俺の炎
誤字、脱字の可能性があります。 勢いだけで読むことをお勧めします。
翌日の放課後から、俺らは栄炎杯に向けて特訓を始めた。ちなみに、この栄炎杯っていうのは、スポーツ何かでいう、全国大会のようのもので、流れとしてはその学校内で4人の出場者を決め、次にその県の学校の中で代表校を選び、全国へ、という感じだ。
「じゃ~まず、あなたが、しなくちゃいけないことは、自分の炎を知ることね」
確かにそうだ、大会の出場条件として【自分の能力の詳細を参加要項に示す】とあるし、何より、能力が分からないと、戦略の立てようがない。
「ちなみにアンタは、炎についてはどのくらいの知識がらるのかしら?」
「ま~人並みには…」
「なるほどね…それなら炎に種類が、あることは、知ってるわよね?」
「えぇとっ…確か七つの大罪になぞらえてあるやつですよね」
そのぐらいなら、俺でも分かる。
「なら、その種類ずつの特徴は…?」
「…いや…その…幾つかなら…」
「…はぁ~じゃあそこらへんをお浚いしながらやりましょ…」
「…はい」
何かすいません…
「普通なら、色や燃え方で分かるんだけど。 アンタのは、それがどれにも当てはまらないから。 一つ一つ調べなくちゃいけないみたいね」
面倒くさいという感じで、先輩はため息をつく…本当すいません。
「最初は、私の炎でもある[憤怒の炎]から、試してみましょう」
「はい」
先輩の手のひらに炎が、灯る。紅く激しく燃える炎だ。
「これが、[憤怒の炎]よ」
見ているだけで勇気がもらえそうな炎だ…
「…まるで、先輩みたいだ。」
「ん? 何か言ったかしら?」
「いえ、なんでもないです」
声に出ていたみたいだ。
「それじゃあ、アンタも、炎を灯しなさい」
「は、はい」
俺も先輩と同じように炎を灯す。
「相変わらず綺麗な炎ね~」
「あ、ありがとうございます」
そう面と向かって言われると、少し恥ずかしい。
「あ、そういえば、まだ解説の途中だったわねこの[憤怒の炎]の特徴は、[武装]炎が、武器や装備になるの。ま、これは、若干の違いがあるとはいえ、私の焔月参式を見ているから分かり易いわよね」
「はい…痛いくらいに」
あれはすごく痛かった。
「この炎を操るコツは、心の中で何をするために、何が必要かを思い描くことよ」
「分かりました。 やってみます」
目を閉じ、今言われたことを考える。まず何をするかは、決まっている。戦闘だ。そのために必要なものは武器だから…ここは無難に剣だな。俺は、ゲームの中の勇者が持つような剣を想像した。
「できました!!」
「なら次は、その思い描いたイメージを解き放つの!! 解放!! って感じで」
「はい!! 解放!!」
開眼して、俺は、叫んだ…だがしかし何も起こらない。 ハズい。 これは中々恥ずかしいですよ。
「う~ん [憤怒の炎]じゃないみたいね。 ん? どうしたのそんなに顔赤くして。 大丈夫よ失敗なんて誰にでもあることなんだから」
「ア、アハハ そ、そうですよね…」
死にたい…
―――――
「次は[傲慢の炎]だけど、この炎の特徴は、[強化]だから身体に何かしらの変化がないところを見ると、これでもないみたいね」
「じゃそのまま、次の[嫉妬の炎]に移りましょう」
そういえば俺[嫉妬の炎]については、一番知らないな。
「[嫉妬の炎]は、対象を[弱体化]させるというのが、特徴よ」
対象の弱体化か…
「それって、結構強くないですか?」
「ええ 能力にもよるけど、戦うとなると厄介な特性よ… でも逆に、もしそれが自分の力であればかなり有利になれるわ」
