唄い声
「~~~~~~~~~~」
陽が沈んでくると肌寒く感じられるようになってきた。
帰りの放送に合わせて、賑やかだった子供たちの声も別れの挨拶へと変わり、まばらに離れていく。
そんな中、どこからか唄い声が聞こえて来た。
遠くてよく聞き取れなかったけど、楽しそうに唄っているのはよく分かった。
きっと、帰宅途中の子供が歩きながら口ずさんでいるのだろう。
「あなたのおうちはどーこ?」
「いーいっしょーにーさがしましょ」
次の日、昨日も聞いた唄が聞こえて来た。
今日は微かにだけど、何とか聞き取れた。
犬のおまわりさんみたいに迷子のお話かな?
見つかるといいね。
「こーこかな?」
「ちがうちがう」
「つーぎーに、いきましょう」
また次の日、唄の続きが聞こえて来た。
一緒に歩き回って一軒一軒回るのかな?
大変そうだね。
「こーこかな?」
「そーおだよ」
「みつかってー、よかったね」
その次の日、最初に聞こえて来た日と比べて、随分と近くから唄が聞こえて来た。
近所の子だったのかな?
唄もハッピーエンドでよかった。
そう思った時、
「あなたのおうち、みーつけた」
すぐ横から、無邪気な唄い声が聞こえて来た。
自分はこの後どうなるのだろう?