妖精、魔王、妖魔世界?!
「お兄ちゃん、朝だよー」
妹の光莉の声と共にカーテンが開けられる。
「ん、んー。もうちょっと。」
そう言って僕はいつもの様に二度寝しようとする。朝は起きるのが辛い。
「にいちゃんおきてー」
「ぐふっ‼」
く、今日もかよ。僕にダイブしたやつがいる……。
「……、わかった。起きる……。」
僕の身体の上にはもう一人の妹が乗っていた。毎朝毎朝こんな感じで僕は起こされる。
この家には、高校生二年の僕、中学生三年の妹光莉、小学生四年の妹愛莉と飛び飛びの兄妹。家は貧乏で両親は共働きして、なんとか家計を保っている。父は夜勤でほとんど話さない。
「朝ごはん作ってあるから早く起きなさい」
母は下の階からそう言った。
隣にいた光莉は、もう時間だと言って愛莉を連れてさっさと僕の部屋から出て行ってしまった。
時計を見るともう七時半だった。
毎朝光莉と愛莉はこの時間に家を出て行く。
「行ってきます」
「いってくるねー」
「いってらっしゃい」
「ああ、気をつけてな」
母は台所から、僕は玄関まで妹たちを送り自分の食事を素早く済ませた。
おし、僕も学校に行こう。
「じゃあ行ってくる」
「気を付けてね」
僕は家の近くにある普通の高校通っている。それと言って頭が良いわけでもないが、悪い方でもない。その中の真ん中にいる僕は超普通の人間だ。光莉はとても頭がいいのでここまで兄妹で違っていいものなのだろうかと毎回思う。
学校に着くと友達が自分の家にいるネズミについて話していた。
「ネズミってどうすればいなくなる?」
その友達は近くにいた子に聞いていた。
「ヘビを放すと食ってくれるよ」
笑いながら答えている。
ヘビを放し飼いにするなんてすごい考えだなと思う僕。
「チーズ仕掛けた箱とかおけば?それか捕獲用粘着シートとか」
こっちはまじめな答えだった。それならやれそうだなと心の中で勝手に会話に入っていた。
「いろいろあるんだな……」
友達がボソッと言った。
「ただいまー。って誰もいないか」
僕が帰る時間にはだいたい誰もいない。友達と遊んだり、部活をやったりとかで遅くなるのだ。母も仕事をしに行き、父も僕が帰ってくる少し前に出て行ってしまうらしい。
「いるよー、おっかえりー」
ドンッ
そう言って出迎えてくれた。
「ぐはっ……」
愛莉は何かあるたびに僕に突撃してくる。それはまだ良いのだが、頭の位置が丁度みぞおちに当たる位置なのだ。だから時々入るときがある。
「うっ、くっ、み、みぞおち……、入った……。」
僕はその場に倒れこんだ。
「どーしたの、にいちゃん?」
お前の頭がみぞおちにクリーンヒットしたんだよと言おうと思ったが言えなかった。
「あはは、おもしろいっ」
そう言って僕の頭をぺしぺし叩いてくる。
手で振り払おうとするがそれが面白いのかやるたびに笑ってさらに叩く。
時間が経つにつれて痛さは次第に引いていった。
「おしっ、治った。ちょっと待ってろ。そうしたら仕返ししてやる」
キャーと言って愛莉は家の奥に逃げて行った。
僕は部屋に荷物を置き、着替え、仕返しをするべく居間に向かった。
向かう途中にひょっこりと愛莉は現れた。
「ねぇ、にいちゃん?」
「ん、何だ?」
妙にニコニコして目がいつもと違ったので、僕は少し後ずさりをした。両手を後ろに隠しているが、足と足の間に光るものが見えていたからだ。
僕の予想が正しければ……。
「シネ」
そう言って投げてきたのは……。
「はっ、ちょっ」
ま、マジかよ。それ投げるのかぁ?しかも一瞬愛莉が愛莉でないように感じた。
見えたのは木の柄の銀の刃、包丁だ。予想通り。って嬉しくない!しかも一本ではなく五、六本あった。
僕の知っている愛莉はこんなことするような子ではなく、いつも僕や光莉に付きまとう可愛い妹のはずだ。
ってそんなことより、ヤバイやばいヤバい。僕死んじゃうから。こんなに至近距離で投げられたら誰も反応出来るわけないって。
パンパンパンパンパンパン
「ん?」
どうなっているんだ?投げられた包丁は、僕の前で弾かれるように落ちていった。
「おい愛莉、何するんだ。危ないだろ?」
不思議な力で運良く刃が当たらなかったもの、あたっていたらどうなっていたことか。
そう考えているときも包丁は空中で回転しながら落ちている。
シュッ
………………。
「え?」
僕は足元を見た。
そこには床を刺さった包丁。だったらまだ良かったが、僕の足をかすった包丁だった。
何だ誰かの足か。馬鹿だなそいつ。
「チッ」
一瞬愛莉が舌打ちをしたような。愛莉の目がいつものキラキラしている目に戻っていた。さっきのはなんだったんだ?