なるほど、それはぜひとも欲しい炎だ。
「でも、それ。 どうやって調べるんですか?」
この炎、自分に効果がないってことは、自分自身じゃ調べようがないじゃないか。
「ああそれなら、こうすれば調べられるわ!!」
先輩は俺の炎を灯していな方の手を自分の胸に当てた。
「ナァッ!!」
手に当たるふっくらとしたモノは、今まで触ったことのある柔らかいものとは同じようで違う柔らかさで、少しでも力を入れれば、簡単に指が埋まってしまうんじゃないかと思えてくる。
「ん~?何も感じないな。 他の人間が振れれば何かしら分かると思ったんだけど…アンタは、何か感じる?」
先輩は多分何か変化を感じたかと聞きたかったのだろが、俺は思わず。
「と、とても柔らかいです…」
と先輩の胸の感想を言ってしまった。
「え?……な、なに言ってんのよ!! バカァァァ!!」
俺の一言で自分が何をしているのか理解した先輩は、顔を真っ赤にしながら、俺を思いっきり引っ叩いた。
「ぶべらッ!!」
「あ!! ごめんなさい…」
「いえ…こちらこそすいません」
しばらく俺と先輩は、俯いたままお互いに口を開かなかった―――
「せ、先輩…あのもうそろそろ次に行きませんか?」
この空気に耐えられなくなった俺は、おそるおそる先輩に尋ねた。
「…そ、そうね!いつまでもうじうじしてたら先に進まないわよね…」
「は、はい よろしくお願いします。」
「じゃ、じゃあー改めて。 コホン!!次は、[怠惰の炎]よ。 特徴は[空間操作]で、一定の範囲の空間に対して、能力を発動させることが出来るわ」
「え!? それってチートじゃないですか!!」
空間を支配する。そんな能力に俺が勝てるワケがない。
「いいえ、問題ないわ! この炎は能力が発動している間術者はその場から動けないの」
「一応弱点はあるんですね!! 良かった~」
でもしこれが、俺の炎だったらそこが、弱点になるわけだし一概にいいというワケでもないな。
「よし!! 早く試しましょう。多分、炎を空気に溶け込ます感じで発動させるんだと思うわ」
「やってみます」
炎を空気に溶け込ませる。簡単なようで、結構難しいなこれ。中々できなかったので、俺は、炎を溶け込ませるというより、根を張るようイメージで炎を展開した。すると、炎のから白い小さなオーロラが、いくつも出現しあらゆる方向に伸び、僕らの周りは霧のようにモヤがかかった
「これは、成功じゃないかしら!?」
「本当ですか!? やった~」
やった!俺の炎を見つけることができた!俺は、あまりの嬉しさに思いっきり跳び上がった…そう跳び上がれてしまったのだ…
「あ…」
「あ…」
俺と先輩は恐らく同時に状況を把握したのだろう。声がはもった。
「今の何なのかしらね?」
「多分、フラッシュ・フレアみたいな感じで炎を制御したら出来るものかと…」
「何かアンタ変に器用よね…」
「アハハ…」
でもこれは何かに使えそうだし、ある意味いい結果かも。
「しかし、こうも長引くとは、思わなかったわ」
先輩に言われて腕時計に目を向けると7時06分を指していた。4月と言ってもこの時間帯は、だいぶ薄暗い。もう生徒たちの声も聞こえなくなり俺の炎だけが、ほんのり辺りを照らしている。もうすぐ寮の門限である7時30分まであと24分しか無い
「すいません。 こんなギリギリまで突き合わせてしまって」
「いいわよそんなの気にしなくて。 やるといったことは、きちんとやらなくちゃね!!」
さすがは先輩、その姿勢憧れます!!
