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41.メールしました!

 家についてからずっとソワソワしてた。桐崎くんにメールするかメールくるのを待つかすごく迷う。メールしても今なにか作業してたら迷惑かもしれないからわたしからはしない方いいかな……。それに桐崎くんにメールしていいって聞かれたから多分桐崎くんからメールしてくれるかもしれないし……。よし、ここは待とう。待つべきだもんね。

 そんなことを考えているとメールの受信音が鳴った。

「あっ!」

 桐崎くんかな!急いでケータイを開いてメールを確認する。

「……なんだ、メルマガか」

 もう紛らわしいな!期待して損した……。メールなんてそんな早く来ないかな。

「お姉ちゃん!ご飯出来たよー」

 星奈の声がしてケータイを閉じ、ベッドの上に放り投げる。

「今行くー!」

 メールくらい気長に待とう。今日じゃなくてもそのうち来るはずだから。わたしは部屋を出てリビングに向かった。


 ***


「メール来てるかな……」

 夕食を食べ、食器洗いを済ませたわたしは少し不安な気持ちで部屋に戻った。

 部屋に入ってベッドの上にあるケータイに目をやるとランプが点滅していた。ケータイを開くと新着メールが1件。またメルマガかなと少しへこみながらメールを開いた。

「……えっ!嘘!ちょ……えっ!?」

 メールを見た瞬間、動揺を隠しきれなかった。


〔メアドありがとう!如月さんとはクラスも部活も同じだからメアド聞けてよかったよ〕


 桐崎くんからメール来た……。嬉しすぎるよこれは!わたしは急いで返信した。


〔こちらこそメールありがとう!えっと、桐崎くんの下の名前ってどういう字?〕


 失礼なことにわたしは桐崎くんの下の名前をちゃんと覚えてない。今までずっと名字で呼んでて名前で呼ぶ機会はなかったから知らないままで。でもそんなことをストレートに言えないからオブラートに包んだつもりだったけど……。確か『はやて』か『はやと』だった気がするけどどっちだっけ?

 そして少し経ってから返事が来た。


(はやて)。もしかして如月さん、俺の名前分かってなかったとか?(笑)〕


 ……気づかれてたー!いや、フツーは気づくものか。そんなこと聞く時点で。ここは素直に言うべき?いや、少し誤魔化そうか……。うわぁー、すごく悩む!とりあえず返信返信。


〔正直言うとあまり覚えてなかったー(泣)でも、『はや』までは覚えてたよ!笑〕


 これでよしっと。……全然よくないけど。でもそういう桐崎くんはわたしの名前覚えてるのかな?覚えててくれたら嬉しいけど忘れられてたらちょっとショックかも。桐崎くんの名前ちゃんと覚えてなかったわたしが言える立場じゃないけどさ!

 メールの受信音が鳴った。

「ひゃわっ!」

 意外に返事が早かったからつい変な声が出てしまった。


〔うわー結構へこむ……俺はちゃんと如月さんの名前覚えてたのに……〕


 あちゃー、やっちゃった……。名前覚えられてなかったら誰だってショックだよね。でもまさかわたしの名前覚えてたなんて。ごめんね。桐崎くんがへこんでるのにわたしは今すごく嬉しいんだ。


〔ご、ごめんなさーい!これからは絶対忘れません!ちゃんと覚えるからー(泣)〕


 送ってから気づいたけどなんか子どもっぽいこと書いちゃったなぁ……。絶対子どもっぽいとか思われてそう。うわー、恥ずかしい。


〔よし、よく言った!今の言葉忘れるなよ!?〕


 念を押されちゃった。けど大丈夫!一回覚えたら忘れないはずだから!多分……。


〔はーい、分かってまーす(笑)〕


 桐崎くんってメールだと少し雰囲気違う気がする。メールってそういうものなのかな?最近電話ばっかりしてメール全然してなかったからそう思うだけかも?

 その後もしばらくメールは続いた。



 時計を見るともう11時半だった。かれこれ3時間くらいメールしてたかも?履歴は桐崎くんの名前でいっぱい。


〔それじゃあ悪いけど俺はもう眠いから寝ます!また明日。おやすみ〕


 思わずドキッとしてしまった。女子同士だったら『おやすみ』なんてよく使うけど、まさか男子にそう言われるとは思わなかった。どうせ中学時代まともに男子と会話もメールもしなかったわたしがそんなこと言っても無駄だけど……。第一、元彼にもそんなこと言われたことなかったから男子は女子に『おやすみ』って言葉を言わないものだと思っていた。って偏見だなこれは。


〔また明日ね!おやすみ★〕


 ……やってしまったぁ!ついいつもの女子にメールする感覚で星つけてしまったぁ!って別に男子はそういうの気にしない、かな……?

 おやすみって言うだけでこんなに緊張するんだ……。ドキドキ止まらないよ。でもそのうち慣れるよね?きっとそれが当たり前みたいになるよね?またメール出来たらいいな……。

「あ、麻由にメールしてない……」

 そう言えばメールしてって言われてた。でも自分でメアド聞けてメールも出来たから明日言えばいいかな。

 そしてベッドに潜り込んで少しメールを読み直してみる。読めば読むほどやっぱり雰囲気が少し違うなぁと思ってしまう。意外に絵文字やら顔文字やら使ってたし。男子でも結構絵文字とか顔文字使うんだなぁって初めて知った。でもすごく楽しかったなぁ!メールだとこんなに話せるものなんだね!学校だと部活の時くらいしかまともに話さないからメールでだけど話せて嬉しい!桐崎くんの好きなものとかちょっとずつ知っていきたいな……。そのためにもメールだけじゃなくリアルでもちゃんと話せるようになりたいな。きっと向き合って話した方が楽しいはずだから。


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