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光は徐々に収束していく。
女生徒の放った光球は消えていた。
そして、収束した光は、杖の先から奔流となってまっすぐに女生徒に向けて伸び、彼女を二十メートルほども吹き飛ばして消えた。
突然のことに何も反応できなかった。
今の、すごい、よな?
俺がやったんだよ、な?
「な、なんだよ今のは……」
「あいつ、土御門をふっ飛ばしたぞ!」
「あんな魔法習ってないよね?」
「あの人、学年トップの土御門さんを倒しちゃったってこと!?」
拘束が解けたようで、純夏が俺の元へ駆け寄ってきた。
「りっくん! 大丈夫?
怪我してない?」
あちこち俺の身体を見て触って確認してくる。
さらさらの長い髪が頬に触れ、石鹸の優しい香りが鼻腔をくすぐる。
昨日まで毎日隣で見ていた、いつも通りの純夏の顔が目の前にある。
「純夏……」
俺は純夏を探してここにきて、いろいろあった。
「大丈夫、大した怪我はしてない」
擦り傷やかすり傷はあったが、ほとんどあの変なツインテールのせいである。
「そっか。よかった、りっくん」
安堵した純夏に抱きしめられる。
服越しに伝わる体温は心地よく、俺の緊張を溶かしていく。
俺は純夏の頭を撫でながら改めて思った、やっぱり探しに来てよかった、と。