モモタロウ伝説
「え?純平の知り合いか?」
いくら元暴走族でも、まるで昭和の生きた化石のような出で立ちのリーゼント野郎に、駿はドン引きしていた。
「いや、駿!アイツ超おもしろい奴だから紹介するから!
キャプテ~~~ン!!今日はもう朝練更けますから~!!
ちょっと来てよ駿!」
「、、、ああ」
リーゼントと純平、そして駿の出会い。
「とりあえず、楼!目立ちすぎるからその超カッコいいリーゼント♪」
「……当たり前。」
「とりあえずこの学校、部外者の出入りうるさすぎるから、コッソリ裏道通って、屋上いこーぜ♪」
「、、、。」
「……。」
3人は、誰もいない校舎の屋上にやってきた。
「マジで超久しぶりなんだけど!!ロー!
何年ぶり?4年くらい?」
「分からん。」
「、、、。」
3人で居るにも関わらず、駿と全く目も合わさないリーゼントこと楼。
「あ!楼!こっちがね、相棒の蒼真 駿!
ホントなんか、相棒って言いたくなるすげーやつなの♪
で、駿!このカッコいいリーゼントは、
同じ中学だった桃田 楼!
なんかねー、破天荒を極めたって感じのやつ♪」
純平がそう言うと、駿に興味を示す楼。
「で?……誰だお前。」
「、、、。」
睨み合う二人。
「いやいや、睨み合わないでよww
駿は、ま、あんま学校に知られちゃまずいんだけど、
狂犬の元頭、桐生駿。」
「……。聞いた事ある。」
表情一つ変えない、何を考えてるか分からない楼。
「ももたろう?そんなフザケた名前聞いた事ねえな。」
「は?」
「いやいや、お願いだから喧嘩しないの♪
ローは中学の同級生♪中学入ってすぐ少年院行ったから、あんまり名前知られてないのかもね」
「へー。」
いまだに邪険な態度を取り続ける二人。犬と猫ならぬ犬と桃太郎。
「なんで少年院に?」
「なんでだったっけ?」
「………。」
とにかく口数の少ない、無口なロー。
謎の多いやつだけど、コイツがとにかくぶっ飛んだヤバいやつで、これから先、純平や駿を巻き込んで数々の事件を起こしていく。
「にしても、その恥ずかしい頭どーにかなんねーのか?一緒にいるこっちがツラいわ。」
失笑した駿に、
「!!!」
跳びゲリを仕掛けるロー!
に対して、抜群の反射神経でとっさに交わす駿。
「あ?何してんだ?死にてーのかこのクソリーゼント」
「………。キャンキャン吠えるな。犬。」
完全に戦闘モードに入った二人。
「あ~!!ダメだってば!!
とりゃぁぁぁぁ!!」
「!?!?」
背負い投げでローを地に叩きつけ、すかさず大外刈りで駿を倒す純平!
「……………。」
「っ痛、、、。何すんだよ純平。」
睨み合ってた二人からすると、全く警戒してなかった純平の技だったわけだけど、喧嘩の強そうなローと、元最強の暴走族駿を一瞬で倒すその強さ。
すると、
「悪かった」
「?」
「シュン。俺が悪かった。」
無表情なままだけど、ローが駿に対して言った謝罪の言葉。
「ジュンペーは。俺の親友だ。
親友の相棒なら、俺も親友だ。
シュン。仲良くしよう。」
「!?」
「あー、駿!ローは無口で取っつきにくいヤツだけど、すっごい筋の通ったヤツだし、友達想いだし多分。いいヤツだからさ♪できれば仲良くしてこーよ♪
それに、駿はローを見くびってんねー。ローは俺の知る限り喧嘩最強。ヤキ入れてやろー♪くらいの覚悟で相手すると、本気で殺されるよ。
俺も殺されかけたし♪むかし笑」
「、、、。へえ。純平が。」
「………。」
「ああ。てか、俺も悪かったわ。純平の親友なら、悪いこと言った。ごめんな。、、、ロー。」
「分かった。握手」
「?」
手を差し出すロー。
無表情でホントに何を考えてるか分からないヤツ。
手をガッシリ繋ぎ、友情を分かち合う二人。
ボソッと純平にも駿にも聞こえない小声で、
「………いつかぶっ飛ばす。シュン。」
破天荒な、名前も破天荒なモモタロウと、
狂犬、駿と、
名前は白鳥だけど、強引に鳥、として、
残りの猿は、どんなヤツだろうか。
続くよ~♪