な症状が現れていく。詳細はステータス編のMP欄を参照されたし。


 当然体に蓄えられる魔力の最大量(基礎魔力量)が多ければ多いほどそういった症状は起きにくくなるが、その分起きた際の程度が酷くなるというデメリットもある。基礎魔力量は生まれた時点で差が大きく出る上、成長するにつれ増えていく以外で意図的に伸ばすことは難しい。精霊属性持ちや召喚された勇者達は値が大きい(この世界の平均が大体900なのに対し、勇者は揃って最低でも2000を越えている)が、何故なのかは詳しくは分かっていない。



 あらゆる生物は大気中の魔力を取り込みながら日々生活しているのだが、性質の違いから生物の体内にある魔力は内部魔力、大気中に漂う魔力は外部魔力と区別されており、外部魔力をそのまま体に蓄えることは出来ないので、無意識下で外部魔力を内部魔力に変換している。この取り込む速度は緩やかなものであり、かつ変換にも魔力をある程度使用しなければならないため、回復速度は非常に遅い。


 外部魔力を感覚的に捉え、意識を集中させ変換を無意識ではなく意識的に行うことで、自然回復量を僅かに高める位のことは一応出来なくはない。が、自身の内部魔力以外の魔力ーーつまり外部魔力や他者の内部魔力を感じ取る事自体がまず不可能に近く、才能溢れる者が長年修練を積んでやっと、直接肌で触れている他者や空間の魔力を何となく感じ取れる程度である。


 魔法発動時みたく魔力が凝縮してる場合なら話は別なのだが、普段の拡散した状態で感知する事は無理と言われている。このため、回復速度を高める事はごく限られた者しか行うことは出来ない。



 外部魔力を直接使って魔法を使えればそれが一番なのだが、何となく感じ取ることすらこの上無く難しく、正確に感じ取ったり干渉したりする事など不可能だと断言されている。魔力自体目には見えないものであるし、外部魔力はそれに加えて基本感知も出来ないのだから、干渉などとてもとても。……というのが世の常識。


 これに反し修哉とダグダは扱うことは出来なくとも魔力を視認するにまで至っていたわけだが、何故二人がそれを出来ている(または出来ていた)のかは現時点では不明。勿論れっきとした理由があるのだが、解き明かされるのはこれまたずっと後でございます。




『属性』

 火・水・風・土・治癒・精霊の六つが存在し、前四つは基本属性、後二つは特殊属性と呼ばれている。この内火と水、風と土はそれぞれ相反関係にあり、生物には基本的に生まれつきこの六つの内どれかが適性属性として備わっている。


 大抵の者は一つしか授からないが、二つ以上持つ者も中にはいて、一般的に二属性者(ダブル)三属性者(トリプル)という言い方をされ特別視される(勇者達が特別視されるのは、この複数属性持ちが多いことも理由の一つ)。これに対し、一つだけ持っている者達を一属性者(シングル)と呼ぶことも無くは無いが、あまり浸透していないので書物の中だけの言葉となっている。


 適性は生まれつき決まっているものであり、後から新しく発現することはない。生まれる際どうやって決まるのかは未だに議論が交わされているが、現在では遺伝に加え何らかの要素が絡み決まると言われている(まあ遺伝とはいっても遺伝子関係の知識が存在するわけではないので、多分こうだろう的な認識止まりで詳しい事は分かっていないのだが)。


 尚、特殊属性のうち治癒属性は希少性と性質的に重宝するもの故どんな生まれだろうと基本大切に扱われ、もう一方の精霊属性は希少性と性能からその身を狙われる事が多く、基本的には属性を偽ったり隠し通したりして日々生活していたりする。真逆とも言える生活を送ることになる両者だが、精霊属性は一国を滅ぼす程の強大な軍事力にも成りうるので仕方の無いことだとも言える。



 主人公を初めとした無属性達はそんな属性システムの外に存在する、ごく稀に生まれてくる適性を持たない者達。何故適性を持てなかったのかは未だ謎に包まれており、大した魔法が使えない故無能や落ちこぼれといった評価を受け蔑まれている。


