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6.モヤモヤしました!

 ふと目を覚ますと外は明るかった。結局あの後、泣き疲れて寝ちゃってたみたい。

 そう思ってゆっくりとベッドから起きあがって鏡を見た。

「き、きゃああぁぁぁぁ!!」

 そこには真っ赤な目をしたわたしがいた。

 目が……腫れてる!充血してる!これはまずい……。

「ママー!保冷剤どこー?」

 そう叫びながら台所へ駆け込んだ。


「おはよ……って乃愛!?なにその保冷剤と眼帯!」

 教室に入るとすぐ紗弥が大声をあげた。

「見て分かる通り腫れちゃったのー……。今とんでもないことになってる……」

「ちょっとちょっと……。一体なにがあったの?」

「実はね……」

 昨夜、紗弥と電話したあとのことを話した。過去を思い出して自分が嫌になって涙が流れたことを。

「……乃愛にそんな過去があったなんて知らなかったよ」

「だって誰にも言ってないもん。それにあんまり言いたくなかったし」

 あんな過去、誰にも知られたくなかったし。

「そうとは知らず恋しな!なんて言ってごめん!それじゃあ苦手になるのも無理ないね!いいよ恋なんかしなくて!乃愛は乃愛らしく自分のペースで治せば……ね?」

「う、うん……」

 ふとドアの近くを見ると桐崎くんが教室に入ってきた。そして目が合った。

「っ……」

 わたしは咄嗟に視線をそらした。……あからさますぎた。

「乃愛?なんかあった?」

「い、いや!別になにもない、よ……」

 なんなんだろう……。この、微妙にモヤモヤする感じは。今までこんな気持ちになったことは一度もないのに。

「やっぱりさ、なんだかんだ言ってかっこいい方だよね?」

「……なにが?」

「桐崎くん。ほら昨日電話で話したじゃん!」

「そ、そう言えば……」

 ヤバい。あの後過去のことを思い出しちゃってたから紗弥との電話の内容をすっかり忘れてた……。

 ……ってえっ?まさか紗弥、桐崎くんに……惚れちゃった、の?

「わたし、あんな人なら付き合ってもいいかも」

「……はっ?」

 付き合う?紗弥が?桐崎くんと?

「ちょっとストップ……。そもそも紗弥ってどんな人が好きなんだっけ?」

「やっぱり少し大人な人かなー。年も上の方が好ましいけど中身が大人ならもう全然OK!」

 あ、やっぱり紗弥らしい答え……。紗弥はガキっぽい人大嫌いだし……。

「桐崎くんって優しいし、しっかりしてるし、親切だし。もう中身が大人でしょ!あの人めちゃくちゃいい人じゃん!」

「……あの人、何気二次元好きみたいだけど?」

「えぇっ!?だったら話合うわ!」

 まさかの紗弥も二次元好きだったパターン!?わたし、初耳ですけど!?

 てかもうこれは間違いなくあれでしょ!紗弥が桐崎くんに、惚れちゃったかも……?

 なんだろう。そう思った瞬間わたしの中にあったモヤモヤが更にモヤモヤし出した。

「ふぅーん……。じゃあ話してみれば?」

「じゃあ話してみる。桐崎くん」

 って呼ぶの早っ!紗弥に呼ばれた桐崎くんは本を読むのをやめ、わたし達のそばに来た。

「なに?林原さん。……って如月さん!その眼帯大丈夫?」

 桐崎くんはわたしの目の上にある眼帯を見て言った。心配、されてるのかな?なんか、男子に心配されたことないから少し戸惑う。でも純粋に嬉しい。桐崎くんがわたしのこと心配してくれて……。

「だ、大丈夫……。目が腫れてひどいことになってるから付けてるだけだし……」

「そっか。良くなるといいね。で、なにか用があるんだよね?林原さん」

「うん。桐崎くんって二次元好きなんだよね?」

「まぁ好きだけど……」

「本当に!?じゃあ――」

 あっ、なんか2人の世界に入られた……。わたし、もしかしてお邪魔かな?少しの間席を外そう。

 椅子から立ち上がるとそれに気づいた桐崎くんがわたしに言った。

「どこか行くの?」

「い、いや!ただわたしはちょっとお邪魔かなと……」

「なんで?如月さんもこういう話平気なら一緒にしよう。ね、林原さん」

「そうだよ乃愛!乃愛だって何気ラノベとかアニメ好きでしょ?」

「う、うん……」

 結局この場から離れることは出来なかった。

「なになに~?なに話してるの~?」

 とそこへ少し遅めに来た麻由が後ろからわたしに抱きついてきた。

「わゎっ!麻由!おはよ」

「おはよ、乃愛!で、なんの話してるの?」

『二次元の話』

「えっ……。じゃあうちは別の場所にいるから……!」

 話してる内容が分かると麻由は逃げていった。そういえば麻由は二次元が好きじゃないんだっけ?いつも『バーチャルよりリアルでしょ!』とか言ってるくらいだし。

 にしてもどうして紗弥はあんな風に普通に話せるんだろう。わたしも紗弥みたいに普通に男子と話してみたいな……。


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