表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/115

79.報告しましょう!

 次の日、わたしは雪帆や遥奈に付き合っている人がいると報告しようと思っていた。

「へぇー。報告するんだ」

「でもその方がいいかもね。遥奈が噂を聞いて問いつめてきたら大変だもん」

 まさに麻由の言うとおり。雪帆は噂を知ってもなにも聞いてこないだろうけど遥奈は雪帆と違ってズバズバ聞いてくるタイプだからなぁ……。

「もういっそのことみんなに広めようか?そしてサクッと公認になっちまえ!」

「わぁヒロくん!それ、めちゃくちゃいい考え!」

「……ちょっと待って……。なんでここに加賀美くんが加わってるの!?今わたしは紗弥と麻由と話していたはずなのに!」

 気付けば加賀美くんはニコニコと笑顔で麻由の近くにいた。紗弥も気付いていたはずなのになんでなにも言わないの……。なんでつっこまないの!?麻由は麻由で加賀美くんと勝手に盛り上がっているし!

「まぁまぁ、そんなこと言わないの!」

「加賀美くんは加賀美くんなりの意見を言ってるんだよ?」

「ごめん加賀美くん。加賀美くんの意見は採用しません」

「えっなんで!?いいじゃん俺の意見!」

「みんなに広めるとか恥ずかしすぎるわ!」

 それにわたしは今すぐ公認になりたいわけじゃないし!ただ雪帆と遥奈には報告すべきだと思って報告するだけだもん!みんなに堂々と広めるつもりはありませんでした!

「てかさー、もうユキ達に言っちゃえば?あんまり長引くと言いづらくなるし噂で知られちゃうよ?」

 うっ……。それだけはなんとしても避けたい。よし、それじゃあ早速雪帆と遥奈の元へい――。

「乃愛ーっ!!」

 嘘ー……。噂をしていればはい登場。まさに今会いに行こうと思っていた人物、遥奈と雪帆がいた。と言っても遥奈が無理矢理雪帆を連れてきたように見える。これはもう嫌な予感しかしません……。

「あ、遥奈に雪帆!どうしたの?」

 なんてわざとらしく言ってみる。それで遥奈の反応に変化があることを期待したけど無理だったようだ。

「ちょっと確認なんだけどさ!付き合ってる、ってのは本当なの?」

 やっぱりそうきたかぁ……。あんなに大声でしかも若干興奮したような様子でわたしのところに来たのだからわたしに聞きたいことがあるのだと予想はできていたけど。

「……どこからその話が?」

「えっ?風の噂」

 風の噂って……。えっ、なに?まさかもうそんなに広まっているの?つい最近のことなのに?わたしってそんなに分かりやすいの?それとも誰かが噂を広めているの?……ぶっちゃけどっちも当てはまりそう。

「で、で、で?真相は?付き合ってるの?付き合ってないの?さぁどっち?」

「えっとですねー……。一応付き合ってます、はい」

『……えっ!?嘘!?本当に!?』

 遥奈も雪帆も驚いた顔をしていた。わざわざ確認しに来ておいて驚きすぎじゃないでしょうか?てかこの状況でわたしが冗談を言うと思うかっ!