 今の時代では殆ど無いが、出現及び増加の時期が魔族が六大陸を襲い始めた頃と一致するため、魔族の血を引く者という扱いをされ昔は酷い迫害を受けていた。魔人という蔑称を付けられたり、拷問や追放をされたり、最終的には殺されたり。



 尚、修哉は正確には無属性とは別の系統外というところに属しており、通常の無属性なら僅かでも基本属性の力を扱うことが出来るところを、修哉の場合基本属性含め六属性の力の一切が使用不可。またそもそもその力を扱うことが出来ないため、能力生成(スキルメーカー)により六属性の能力を作ることも不可。


 属性を持たない&無属性魔法は扱えるから形式上無属性に分類されているだけで、両者は全くもって別のもの。何故こうもボロクソなのかは本人にも分かっていない。




『属性魔法』

 自らの内部魔力を使用して現象を引き起こす魔法。使用には鍛練と集中力が必要不可欠。

 適性属性が深く関係しており、基本的に自らの適性に合った属性のものしか上手く使えない。特に、特殊属性に関しては適性を持っていなければ全く扱う事は出来ない。


 適性外の基本属性の魔法は、特殊属性と違い全く使えないわけではないが、集中力も魔力も余計に必要な上発動した魔法も本来のものとは性能として大きな開きがある。鍛練次第ではある程度使いこなせるようにはなるが、効率が悪いためわざわざやろうとする者は少なく、結果として適性属性以外の属性の魔法を使いこなせる者は滅多にいない。



「基本属性(火・水・風・土)の魔法」

 その名前のものを魔力によって生み出し操ることが出来る。使用者のイメージによって発動し、また自在に姿形性質を変えるというのが本質ではあるが、それには確固たるイメージが定着している必要がある。

 イメージを定着させるというのはそう簡単な作業ではなく、少なくとも一朝一夕で出来るものではないため、その点で言うと無詠唱(魔法名だけで魔法を発動させること)に至るまでに長年の努力が必要というのは間違ってはいない。才能の有る無しはあまり関係が無い。


 この世界の人間の殆どはこの仕組みに気付いておらず(無詠唱使い達が特別だと称されるのが良い例。魔法陣魔法や治癒魔法の際に魔力を流せるのはイメージを重ねた結果なわけですし、気付いてもおかしくは無いはずなんですが……まあそこら辺は凝り固まった常識のせいなんでしょうね)、発動には基本的に詠唱を用いている。そのため、詠唱魔法という通称で呼ばれる事が多い。



 初級・中級・上級・特級という枠組みがされており(無詠唱使いにとっては関係無し)、級が上がるにつれ必要な魔力や魔法を維持する集中力が増えていく。詠唱が格段に長くなったりはしない。


 この内特級は無詠唱の会得者が独自に作り出したオリジナルの魔法であり、詠唱は存在しない。精霊魔法にすら肩を並べる程の性能を誇る反面、あくまで無詠唱を更に探究した末に生み出されたものなので、無詠唱が出来ることが前提になっている。


 開発者本人的にも無詠唱なりの感覚で作り出したものなので、詠唱を後から作り出すことはほぼ不可能。実際、歴史上特級の魔法の詠唱が作られたことは皆無。


 基本属性の魔法には属しているものの、上級の詠唱魔法という枠組みには収まらない性能。議論が交わされた結果、上級までしか無かったところに新たに枠を設けることになり、詠唱魔法を極めた者にしか使えない特別な魔法ということで、特級と呼ばれるようになった。



「詠唱」

 唱えることで頭の中に強制的にイメージを作り出し、魔法の発動を補助するもの。日本の言霊信仰のように、詠唱に含まれる言葉には本当にイメージを作り出す力があり、例え魔法の未経験者であろうと詠唱を覚えるのと練習を積み重ねれば魔法が使えるのはこの力によるもの。