「にいちゃん、ちがでてるよー」
愛莉は不思議そうに僕に向かって言った。まるでさっきのことを覚えていないような口調で。
「だよなー、切れてるよなー。あはははは。…………、痛ってぇぇぇぇぇ‼」
馬鹿なそいつは僕だったのだ。
「どうしたの?」
愛莉の記憶にはやっぱり何も残っていないようだった。
お前がやったんだろ!と言いたかったが、あのときの愛莉は何か違った。
「くそっ、痛ってぇなっ!」
言葉と共に床に刺さった包丁を引っこ抜いた。幸い大怪我には繋がらなかったが、一歩間違えれば大惨事だっただろう……。それに不自然に落ちた包丁。あれは何だったんだ?
ドクドクドク
少し切れただけなのに血が溢れてくる。
……………。
「ちがとまらないね……」
少し心配そうな愛莉。
「まあ、何とかなるだろ」
僕は愛莉に心配をかけまいと笑って見せた。だが、血はすぐには止まらない。
居間にいき、ティッシュで血を拭き取った。何枚も使ってようやく血は止まった。少し切れただけなのに思ってたより血が出たな。
「にいちゃん、だいじょうぶ?」
「全然大丈夫じゃないな。でも、一歩間違えればもっとひどいことになっていたかもしれないな」
愛莉は覚えていないと思うが、包丁が五、六本飛んできたんだぞと言いたかった。
「……、ごめんなさい、はいこれ」
自分がやったとは知らないのに謝って僕にくれたのはキャラクターが写った絆創膏だった。
やっぱり愛莉はこうだよな。
「………………」
小さい……。傷口に対して絆創膏が小さい……。
「ありがとう……」
またあんなことされたらいずれか死んでしまうかもしれない。
「うん!」
元気良く返事をするとタッタッタッと何処かに行ってしまった。
「あれお兄ちゃんこんな所で何やってるの?」
「ん?」
後ろを振り向くとそこには光莉が立っていた。
「ああ、ちょっと足に包丁がかすってな」
どういう状況だよ……、自分で言いながら思った。
「へー」
無関心かよ!僕は命を落とすところだったのに。あの変な力がなければ……。
「まっ、自分で料理して手が滑って包丁が落ちたとかでしょ?」
「いや、違うから!そもそも手を滑らして包丁を落とし、自分の足を切るなんてなかなかできない芸当だぞ?」
僕の熱心なツッコミももうどうでも良いわという表情で光莉は去って行った。
やっと血が止まってきたのでもらった絆創膏を小さいが付けておいた。
「うん……、やっぱり小さいな……」
傷口が少し見えてしまっていた。
そういえばネズミに対してはヘビが良いとか何とか言ってたっけ。
家は古いのでいろんな動物や、昆虫がしょっちゅう出る。だが、特に何かをされるわけでもないので僕は気にしなかった。
「放し飼いでヘビ飼うって許されると思うか?」
「は?」
意味がわからないといった表情の光莉。
「ヘビ?かっこいいよね!」
何事にも興味津々の反応を示すのは愛莉だ。好奇心旺盛なのでこっちはいろいろと危ない目に遭わされることがある。
「家で飼うの?」
光莉は家で飼うのかを聞いてきた。
「いや、友達の家でネズミが出るから退治したいんだってさ。それでヘビが良いとか言ってたからさ」
「じゃあ、別に話す必要なかったね」
