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前世持ちの妹はゲーム展開など認めません!  作者: よど@感想ください
1/5

1.突然の目覚め(前世)



 私には大好きなゲームがあった。

 それは家庭用ゲーム機黎明期に発売されたRPGで、勇者が聖女など旅の仲間たちと魔王を倒す旅に出る王道ストーリーだった。

 レトロゲームながらハイクオリティのアニメーションシーン、ゲーム音楽史に名を残すBGM、当時新人だった超売れっ子声優陣による名台詞、それに何より敵味方問わず魅力的なキャラクターたちに、私は心奪われていた。

 今では知る人ぞ知る状態になっていたマイナーゲームだが、私を含め熱烈なファンのおかげで20周年ファンブックも発売され、移植ソフトの発売も決定し、私はこれからもこのゲームを愛し続けるぞー!と心を新たにしていた。

 なぜ、いきなりこんな話を始めたかって?

 それはもちろん。







 わたくしの生きるこの世界が、そのゲームの中だったからですわ!!!







 わたくしが目を覚ますと、そこは豪奢な寝台の中でした。

 一瞬なにが起こったかわかりませんでしたが、すぐにここはわたくしのベッドであり、自室であることを思い出しました。

 こんなことがわからなくなるなんて、ずいぶん寝ぼけてしまったようです。

 そういえば今日はとてもおかしな夢を見たような……

 なんだか頭がぼうっとして、ベッドから起き上がりもせずに夢の内容を考えていると、そばに控えていたらしいメイドが慌てて寄ってきました。


「お嬢さま、お目覚めになられたのですね! あぁ良かった! 今お医者さまをお呼びしますっ!」


 テンション高くそう叫ぶと部屋を出て行ってしまいました。

 お医者さま? わたくしはなにかケガをしてしまったのかしら。

 そういえば体がとってもダルい。頭は覚醒しているのに指一本も動かせないレベルでダルい。これは以前やったオールカラオケ並の疲労感……


 ってなんですかこの思考は!?

 オールカラオケってなんですの!?

 わたくしまだ6歳児なんですが!?


 あまりの衝撃にパッチリ目が覚めました。

 怖い! なにこれ怖い! わたくしの脳内に得体の知れないものが潜んでいます!

 いやーっ、乗っ取られる! 私エイリアンとか触手が脳にズボッてされてぐちゃぐちゃーってされる系ホラー大っ嫌いなのに!


 いや待て、落ち着くのよスカーレット。私はまだ乗っ取られてない。わたくしの体はわたくしの意思で動かせている。だから後はきっと精神力の強さが運命を決めるのよ。

『意思を強く持つんだ! 幽霊なんかに負けるんじゃない!』みたいなやつよきっと。

 よし、まずは落ち着いて自分の記憶を確認しましょう。


「えっと、わたくしの名前はスカーレット・ハミルトン。タリア王国の創設から携わるハミルトン家の次女であり、現在は淑女教育真っ最中の6歳ですわ。

 ここはわたくしのお部屋で、パッと見回すかぎり特に変化はないようですね。でもお花が増えて、ソファーの前には贈り物の山があるような……あ、メラニーお姉さまのカードが付いています。開けるのが楽しみですわ。

 そういえば先ほど、メイドがお医者さまを呼んで出て行きましたわ。わたくしの身になにが起こったのでしょう……

 いいえ、負けてはいけませんわレット!

 ハミルトン家直系の娘として、わたくしは誰よりも立派な淑女になるのです。こんなことで弱音など……!


 …って、ハミルトン? タリア王国? それにメラニー?

 それってあの『ディザイア・ワールド』の地名や登場人物じゃなかったっけ。

 つまり私は《聖女》メラニーの妹!

 まじか!


 ……待ってください、聖女ってなんですの!?」


 これまでの出来事を思い返していたら、またもや謎思考が入り込んできました。

 しかも聖女? ゲーム?

 疑問符を浮かべる端から脳内に回答が浮かんできます。


「確かにメラニーお姉さまは10歳ながらにお美しくてお優しくて大好きな自慢のお姉さまですが、そんな二つ名など聞いたことがございません!

 え、未来の話? 数年後、魔王退治のために勇者が旅立ち、そこにお姉さまが同行する? そんな、あの華奢で妖精のようなお姉さまが魔王と戦うなんて!!!

 あ、頭に血がのぼって目の前が真っ暗に…………」

「お医者さま、こちらです! ああっ、お嬢さま-!」


すかーれっと は めのまえ が まっくらに なった !

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