「とわいっても、時間がないのも事実だし…そうだわ!! 後の[色欲の炎]
と、[暴食の炎]、[強欲の炎]の中で最も可能性がありそうで、簡単に調べられそうな[暴食の炎]を試して、今日は、いったん終了しましょう。」
「そうですね… 分かりました…」
何だかんだで楽しかったこの時間も、もうすぐ終わるのか…そう考えると俺の心が、微かな虚しさを訴える。
「じゃ~始めるわよ、[暴食の炎]の特徴は、[吸収]対象を吸収することで、能力を発揮することが出来るっていう面白い特徴があるの。 だから、検証法は…」
「そこら辺にあるものを片っ端から炎に与えてみるってことですね!!」
「……そうだけど…何で先に行っちゃうのよ!!」
も~ といった感じに頬を膨らませて、俺を睨みつける。悪いことしちゃったな~
「すいません、先輩。 だからそんな怒らないで下さいよ。 せっかくの美人が台無しですよ?」
「別に怒って無いわよ!! それに、私はどんな顔したって美人です~」
「ハハハソウデスネ~」
「む! 何よ!! まぁ~いいわ。 それじゃまずは、この木の棒からよ」
先輩が俺の炎に木の棒を近づける。
「何も起きませんね…」
「次は、この石!!」
「反応しませんね」
「空き缶は!!」
「違います」
「これか!!」
「いえ」
「これか!!」
「ダメですね」
他にも色々な物を試してみたけど全部反応がなかった。
「[暴食の炎]じゃないんじゃないんですか?」
先輩は俺の問いに答えず、沈黙している。どうしたのだろう?
「…いえ」
「え?何ですか」
ボソッと呟いたので先輩の声がうまく聴き取れんかった。
「いいえ!! まだよ!! まだ試していないものがあるがわ!!」
そう言うと先輩は、再度自分の炎を灯した。
「これを与えましょ!!」
何を言っているんだこの人!!
「先輩それはさすがにやり過ぎですよ!!」
「大丈夫よ!! 少しくらいなら!!」
先輩は灯していた炎を指先に移し蝋燭の火ほどの大きさにした。そしてそれをゆっくりと俺の炎に近ずけるすると、先輩の炎は、俺の炎に吸い込まれるというより、触れた瞬間スッと消えてしまった。
「…やったぁぁ!! 炎が消えたわ!! で、なんか何か変化を感じるものはあった?」
「う~ん 特には…あ、強いて言うなら、気持ち強くなれた気がします」
「気持ちって…何かしっくりこないけど、ま~恐らくアンタの炎は、[暴食の炎]で、能力は[大罪の炎]の吸収ってとこかしら」
「多分そうだと思います」
「ふ~!! 長かったわね~」
立ち上がり先輩は背伸びをする。確かに特訓開始1日目しかも、能力の調査だけでこれだ、この先が思いやられる…
「それじゃ、さっさと帰りましょう」
「はい」
でもそれと同じくらい、いやそれ以上にこれからが楽しみだ!!
「先輩!!」
「ん? どうしたの?」
「お疲れ様でした!! 明日もよろしくお願いします!!」
「うん!! よろしく~」
満面の笑みを浮かべる先輩を見ていると、どうしてだろう明日も頑張ろうって気になれる。
「…どこにいつ帰るつもりだ?」
俺らの後ろの方から、聞いたことのある女性の声が聞こえた。先輩と俺は、青ざめた顔でブリキ人形のように恐る恐る後ろを振り向く。
「上城先生…」
「姉さん…」
そこには、鬼の形相をした、上城先生が、仁王立ちをしていた。
「総寮長である。私に心配を掛けさせるとは、いい度胸だな~ おい!!」
改めて時計を見ると7時37分だった。それにしても、心配しているなら、もっとそれらしい顔をしてほしい…
「せ、先生そんな顔しないでください。せっかくの美人が台無しですよ…」
うんうんと先輩も相槌をする。
「安心したまえ。 私は、どのような顔をしていても美人だ」
わ~さすが姉妹言うことが、似ているなぁ~
「そんなことより説教だ!! テメェ~らそこに座れ…」
「まずいこれは長くなる予感がするわ!! 昇逃げるわよ!!!!」
「は、はいィィィ!!!!」
一目散に逃げ出す俺らに対して…
「聞こえなかったか? クソガキドモ…ソコニ頭マデ擦リ付ケテ座レトイッテンダヨ!!」
先生は、まるでチーターくらいの速さで迫ってくる。ギャァァァァァ!!!!やっぱ怖ええぇぇぇぇ!!!!
しばらくして…いや先生が追ってきてすぐさま俺らは捕まり、約2時間にわたる説教を受けたのち解放された―――――




