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残念なお姫様

残念なお姫様・そのに

作者: 壱蓮庵

どーも!リリア・ルーゼンベルクです。

14歳の誕生日の朝に突然記憶が甦り、異世界転生したことに気付きました。前世は日本に生息する柔道ゴリラ、現世は中世ファンタジーな異世界でお嬢様ゴリラやってます。性別どころか美醜まで反転したこの世界で、絶世の美少女として日々暮らしております。

で、この世界ってね、14歳になるともう結婚できるんだって。平均寿命が60代らしいんで、仕方ないんだろうけど…世界まるごとロリコンかよ!って最初は思ったよ。まあ、郷に入りては郷に従え。するしかないんだよね、お見合い。ってか、今してるんだよね、お見合い。


「リリア嬢は、歌劇はお好きですか?」

向かいのソファーに浅く腰掛け、にこやかに問い掛けてくるイケメン。深緑のベルベットに金の縁取りの、落ち着きながらも手の込んだ衣装を隙なく着こなし、常に物腰は柔らかく微笑んでいる。先程からそつなく会話をリードし、私を飽きさせないように多彩な話題で場を盛り上げてくれる。

壁際に並んでお茶の仕度などしてくれている侍女たちは頬を赤らめ、チラチラとイケメン鑑賞に余念がない。

イケメンだよね。うんうん。

ただし、この世界では、だけど。

髪は栗色。さらさらストレートのロングヘアー。この世界では上流階級ほど髪を長く伸ばす。この人も貴族なので、髪は腰ほどまである。しかし、問題は顔だ。意外と彫りは浅く、瞳はエメラルドグリーン。鼻の下は長く、顔立ちは丸みを帯びている。


いわゆるニホンザルです。ありがとうございます。


女性の理想はゴリラで、男性はニホンザルなの!?なにこれ!猿の惑星なの!?きれいな服着て、日光の猿回しのお猿さんにしかみえないよ!?

まさか、獣人とかそういう種族なのかなと思ったけど、ちゃんと進化した人間らしい。獣人もいるにはいるけど、二足歩行の猫とか二足歩行のウサギとか、ほぼそのままの姿なんだって。なにそれ会いたい。


「リリア嬢?」

はっ。いかんいかん。現実逃避が激しい。

私は扇で顔を隠しつつ、なんでもないと微笑んで誤魔化した。

前世では男子高校生だったわけだし、まあ抵抗はなくもないけどさ。その記憶も無いまま14年リリアとして、女の子として生きてきたわけだし、貴族ではないとはいえ上流階級の娘として結婚は仕方ないかなって思ってた。

幸いどこぞのスケベ爺に後妻として、みたいなえげつないのは両親が阻止してくれて(結構申し出があったらしい。父様、母様、ありがとうございます!)年の近い、見目麗しい男性を数人選んでくれた。

でもさ、みんな猿なの!ニホンザル!お前が言うなって感じだけど!

いいよ、私はゴリラだし、ニホンザルでもいいよ。元々恋愛結婚できるとは思ってなかったし。でも…でもね…耐えられないものがあるんだよ…。


向かいに座るイケメン(猿)が、ちらりと視線を外す。その先は私の胸元。リリアは意外と胸板が、じゃない、胸が大きい。今日着ている服は別に胸元が見えるほど開いているわけではなく、むしろ首もとまできちんと隠れている。それでもコルセットと相まって、胸は強調されて見えるだろう。顔は金髪色白ゴリラだけど。

その胸元をチラチラと視線がさまよう。うわー、気付かれてないと思ってるんだろうなー。前世で自分もバレないようにチラチラしてたけど、見られる側になってみるとバレバレだなー。はっずかしいー。

何やら妄想でもしているのか、にこやかに話し掛けつつ、チラ見する目元がほんのり赤く色づいてきた。ますますニホンザルらしくなってきたぞ。こうなると、もうデカくてさらさらストレートヘアーなエロ猿にしか見えない。

この人もお断りしよう。父様、母様、ごめんなさい。


この世界のイケメンがほぼニホンザルで、ちょっと下心覗かせるだけで嫌悪感がはんぱない、ということは、もうイケメンじゃない人連れてきてもらうしかないんだろうな。どうしよう、メガネザルとかテングザルとかきたら。

でも、うちの侍女たちって割とかわいいんだよね。この世界基準では野暮ったくてぱっとしないらしいんだけど。

つまり、野暮ったくてぱっとしない男性を探せばいいんですね!

早速母様に伝えたら、熱でもあるのかと心配された。あ、母様も割とゴリラです。華奢で儚げなゴリラ。つまり美女。父様やるー。ちなみに父様はニホンザルじゃない。お髭の豊かな平凡顔。あまりイケメンではないけど髭で隠しているらしい。よく母様捕まえられたな。


「とにかく、明日からのお見合いは一旦中止させてください。」

「そんな…何が不満なの?もったいない…」

母様心の声だだ漏れですよ!まさか実は面食いか!?父様ピンチ!

「わ、私も父様のように仕事ができて、家族を愛し、心の穏やかな方と添い遂げたいのです!」

そうだそうだ!父様は中身はイケメンだぞ!母様しっかり!!

私の言葉に母様は嬉しそうに微笑んで、お見合いにイケメンを呼ぶのは控えると約束してくれた。

控える…って多少は呼ぶってことですよね!?イケメン鑑賞ですか!?父様頑張って…!!


ちゃんと結婚できるかなぁ…。

読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 猿のバリエーション豊かな点 つまり面白い [気になる点] 主人公がドラミングをしない点 つまりゴリ岡さんマジイケメン [一言] もう諦めて連載しちゃいなさい ね?
2015/07/29 13:19 退会済み
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