「相手は誰!?あたしの知ってる人?」

「いや、冷静に考えようよ遥奈。好きな人いる乃愛が好きな人以外の男子と付き合うと思う?乃愛はただでさえ男子が苦手なんだから」

「相変わらずユキはかしこいねー……」

「……ということはまさか、乃愛の彼氏さんって桐崎くんって人?」

 雪帆の助言を受けて遥奈はそう言った。さすが雪帆。わたし達がなにも言わなくても簡単に当てちゃった。

『そのとーり!』

 わたしに代わって紗弥と麻由と加賀美くんが口をそろえて言った。すると遥奈はきょろきょろと辺りを見回した。

「……?どうかした遥奈?」

「いや、その乃愛の彼氏さんがどんな人か一目見ようと思って……」

「あー、キリならそこにいるけど呼ぼうか?」

「お願いします!」

「キリー!ちょっと来いよ!」

 加賀美くんが桐崎くんを呼ぶと桐崎くんはなにも疑いもなく素直にわたし達の方へやってきた。

「なんか用か加賀美?」

「桐崎はこいつだよ?」

 桐崎くんが近くに来ると加賀美くんは遥奈にそう言った。

「へぇー、この人が桐崎くんって言うんだー……」

 遥奈は桐崎くんをまじまじと見た。そんな遥奈の行動に桐崎くんは戸惑っている。

「えっ?俺、なにかやらかした?」

「いや、別に?」

「ハルちゃんが乃愛の彼氏が誰なのか知りたかったから呼んだだけ」

「なんかすごく優しそうじゃん!よかったね乃愛!」

「あ、ありがとう……?」

『何故に疑問形?』

 桐崎くん以外のみんなにつっこまれる。だってどう反応すればいいか分からないし……。

「えっとー……あのさ……ごめん、俺、話についていけねぇ……」

「大丈夫。もう用は済んだから」

「はぁ!?早くねぇ!?」

「済んじまったもんは仕方ねぇだろ!?」

「あーもう!ヒロくんも桐崎くんもうるさいっ!2人とも戻って戻って!女5人で話すんだから!」

『は、はい……』

 麻由に注意された2人はおとなしく自分の席へ戻って行った。

「よし、邪魔者は追い払ったし!遥奈も雪帆も乃愛に聞きたいことがあるなら聞けば?」

「じゃあ聞くけどいつから付き合ってるの?」

「……つい最近、です」

「つい最近って何日前?」

 そこまで詳しく聞くー……?ぶっちゃけ口にするだけでも恥ずかしいのに。

「一昨日の放課後だって。その日乃愛、桐崎くんと会うつもりだったからわたしと麻由と一緒に昼ご飯食べに行かなかったんだもん」

「一昨日とか本当につい最近じゃん!てか乃愛も意外とやるのね!……あ、でも気をつけなよ?」

「えっ?なにを?」

 遥奈はわたしの耳元に口を近づけた。そしてわたしにしか聞こえないような小さい声でわたしに言った。

「桐崎くんって人、見るからに手が早そうだから気をつけないと危ないよ?流れでなにされるか分からないんだから」

「ちょっ……!」

 遥奈の言葉を聞き、それを理解したと同時にわたしの顔は赤く染まった。だってそれって、明らかに桐崎くんが変態ってことを言ってるんだもん……。いや、男子ってそうなのかな?

「なに顔赤くしてんの?乃愛」

「えっ!?いや、別になにも……」

「こっちの話だよ。ねぇ乃愛?」

「そ、そうだね……」

 こんな話、紗弥と麻由にしたら間違いなく騒ぎ出す。そしてクラスの子の視線が一気にわたし達の元へ集まる。それは嫌だ。それだけは避けたい。

「……あの人、本当に乃愛のことが好きみたいだから大丈夫だね」

『えっ?なんで?』

 雪帆が突然そんなことを言い出したのに驚いたわたし達はなんで雪帆がそんなことを言ったのか分からなかった。あまりにも突然すぎたから。

「だってあの人、さっきから乃愛のことちらちら見てるもん。僕達が乃愛達のクラスに来てから今までのたった数分間で乃愛のこと何回も見てたよ?だからなんとなくあの人が乃愛の彼氏かなって思った」

「そんなにちらちら見てたんだ桐崎くん……」

「ホント乃愛にぞっこんだよね……。見てりゃ分かる」

 ぞっこん……。桐崎くんがわたしに?まさか、そんなわけない。わたしの方が桐崎くんにぞっこんだと思うけど……ってどこのバカップルだ!と我ながらつっこみたくなった。

「だからきっと大丈夫だと思うけどな。あの人は乃愛のことが本当に好きだから大切にしてくれるよ。僕はいいと思う。乃愛とあの人、桐崎くんが付き合うの。それに乃愛が好きになった人だからいい人に決まってる!」

 雪帆にそんなこと言われるなんて正直思っていなかった。雪帆は他人の恋愛事情とかにあまり興味なさそうに見えたから。でもそれは違うって気づいたよ。他人は他人でも友達は別なんだね。だから雪帆はわたしにそう言ってくれたんでしょ?

「確かにそうかもしれないね。ぶっちゃけ手が早そうに見えたけど本当に好きなら大切にしそうだね。よくもまぁたった数分間でそこまで見抜いたね、雪帆」

「そりゃそうでしょ。乃愛の彼氏だよ?乃愛のこと本当に好きなのか、本当に大切なのかってことを見抜く必要があるって。乃愛が辛い思いをしないためにも」

「うぅー……!遥奈!雪帆!ありがとう!大好き!」

 わたしは2人に抱きついた。

「わわっ!」

『ちょっと乃愛!抱きつき禁止!浮気禁止!』

「やだぁ!てか浮気じゃないから!」

 ちょっと抱きついたくらいで浮気なんてみんなひどい!わたしはただ2人が大好きだから抱きついただけなのに!女の子好きは浮気じゃないからね!


とうとう雪帆と遥奈に桐崎くんと付き合っていることを告白した乃愛。

雪帆は乃愛のことを考えて雪帆なりに桐崎くんが良い人か見極めてくれました!その結果見事合格!

いやー、よかったね桐崎くん!(笑)



それはそうと乃愛は女の子好きは浮気じゃないと思っていますが、ぶっちゃけみなさんはどう思いますか?

正直わたしはそれより乃愛が女の子好きすぎてびっくりです(笑)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