僕にはそれしか道がなかった
「貴様はこれで終わりだな」
最終宣告が僕に突きつけられる。僕はどこで間違えたんだろう。僕はどうすればよかったんだろう。首を傾げて考えてみても何も答えは見つからない。間違えたつもりもなかった。間違えるつもりもなかった。これしかやる事がわからなかった。だからこれをした。それで終わりを告げられるのなら僕の未来は初めからこれひとつしかなかったのだろう。
「あなたは……なぜこんなことをしたのですか?」
優しい彼女が僕へと問いかける。震える手をぐっと押さえ込みながら、凛とした目でこちらを見つめて問いかける。なぜ?なぜと聞かれても答えようがない。だから僕はこう言うしかなかった。
「さあ。だって僕にはそれしかなかったから。ひとつしかない選択肢をなぜ選んだのかと言われても僕には答えられない」
僕にはその問いに答える術が無い。僕の中にはそれに対する答えがない。世界を滅ぼすために生み出された僕にはそれしか意味がない。その選択肢しか僕の前にはなかった。道は一つしかなかった。幸せな家庭や仲の良い友達なんかはただの幻想でしかなかった。ただ世界を滅ぼすために生きることしか出来なかった。
「あなたほどの力があればもっと色んなことができたはずなのに。なぜそれをこんなことにしか使わなかったのです?」
問いかける彼女の目を見返して考えてみる。色んなこと。色んなこと。それは何だろう?世界崩壊にしか使わなかったと言われても世界崩壊しか使い方を知らないのだからどうしようもない。これ以外の選択肢を与えてくれなかったのは世界じゃないか。それを僕に言われても困る。僕にはそれはどうしようもないことだから。
「あなたには願いはなかったのですか。平和な平凡な願いなんかが」
ああ、その質問になら答えられるかもしれない。空っぽな僕がただ一つ願ったことがある。
「僕はずっと……そうずっと…………」
僕が持っていた唯一の願い。そう……それは……
ずっと
愛されたいって願ってたんだよ
でも
それが
叶わぬ願いと知ってたんだよ
だって世界を滅ぼす兵器として作られた僕にそんなの無理だってわかっていたさ!