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「どう行くんだよ、異次元って……」
図書館から戻った俺は居間のソファへ沈み込んだ。
この三時間、半信半疑ながらもホールウェイ魔法学校をググり、異次元への行き方を検索して都市伝説のサイトへ行き着き、図書館に魔術関連の本を読みに行き、マンションに不法に侵入してまでエレベーターで異世界に行く方法を試し……。
そのすべて結果は芳しくなく、つまりは万策尽きた状態だった。
自転車とばして図書館やらに行ったし、少し疲れた。
夜も更けてきたし、仮眠を取ろう。
アラームをセットしようと、ケータイへ手を伸ばす。
と、
「連れて行ってあげよーか?」
背後から吐息混じりのか細い、少女の声がした。
妹の声じゃない声。
ゆっくりと部屋を見回す。
当然ながら、俺以外誰もいない。
「こっち……」
声を頼りに辺りを探って行く。
声は、玄関にある姿見の中から聞こえているようだった。
「誰なんだ、お前……」
我ながらどうかと思うが、鏡の中の少女?に尋ねてみる。
「こっちにくれば……わかる」
声と共に姿見から手が伸び、俺は鏡の中へ吸い込まれた。