モモタロウ伝説2
純平と同じ中学で、中学1年のとき、傷害事件がきっかけで少年院にいっていた楼。
とっくに始業のベルが鳴っている中、
純平と駿、川流の学生でもない楼と3人、校舎の屋上でたむろする。
「にしても、ホント久しぶりすぎて嬉しいよロー♪元気だった?喧嘩三昧だった?少年院でも笑」
「、、、。」
「………。」
「てか、純平に会いにこの学校きたの?」
「そう、出たら来るって言ったから来た」
「少年院をってこと?」
「そう」
中学時代に傷害でパクられて、純平と再会する約束を交わしていたロー。
「懐かしいなー」
以下回想。
4年前。
二人が吉備中の1年生だったときの話。
純平はこの頃から、サッカー部と野球部を掛け持ちしていたスポーツバカだった。
ある日、野球部の練習のために、部室に道具を取りに入ったときローと初めて顔を合わす。
当時の吉備中は、ヤンチャな高学生が多くて、部室を溜まり場にしていた事が多かった。
「あ、ちぃーす♪道具取らせて貰いまーす♪」
10数人のヤンチャな先輩たちが、
野球部の部室でタバコを吸っていた最中のこと。
「お~一年生。野球がんばれよ。俺を甲子園に連れてってくれ」
「は?バカすぎお前。甲子園は高校生だから。」
「あ?そーなの?」
「マジうけるわバカ♪」
ゲラゲラ笑う先輩ヤンキーたち。でも、
決して嫌な人たちじゃなかった。
そしてそんな3年生たちの中に1人混じっていたのが、
ロー。
純平と同じ一年生の、高嶺 楼だった。
当時のローは、まだ一年生なだけあって、背も低く、成りはライオンみたいなボッサボサの髪に、
ドぎついパーマをかけていて、短ランボンタン。
とりあえず喧嘩っ早く、
3年生たちにも、敵対するくらいなら付き合いした方がいい、と思われる程無茶苦茶するヤツだった。
「んじゃ、失礼しま~す♪」
部室を後にして立ち去る純平を見て、このときからローは、純平の事が少し気になっていた。
怖さのあまり部室に入れないヤツや、
入ってきても、3年生たちにビビりまくるヤツらとは、全く違う立ち振舞いをする純平に。
高嶺 楼。
昭和を生きるような成りのヤンキー。
入学してすぐに三年生にバカにされ、そのまま騒動を起こす。
10数人に囲まれた楼だったけど、全く怯むことなく、
その人数相手に喧嘩をして病院送りにされた。
でも、
楼を相手に負傷したやつも何人かいて、
小学校上がったばっかりのチビの一年生にして、
喧嘩が強いのを思い知る三年生たち。
そして騒動の次の日に起こった、楼の報復事件。
病院を抜け出してきて、学校に来るやいなや、昨日の三年生を見つけていきなり殴りかかる。
すぐに数人が止めに入るが、あまりの楼の狂乱ぶりに、手を出せないでいた。
ゴタゴタは落ち着いて、
後日新たに、楼に報復しようと考える三年生たちだったが、
更に報復されるのが目に見えて分かっていたから、
敵対するより、
連れとして引き込む事を選んだ。
どう言う話し合いで、連れ添うようになったかは当人たちしか知らないけど、
その日から三年生と楼は常に一緒に居るようになった。
正に狂気の一年生。
その存在を知らないヤツは居ないほど。
そしてその狂気の楼が、純平にしかける日がくる。
「ちぃぃ~す♪道具、、、ん?」
部室に道具を取りに来た純平だったが、三年生たちの姿はなく、楼1人だった。
「あー!今日は修学旅行かなんかで先輩方居ないんだった。ま、行ってないだろーけど笑」
楼を無視して独り言いって笑う純平。
「おい」
「ん?」
純平に絡む楼。
「お前。喧嘩、強いだろ」
「ん?多分ね♪」
「………やるか?」
「なにを?喧嘩?喧嘩はしないけど、暇なら野球する?」
「………」
余裕な態度にムカついた楼。
「余裕だな、強いんだろうけど、俺の方が強いぞ」
「え?野球?」
その一言にキレた楼が立て掛けてあった金属バットを掴んだ、
その瞬間!
「!!」
手を掴みバットを取り上げ、楼と対峙する純平。
「喧嘩したいんだろーけどさ、おい。部活の道具に触んじゃねーよ。」
「死ね」
「!!」
喧嘩勃発!