 キーワードが含まれた文章としての形をしていなければ力を発揮しないため、キーワードが抜けた文章を唱えたりキーワードだけを抜粋しても意味は無い(足りない部分のイメージが定着していない場合の話。定着していれば一応発動はする)。また、使用者本人が詠唱の文章をまともに辿った感触を実感していなければならないため、あまり早口で唱えても同じく意味は無い。



 便利である反面、大きく分けて四つ問題点が存在する。


 一つ目、詠唱中は他の行動を取りにくくなる。頭の中に勝手にイメージが作り出されるということは、それまでまとまっていた思考に想定外の横槍を入れられるということであり、複雑な動きが出来なくなる。走る位は問題無い。


 この事は作中で修哉が体感しており、詠唱をしながら剣を振ると動きが雑になっていたりした。並列思考(マルチタスク)を活用して思考を分割していれば問題無いが、そうでないなら戦闘中に派手にスッ転ぶ事になる。普段から集中力が高い人間程、詠唱による被害は酷くなる。


 二つ目、詠唱で作り出されるイメージはあくまである程度朧気なもの。これが原因で人間達は詠唱魔法の本質に気付けずにいるのだが、つまりは無詠唱で出す魔法とは威力も強度も大きな差が出てしまう。


 三つ目、詠唱を使うということは、同時に詠唱に縛られるという意味でもあること。一つの詠唱で作り出せる魔法は一種のみであり、また詠唱の種類にも限りがあるためそこが限界となりその先へは進めなくなってしまう。その壁を突破しうるのが無詠唱魔法であり、だからこそ無詠唱使い達が生み出した特級の属性魔法は、属性こそ同じだが既存の魔法とはまた違ったものになっている。


 四つ目、当たり前だが発動までに時間がかかる。一つ目でも言った通り詠唱中は複雑な動きが出来ず打たれ放題になるので、遠距離での魔法の撃ち合いならともかく近距離戦闘中に発動することは危険極まりない(というかほぼ出来ない)。



「特殊属性(治癒・精霊)の魔法」

 治癒属性は魔力によって生命力を活性化させ、対象の怪我や病気を強制的に治す他、魔力を使って毒を無害化したりもの。精霊属性は魔力を用いて精霊と意思を交わし、自らを認めた精霊と契約を交わして魔力を譲渡し代わりに魔法を使ってもらうもの。このことから、精霊属性持ちは精霊使いと呼ばれる事が多い。


 医療技術がそこまで発達していない(大規模な手術が行えないという意味であり、ある程度の医薬品なら存在する)この世界では、簡単に傷を治せる治癒属性が重宝されるのは当たり前。精霊属性も精霊属性で基本属性とは格が違う威力を叩き出せ、一国を滅ぼすレベルの力を持ちうるため特別視されている(このことは、現在Sランク冒険者として名を馳せている五人が全員精霊属性持ちであることからも良く分かる)。



 双方共に強力なものではあるが、基本属性とは違い自身の内部魔力そのものを扱うため、まず修練により何となく内部魔力の感覚を掴めるようにならなければならない。そうしなければ、適性を持っていたとしても一生特殊属性の魔法は使えず、また精霊属性に限るが精霊と契約を交わさなければ本格的に使うことは出来ない。


 つまりは使えるまでに結構時間がかかる。佐々木と八雲はたったの三ヶ月で多少なりとも使えるようにはなっていたが、あれは実際かなり異常な部類に入る(普通年単位でかかってもおかしくはない)。事実勇者の中にいた残り二人の精霊属性持ちや他の治癒属性持ちは、未だ感覚すら掴めていなかったりする。



 また、基本属性とは違い魔法の行使にイメージが介入することは無く(精霊に複雑な指令を下すことは出来ず、またそもそも精霊自体基本的に深く考える存在ではないため)、いつどんな風に使っても安定した性能を誇る。


 これは長所でもあるのだが、イメージが介入しないということはそれ以上の強化が見込めないということでもあり、ある程度の練度まで達したらそれ以上性能が向上することは無いので短所とも言える(一応精霊属性に関しては、契約した精霊の数が増えればその分強化はされる。しかし、同じ数のままなら使いこなせるようになった後は頭打ちということ)。




