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才能(センス)の塊  作者: ぽんこつ
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プロローグ

初めて書きました。

書きたいことだけかいてつたない文章ですがよろしくお願いします。

グラウダはまさに才能(センス)の塊だ。


彼が頭角を表したのは僅か齢七才の時。

村人総出での朝の農作業も一段落し休憩していた大人達。

そんな大人達とは対称的にまだまだ元気一杯な男の子たちは各々剣に見立てた木の棒を手に持ち冒険者ごっこをしていた。

そのときそれは起こった。


「スラッシュ!」


変声期前の少年の声とザッという風を切る音のあとにガサッとなにかが地面に落ちる音がした。

農作業を終えて、男の子たちを微笑ましく見ていた大人たちはその光景を目の当たりにして固まった。

大人たちの視線の先ではグラウダも笑顔のまま手にした木の棒を降り下ろした格好のまま固まっている。

それはまだいい。

冒険者ごっこでは木の棒を降り回すこと自体は極々ふつうのことだ。

なんの問題もない。

大人たちを驚愕させた問題は木の棒を降り下ろしたグラウダではなく、相対する少年の手にある木の棒に起こったことだった。

少年の持つ木の棒は今や握っている手元よりちょっとしかなく、その鋭利な断面をこちらがわにに見せている。

その綺麗な断面図は木の棒と棒がぶつかり折れたのではなく、まるで鋭い剣で切断されたかの様相を示していた。

グラウダと相対する少年は信じられないという表情で、己の手の中で急に軽くなった木の棒と切断されて地に落ちた棒の先であったであろうものを何度も見返している。

グラウダと少年を中心に村は完全に静まり返った。


スラッシュは剣のスキルの中でも初歩的な部類にはいる剣の切れ味を上げるスキルだ。

この村で新たに畑を広げるために貴族の領主様におこしいただいた時、領主様が戯れとして新たに畑にする土地にあった邪魔な大岩をスラッシュで真っ二つにしていただいたのを村人全員が覚えている。才能(センス)さえ持っていれば、数ヵ月の訓練で習得可能とされる一番有名なスキル

だがそれも才能(センス)さえあれば、の話だ。

才能(センス)とは、血統による継承が必須の先天的な資質である。

これは生まれたときに剣や槍、杖等いずれかの才能(センス)を所持しているか、または全く所持していないかが決まる。

もちろん剣の才能(センス)がなければ剣のスキルは習得できないし、槍の才能(センス)がなければ槍のスキルは習得できない。

さらに才能(センス)には四つの到達度をわけるクラスが存在し、そのクラスによってより強いスキルを習得できるかどうかが決まるといわれている。

第一前提として、才能(センス)があるかどうか。

そして、その才能(センス)の到達度のクラスにより強さが分けられる。

才能(センス)を持つ者の中でも一握り、極少数存在する最も高い到達度のクラスの者がくりだすスキルがおこす現象は山をも砕くといわれており、人類の天敵ともいえる異能力を持つモンスターの中でもさらに強力で有名なあのドラゴンすらも撃破し凌駕しえるといわれている。

血統による継承に大きく依存するため才能(センス)を持つものは貴族として優遇され代々その才能(センス)を枯らさぬよう受け継ぐことを第一としている。

モンスター等の退治や、モンスターの居着いた洞窟を駆除できるのは才能(センス)を持ちスキルを行使できる貴族階級の者だけであり、貴族とは平民をモンスターや外敵から守るために選ばれた存在である。

その圧倒的な力の差から才能(センス)をもたない平民と王侯貴族との身分差は絶対であり、また到達度のクラスの違いによりスキルが制限されるため王侯貴族の内部にも明確な身分が存在する。

才能(センス)のない両親からは才能(センス)のない子供しか生まれない。

この絶対条件が、世界を支配している。

だがまれに、才能(センス)を持たなかったため廃嫡された貴族や、才能(センス)はあるが低い到達度のクラスのスキルしか習得できなかった娘たちが有力な商人や地方の土着の有力者と婚姻し、その者の中から数世代を経て覚醒的に才能(センス)を開花させるものもいる。

その場合、何らかの功績を挙げれば新たな貴族として末席が与えられることもある。

身分制度が絶対の世界のなかで、平民でありながら才能(センス)があるものは、唯一身分制度を越えられる存在といえる。


それゆえに、グラウダの示した才能(センス)は別格であった。

スラッシュがスキルの中では初歩中の初歩とはいえ、才能(センス)を有していたとしてもちゃんとした訓練や指導を受けずに発動させることなどは不可能だ。

だからこそ、王都には才能(センス)を持つものしか入れない学園が存在し、そこで学ぶことで各種スキルの習得に至る。

本来なら学園に入学し、数ヶ月の訓練を経て得るのが、剣のスキルならスラッシュである。

それを、なにも正規の訓練を行わないまま齢七才の子供が見よう見まねで剣のスキル、スラッシュを発動して見せた。

子供がただ木の棒を降っただけで相手の木の棒に鋭利な剣で切ったような断面を残すことは不可能である。

それは、スラッシュが発動した証明であり、スキルが発動する即ち才能(センス)を持つことの証明でもあった。

しかも、グラウダは普通の農民の両親から生まれた普通の農民の子供だ。

村の世界は広くない。

グラウダがなにかしら特殊な訓練を受けてないことは村のみんなが知っている。

一切訓練をしていない状態でスキルが使えるということは、才能(センス)はもとよりいずれより高位のクラスに進めることを示しているのではないか。

高位のクラスになれば貴族階級に上がれる可能性は高い。

村から貴族階級が輩出される。

これは開村以来の大快挙だ。

村から貴族が出れば何らかの優遇が認められるだろう。

村の大人たちにはそんな考えもある。

それはグラウダの両親とて一緒だ。

息子が貴族になれば親は貴族ではないが恩恵は大きく受けられる。

子供たちはグラウダを取り囲んでただ喜んでいる。

色々な思惑の下、村は大きくわきたった。


この日から村は大混乱になり、グラウダの生活は一変した。

村長はこの事を素早く隣の大きな街に居を構える領主に報告し、領主は王都に報告を出す。

グラウダは両親に別れを言う暇もなく村から領主が治める街の館に移った。

そして王都から特使が訪れるまでの三日の間だけ領主の館に滞在し、その後特使とともに王都に護送されることとなった。

この時、グラウダは齢七才。

その才能(センス)は天に上るかに思えた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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