くっ。本当に思ったことをすぐ言う奴だ。両親が忙しいから家のことはやってくれるが、僕に対しては何故か冷たい。
話は全くと言っていいほど興味を示してくれないし、何か悪いことでもしただろうか?それとも反抗期か?どっちでもいいが変な妹だ。
なんだかんだ言って僕たち三人は周りの人からみると仲の良い兄妹らしい。確かに愛莉はとても可愛い妹だ。しかし、光莉はどうだろうか?いつからか僕に対し冷たくなった。愛莉に対してはデレデレしいて見ているこっちが気持ち悪いと思ってしまう。過剰に愛梨のことが好きなのだ。
あれから少し時間が経ち、妹たちはどこかに行ってしまった。
僕は傷口が広がらないように静かに座っている。
トコトコトコトコ
ん?なんだ?何かの足音が聞こえる。人間の足音にしては妙に間隔が短い。
トコトコトコトコ
どんどん近づいてきているのか、音が大きくなってくる。
トコトコトコトコドテッ
「痛っ」
え?何か聞こえたよな?
トコトコトコトコ
あれは声、だったのか?いや、そんなわけないよな……。小人とかか?自分で思ってみたが笑える。小人がいたら面白い。どうしてやろうか。
トコトコトコドンッバタッ
「痛いってゆーとるやろ!良い加減にせんかい!」
ん?やっぱ気のせいじゃないよな?
関西弁で言っていたような……。家には関西人はいない。もし仮に使っていたとしても声の高さが全然違う。やっぱり僕らの他に誰か家にいるのだろうか?
トコトコトコトコ
まだ聞こえる。始めに聞いたより大きくなっている。もう近くに来ているかもしれない
居間に座っていた僕は辺りを見回した。だが、何か変わっていることはない。いつもの風景だ。
「おい、人間!」
うーん。何か聞こえたような聞こえなかったような……。
「聞こえてないんか?人間」
どこからか声がするのはわかる。しかし場所が特定できない。
「ええ加減にせんかい!うちが話しかけとるやろ!」
何か知らんが怒ってらっしゃる。一応で良いが答えてみるか。
「何ですか?っていうか誰?」
独り言のように言ってみた。自分で相手を目視していないので、ついついそうなってしまった。
「はぁ?何ゆーとんの?お前はアホかぁ?」
は?いきなり何だ⁈知らん奴から、そもそも見えない奴からアホなんて言われた。置き換えるのなら、陰口を聞こえないだろうと思って言ったら本人が近くにいたような感じだ。
「質問に答えてくれませんか?」
あくまで冷静に、心の中では少しムカついているが、それを悟られないように聞いた。
「しゃーない、答えてやるか」
いやいや、最初から答えてくれれば良かったんだど……。そうしてたらどっちがイラつくこともなかったはずなのに……。
「うちは妖精や。別世界から来た妖精なんや」
…………。何言ってるのこの声の主は……。絶対ネジが飛んでるよ。
「へ、へぇー」
「あっ、お前信じとらんやろ!本当なんやで!」
いや、そんなこと言われましても……。ねぇ……。
「そ、そうなんですか」
「良いんか?そんなこと言って良いんか?」
何をそんなに突っかかって来るのかわからない。
「何か用事でもあるんですか?」
全く独り言にしては妙に長い。他の人が見たらどう思うだろうか。
「あ、そうや。用事あったわ」
何だよ、それ先に言えよ。てか、忘れてたんじゃないだろうな?