『無属性魔法』

 魔力そのものを流したり固めたりする魔法。適性の有無が関係無く誰にでも使えるので、属性魔法とは別に分類されている(詠唱魔法と仕組みは同じ)。というか魔法扱いすらされないことが多い。


 他の魔法なら生み出された物質や現象の強度を魔法自体が補ってくれるところを、無属性魔法の場合はそれすらも魔力を使って作らなければならないので、使用においての魔力の消費量が馬鹿みたいに高い。その結果やっと作り出せた魔法も性能的には残念の一言に尽きるので、無属性共々常に蔑まれる立場にある。ただ、性能がアレな分危険性が少ないので、習得難度が高い身体強化(ブースト)以外は魔法の入門用として使われることが多い。



魔力撃(インパクト)

 魔力を集めて固めて飛ばす魔法。元々空気のように殆ど質量のない魔力を無理矢理固めて質量を持たせているだけなので、威力も硬度も弱く正直石を投げた方が早いし強い。


 固めるとは言っても強固というわけでもなくただ集めただけなので、距離が伸びるごとに魔力は大気中に散っていき、最終的には消滅する。射程距離が非常に短く、戦闘にはとても使えない。



魔力製糸(ストリング)

 魔力を細く固め糸を作り出す魔法。物に巻きつけて引き寄せるという芸当も出来なくはないが、一本一本が細い上に魔力撃(インパクト)と同じく強度がめちゃくちゃ弱いため、小枝程度がを引っ張るのが限界。



身体強化(ブースト)

 魔力により身体能力を強化する魔法。細胞を活性化させ性能を向上させる形になるので、実際には強化ではなく活性化と言った方が正しい。

 一度に流れる魔力の量が多ければ多いほどパワーやスピードは増していき、またイメージ次第で部位を選んで流す事も出来るが、この世界の人間は凝り固まった常識に囚われているため、発動時は全身に常に一定量を流す事しか出来ていない(それでもイメージ無しで全身に流す事が出来ているのは、元々魔力は常に全身を巡っているものであり、身体強化(ブースト)はそれを活性化方向に持っていってるだけだから)。


 内部魔力をより正確に扱えなければこの魔法を使用することは出来ないため、努力よりもまず才能が無ければ使えないと一般的には言われている。修哉は魔力を視認出来るため感覚を掴んであっさりとやっていたが、そうでない場合はあんな早くは出来ません。



光源生成(ライト)

 指先に光を灯す魔法。豆電球レベルの明かりしか点かず、修哉がスラーンド森林帯で見つけた常時発光する緑光石にすら負けている。




『魔法陣魔法』

 魔法陣を描き、魔力を流してそこに込められた内容を発動させるもの。描く際には魔力を通しやすい物質を使って描く事が求められる(作中で修哉が使っていたカンバスインクがこれにあたる)。陣ごとに決まった最低量の魔力が流れさえすれば発動するので、無属性魔法同様使用において適性は関係ない。


 魔法陣自体はかなり緻密であり、少しでも描き間違えて形が違っていると魔力を流したところで発動はしない。これに関連し、発動には魔法陣自体が無事な状態でなければならず、途中で物理的に途切れていればそこで魔力の流れは止まり魔法陣は発動しない。


 また、魔力を流した際陣としての形を保つために、一本一本の線の太さにも下限が存在するため、必要以上に小さくする事は出来ない。普通に使う分には何も問題無いが、魔石を使って発動させる際はこの条件が非常に重要になってくる。



 初級・中級・上級・特級の四つのランクが存在し、一つ上がる事に陣は複雑になり必要な魔力も増えていく。また、同じ魔法陣でも流れる魔力の量が多くなれば効果も増大していく。


 物体や現象を発生させるだけのものであり、作り出した物を撃ち出したり複雑に操ったりすることは出来ない。また、魔力が流れている間しか発動してくれないという特徴もあるので、トラップとして使用することも出来ない。これらの理由により、魔石を用いなければ戦闘において活用することは難しく、基本的には魔道具の作成に利用されている。



