白鳥の鳥でキジ
「転校生が来るってよ」
「そーなの?男?女?」
「男。」
「じゃ興味ないわ。」
「確かに。てか、女でも別に興味ないし。次物理の授業だよ。早く行こ。」
穏やかな桜の舞う春も過ぎ、情熱の夏を迎える前の、
ジメジメとした梅雨の時期。
物語の全てをスタートさせる転校生、
蒼真 駿が、
川流高校にやってきた。
川流高校とは?
◯◯県内トップクラスの就職、進学率を誇る高校。
幾多のオリンピック選手を排出し、
東大、京大への合格者も多い、男女共学の名門校。
単純に言えば、
超頭いいマジメ~な子と、
超体育バカの集まる学校。
蒼真はどちらでもない。
では、どうやってこの川流に入ったのか?はじまりはじまり。
2年A組。
「超難関と言われる、えー、川流の編入試験を合格して、この2年A組に転校してきた新しいクラスメイトを紹介する。
君、自己紹介を。簡潔に。10秒以内に。どうぞ。」
「、、、蒼真です。よろしく。」
「早いな。3秒だぞ。10秒以内と言われたからには10秒の時間を有効に使うようにしなさい。」
「、、、。」
「いや、無理強いはしない。川流に入った以上、そういった些細な事にも配慮するよう次から心掛けなさい。
席はあいうえお順だから、えーと、白鳥…か。
白鳥の後ろの席だな。
あそこの、そう、あの席に座りなさい。
では、朝のホームルームは以上。」
なかなかマジメな学校。
転校生蒼真は、身長170ないくらいの、
おとなしい感じの目鼻顔立ちのキリッとした、なかなかのイケメン。
イケメンに騒ぐ女の子たちを筆頭に、共学の川流に、超難関の編入試験をクリアして、突如転校してきた蒼真の名前はすぐに校内に知れ渡った。
「ねー、蒼真くんってどこから来たのー?」
早速女の子たちが群がる。
「、、、▲▲県。」
「なんだーすぐ隣だね。▲▲て事は、▲▲第一?秀学館?それともデ・スティーノ学園あたり?」
「あ、えーと。、、、だよ。秀学館。」
「そーなんだー!ここの編入試験通るくらいだからねー。やっぱりー!」
「てか蒼真くんイケメン♪」
「アンタはしゃぎすぎだって♪」
「蒼真くん彼女いないのー?」
「、、、。」
そんなキャピキャピ女の子たちが騒いでた休み時間。
その空気を一蹴する、クラスのムードメーカー的な男が教室に入ってきた!
「んああああ!!寝坊した!!」
「、、、!?」
「おーい純平~!また遅刻~?もう三時限目だってーwww」
「三時限目かーギリギリセーフだね♪」
「あーね。四時限目体育だしねwww」
「でしょ♪」
そんな、
クラスに凄く馴染んでる感じの、純平ってゆう奴に、
驚くほどの違和感を感じた蒼真。
理由は、その見た目。
身長は180ないくらいのモデルみたいなやつ。
綺麗な二重に整った顔、
ジャニーズ風な雰囲気。
ゴツくもなく、痩せてもない、モテマッチョって感じの丁度モテそうなマッチョ。
で、前髪だけ黒髪の、白髪に染めたパーマの、
チャッラチャラしてそうな感じのやつ。
そのチャラそうな雰囲気が、この就職、進学率トップクラスの川流に、全く不適合だと感じた蒼真。
蒼真の心の声は、心に留めきれなくて、
ついつい声に出して言ってしまった。
「なんだコイツ」
「ん?」
二人の出会いから、物語は急激に、
…、
…、
…、
…、
…、
ヤンキー漫画ばりの話に加速していく。