「で、何です?その用事とやらは」
一体用事が何なのか知らないが、僕に話しかけたと言うことは僕に関係あることなのだろう。
「お前、妹おるやろ?」
「そうですけど、それが何か?」
光莉と愛莉がどうしたのだろう?
「ちっこい方に魔王が取り付いたんや」
「は、はぁ」
もう何が何だかわからなくなって来た。見えない相手と会話をし、妖精だか何だか言ってるし、しまいには魔王なんて出てきたよ……。
「あっ、また信じとらんやろ!ホントやで!うちが言ってるんや!」
何でこんなに興奮しているのだろう。良い加減もうやめてもらいたい。
バンッ
「ねぇ!愛莉がどうしたって⁈」
いきなり現れたのは光莉だ。
「な、何だぁ?」
変な声が漏れてしまった。いきなりのことで驚いたのだ。
「今、愛莉のこと話してたよね⁈ってお兄ちゃんしかいない……」
じ、地獄耳だ……。妹のこととなるとどこにいても、何をしていてもすっ飛んでくる。
「ああ、今変な妖精さんと会話してたんだよ。見えないけど」
光莉はバカじゃないのと言う顔をしいてた。
「そうや、うち妖精なんやで」
まだ言うかこいつ。光莉はそんなの信じないぞ。
「で、何?」
ほら見ろ。光莉だって信じてないじゃないか。
「すごい毒舌やな……。いかんいかん、そう、お前らの妹に魔王が取り付いたんや」
一瞬不思議そうな顔をする光莉。しかし妹の名前が出た途端表情が変わる。
「妹が、愛莉がどうかしたの⁈」
相変わらずすごい食いつきようだ。
「えっとな、うちがおる世界、妖魔界ってのがあんねんけどな、その世界ではうちら妖精と魔王とその一味がおるねん。そんで、うちら妖精が魔王を追い詰めたらそいつこっちの世界に逃げたんや。そんで、取り付いたんがお前らの妹ってわけや」
いろいろと解説ありがとう。ぶっ飛び過ぎててわけわからない。
「それで、妹は大丈夫なの?」
はぁ、やめてくれ、こんな話信じるのかよ……。
「今は大丈夫やけど、もうこの世界にはおらんな。それに魔王に完全に取り付かれたらどうなるか、そこのお前が知ってるやろ」
そう言って僕を指差した。でも、何故僕が知っていると……?
「は?何言ってるんですか?…………。いや、待てよ。そういえば、包丁……」
あの時愛莉の目はいつもと違った、口調も。もしかしてあれが……。
「包丁?自分で怪我したんじゃないの?」
光莉は僕が勝手に怪我したとまだ思っているらしい。人の話をしっかり聞かないからこうなるのだ。
「いや、あのときの愛莉の目はおかしかった。それに口調も。包丁を五、六本も投げてきたんだぞ?愛莉がそんなことすると思うか?」
僕は光莉に聞いた。
そうしたら彼女は首を横に振る。
「そう、それが魔王なんや。あいつに完全に飲み込まれる前に救い出さんといかんのや!」
んー、やっぱり良くわからん。信じ難い話だ。
「よし、行こう!お兄ちゃん!」
光莉は僕の腕を引っ張る。大好きな妹のこととなると何でもやってしまうのが僕の妹だ。
「ちょ、待てよ。マジでこんな話信じるのかよ?」
どう考えてもおかしいと思わないのか?いつもの光莉だったら信じないのに、妹の愛莉が絡むとここまでとは……。
「ホントや!嘘は言ってないで!」
もう、こいつは何を言っているんだ。そんなのいきなり逢われて信じろってのは無理がある。
「本当なのか?」
あまりに自信満々に言っているが、いまいち説得力に欠けるんだよな。
「そんなことどうでも良いのよ。愛莉がどうしちゃったか知りたいの!」
…………。呆れるほど妹好きな妹だ。なかなかこんな家族はないだろう。
「どうすんねん!早うせいや!」