「魔道具」

 魔法陣魔法と内部の機構を用いて様々な効能を発揮する便利製品であり、立ち位置的には現代で言うところの家電製品に近い。色々種類があり、便利さ故貴族市民問わず生活に無くてはならないレベルのものになっている。


 具体的な物としては、家庭用品だと光の魔法陣を使った照明や火の魔法陣を使ったガスコンロ、吸引の魔法陣を使った掃除機や冷却の魔法陣を使った冷蔵庫等。武器で言うと魔剣等、それ以外だと隷属の首輪や属性判定道具等がある。



「魔剣」

 武具系魔道具の一つであり、魔法陣魔法を組み込んだ剣の総称。通常の剣として使う他、刀身の周辺に魔法のエネルギーを発生させることで戦闘を有利に運ぶことが出来る。例えば風の魔剣は、風の刃を作って飛ばしたり刀身から突風を発生させて相手を吹っ飛ばしたりすることが可能。


 製作段階で魔法陣とそれを活かす機構が内部に組み込んであり、柄に魔力を流すことで機構を通り魔法陣が発動し効果を発揮する。大元は古代文明の産物として遺跡から発掘されたものだが、かなり特殊かつ複雑な造りをしている上製造方法は一切伝わっておらず、現物を見ても何で強度が保ててるのかが分からないため完璧な再現は不可能。


 似たようなものは作れなくは無いのだが、オリジナルよりも強度としては大きく下回ってしまい武器としてはまるで役に立たない。要するにパチモンということだが、それですら製作にはかなりの手間と時間がかかるため、現在では作ろうとする者は殆どいない。



「魔石」

 魔物の体内に生成される魔力が凝縮された物体で、決まって心臓のすぐ上の位置に生成される。また、外部魔力とは違い発動時の魔法と同じく魔力が凝縮されているため、触っただけで魔石かどうかはすぐに判断できる。


(この生成位置の理由は作中では明言されない……というか書いてもあんまり意味無いので書くつもりは今のところありませんが、魔石の魔力以外の主成分は魔物の細胞だからです。血液は全身を巡り心臓へと帰り、魔力もまた全身を巡り心臓付近へと帰る。この際滞留した血液中の成分と魔力が集まって固まっていき、年月をかけて魔石が生成される、という仕組みのつもりです。心臓の中に出来ると血栓みたくなって自爆するので、そうならないように漏れ出て心臓上部に行ってるってことにしてください。


 科学や医療の技術が発展してないこの世界じゃ、そりゃ人工的には作れませんな。現代の科学だったらもしかしたら出来るかもしれませんけど。


 この現象は魔力の扱いがド下手な魔物だからこそ起きる現象で、人間や動物は血液循環や魔力の扱いが上手いので滞留することはなく魔石は生成されません。魔族も同様。人間・魔獣・魔族は日常的に魔力を消費してるわけですしね)



 他の物質ではなく魔石に魔法陣を描いて発動した場合、使用者が魔力を流すのを止めてもあとは勝手に魔石内部の魔力が供給され続けるため、発動を継続させる事が出来る。また魔石の魔力が流れ始めるまでに少々タイムラグがあり、その間魔法が発動する事も無い。これらの仕組みを利用し、魔法陣を描いた魔石を置いたり投げたりして活用するのが基本的なやり方。


 また、魔石を使った場合魔石内部の魔力が吸い上げられるように勢い良く流れるため、普通に発動した場合と大きく差が生じる。例を挙げれば、本来初級ではコンロレベルの火しか起こせないところを、魔石を使うと一人の人間を包んでしまう程の炎が発生したり。これも魔石を使えば戦闘に十分活用出来る理由である。