こいつも何でこんなに怒っているのかわからない。
「もう!とにかく僕は信じないからな」
そう言って僕はその場から離れた。
全くなんだったんだ。妖精とか魔王とか何なんだよ。光莉は光莉で何であんなに愛莉に構うのか。確かに可愛い妹だが、あれは異常だろう。僕にはわからないな。それに……、僕もあれの一部で良いから分けてもらいたいくらいだ。無視はされてないが、あんまり会話になってないし本音を言うと……、寂しい……。
「本当にそれで良いの?」
考え事をしていたら光莉が立っていた。それにいつもは僕に話しかけてこないのに、今日はあっちから話しかけてきた。
「何の話だ?」
僕には何のことを言っているのかわからない。
「あの妖精さんの話し。本当だったらどうするの?」
いやいやいやいや、そんな分けないだろう。流石に光莉が信じるとは思っていなかった。
「嘘じゃないのか?」
根拠はないが、言ってみた。あっちも根拠があるとは思えない。
「でも、もし、本当だったら……、本当だったら……。愛莉は、愛莉は、愛莉はぁぁぁ」
今にも泣きそうな声で僕に訴えてきた。こんな光莉を見たことは今までで一回もない。こんな顔ができるとも思っていなかった。
「はぁ、ええ加減にしてくれかぁ。もううちも疲れたんやけど……」
そう言ったのはいつの間にか近くに来ていた例の妖精だ。って言っても見えない。
「わかった。じゃあこうしよう」
僕は良い提案を思いついた。これなら多分大丈夫だ。
「ん?何?早く言って」
光莉は僕をせかす。
「おし、妖精さんよ。僕らに見えるようになったらその話を信じる」
妖精がどんな姿をして、どんな力を持っているのか楽しみだ。まあ、まずは目の前に現れてくれないと話しにならないが。
「ちっ、めんどいなぁ」
何だそれ。こいつはとことんわけのわからない奴だ。
「やれるのかよ⁈」
妖精はやれないなんて一言も言っていない。もしかして、できる…、の?
「やれるで。うち妖精やもん」
妖精はでかくなれるのか?そんな話し聞いたことないぞ。
ボンッ
目の前で白い煙が舞った。辺り一面が真っ白になるくらいの量だった。
「うっ、うわっ」
「何よこれ」
僕と光莉は顔を腕で覆った。
「はっはっは。大きくなってやったで」
ゆっくりと目を開けると、目の前にはさっき話していた妖精らしき者が立っていた。うん、妖精だと言えるくらい妖精ぽかった。
「ま、マジかよ……」
「何、こいつ」
本当に見えるようになった。どうなっているんだ……。
光莉は棘のあるような口調になっていた。
「だから、うちは妖精やって言っとるやろ!もうええ加減に本題入ってええか?」
ついに本当にキレた。
「妹は無視してくれ。で、本題は?」
光莉はブツブツと何か言っていたが無視をしておいた。
「さっきも言ったがお前の妹に魔王が取り付いたんや。それで魔王はこっちと違う世界に行ったんや。もちろん、取り付いたままな。それでうちの力だけではキツイから来いっちゅー話しや」
何だかよくわからない話だなぁ。でも、言ってしまったからな……。信じるしかないか……。まさか本当に出来るなんて……。ミスったか……。
「で、来んのか?来ないのか?どっちや」
信じ難い話しではあるが……。
「よし、行こう!ってさっきも言ったわよね?」
あ……。スイッチが入ってしまった……。妹LOVEスイッチ。
「はぁ、じゃあ行くか……」
乗る気がしないが、光莉がこうなったら止まらないからな……。僕にはもう拒否権がない。
「おし、腹は決まったな。行くで行くでー!」
行くのかよ、何でこうなったかなぁ……。