 欠点としては大きく分けて二つ。一つは魔石によって発動出来る魔法陣と発動出来ない魔法陣が存在すること。


 大元の魔物の種類や個体の違いにより、生成される魔石の大きさや質は大きく異なる故、魔石は大まかにS~Dの五段階に分けられている。このランクは魔物の討伐ランクと連動しており、SSの魔物からはSランクの魔石が、SとAからはAランクが、BCはそれぞれ同じランクの魔石が取れ、D以下はDランクの魔石が取れるという風になっている。


 先に言った通り魔法陣の線の太さは一本一本下限が存在するため、ランクによって発動出来る魔法は変わってくる。具体的に言うと、Cは初級、Bは初級及び中級、Aは上級まで。Dはそもそも使うことが出来ず、Sは特級含め全ての魔法陣魔法を発動させられるものの、その入手の困難さ故基本的に国宝に指定され利用されることは無い。



 もう一つは、魔石は貴重なくせに使い捨てだということ。魔石は魔物の体内からしか取ることが出来ず、人工的に生成する事が出来ないため、必然的に産出量は少なくなる。


 にも関わらず、魔石に描いた魔法陣は一度発動すると魔石内部の魔力を使い切るまで止まることは無く、終了と同時に消滅する。回収してまた使うということは出来ず、この燃費の悪さから大抵の冒険者は保持などせず売却して金に変えている(魔石は高価なため売ると結構な金になる。Cランクの魔石でも買う場合は一個あたり金貨一枚、つまり日本円で10万はかかるため、利益を考えても売値もそこまで変わらない)。




『召喚魔法』

 遠い昔世界各国の王家に伝わった秘術で、現代の魔法とは根本から仕組みが異なる謎の魔法。古代魔法という別名でも呼ばれているが、あくまで現代の魔法と比較してやむ無く名付けられたものであり、年代的に言えば属性魔法だって同じく遠い昔から使われてきたものなので正しい呼び方とは言えない。


 膨大な魔力により次元の扉をこじ開け、異世界のとある範囲と空間を繋ぎ、その範囲内に存在する人間を勇者として強制的に呼び寄せるもの。使用中異世界側では範囲内と外との境界線に人間が存在しないタイミングで発動し、発動後までの間その範囲は世界から一旦空間を分け隔絶される。修哉達が召喚の直前に教室のドアや窓に触ることが出来なかったのはこのため。


 使用中は常に魔力を注ぎ込まねばならず、魔力が切れるまでに成功しなければ停止と同時に溜まった魔力が周囲に襲いかかり、魔法の使用者及び補助動員、つまり行使に携わった人物全員に被害が行く。特に使用者には到底耐えきれぬ程の負荷がかかり、大抵は即死、稀に生き残る者もいるが逆流した膨大な魔力によって既に脳が逝っており、無期限の昏睡状態となり目を覚ますことは無い。辛うじて肉体は生きているものの、この世界には点滴など無く新たに栄養を得る事は出来ないので、延命したところでいずれ衰弱し死んでいく。



 使用においては中心人物である使用者本人は王家に名を連ねるものという縛りが存在し、それ以外の人間は魔力を供給する補助としてしか機能する事は出来ない(それ以外ではやったところで反応すらしない)。上記の通り使用者本人は失敗した際確実に死亡するので、召喚魔法は失敗イコール王家の血筋が途絶える可能性を引き上げる悪魔の業と化す。


 行使に携わる者達を無駄死にさせる可能性が高いことを考慮し、大半の国々の王家は召喚魔法のデメリットの方に目を向け非人道的として禁術に指定し、文献に関しても遥か昔に封印するか処分している。それ故召喚魔法に関しての資料は、今や魔物の被害が大きく最早形振り構う気を無くし使用を検討している国にしか存在していなかったりもする。



 ちなみにだが、あくまで王家としての苗字や名声を得ていなければならないため、没落したりどこかに嫁ぎ苗字が変わったその瞬間から対象から外れるという裏設定も存在する。また、王家としてある程度歴史を持っていなければならない(代を重ねたり、名を馳せていたり)ため、建国を宣言して国王となったからといっていきなり召喚魔法を使えるわけでもない。

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