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4.同意見です!

《おぉ。乃愛にしては上出来じゃん。桐崎くんと2人きりで話すなんて》

 お風呂上がりに紗弥から電話が来たので今日の出来事を大まかに話した。

「でしょ?わたし頑張ったと思わない?」

《うん。頑張った頑張った》

 紗弥のセリフが棒読みに聞こえるのは何故だろう。それくらいじゃ頑張ったとは言えないのかな?

《で?》

「で?」

《恋に発展しそう?》

 うわっ。やっぱり聞いてきたよこの問い。話さなきゃよかった……。今更後悔しても遅いけど。

「まさか。絶対あり得ない」

《えぇー。なんでよ?》

「確かに桐崎くんはいい人だよ?でも今まで男子が苦手だった人が今日1日たった30分話したくらいで恋するなんて……絶対ないね。仮にしたとしたらどんだけ惚れっぽいのよ……」

《まぁそうかもしれないけど……でも話せたなら発展するかもよ?》

 なんでこう紗弥は話を余計混乱させるようなことを言うんだろう。こうなると必ず話がズレて戻らなくなるんだよね……。

「絶対ない!それはない!」

《いや!分かんないでしょ?試しに麻由にも聞いてみたら?》

「……あっそれいいかも。ちょっと麻由にも電話するから一旦切るね!」

《はいよー》

 紗弥が電話を切る音がしたのでわたしもキーを押す。

 さて、もう1人の親友である麻由に聞いてみますか……。

 ちょっと渋り気味に麻由に電話をかけた。


《それで?麻由はなんて?》

 麻由との通話を終えたわたしはすぐさま紗弥に電話をかけた。

「よかったじゃん!乃愛にしてはやるね!そのまま桐崎くんに恋しちゃえ!――だそうです……」

 まさかの麻由も紗弥と同意見。さすがにへこむ。電話の向こう側で聞こえる紗弥の笑い声で更にへこむ。

《ほら!やっぱりそうなんだよ!》

「でも桐崎くんって恋愛とか興味なさそうじゃん!」

《……そう言われてみればそうかも》

 紗弥も麻由も大事なことを忘れていた。噂によると桐崎くんは告白したこともされたこともなく、誰かを好きになった経験もないらしい。そんな人が恋愛に興味あるとは到底思えない。

《あの人、別に見た目悪いわけじゃないじゃん?むしろクラスの中では一番かっこいい方だし。それにいい人だし。なのに恋愛しないってもったいないよねー!告白されたことないなんて絶対嘘でしょ!モテてたと思うよあの人は。うん、絶対》

 いや、紗弥が断定しても根拠がしっかりしてないから説得力ないよ……。

 でもこれはわたしも同感。見た目も悪くないむしろかっこいい方で性格とかもいい人を女子がほっておくわけがない。あの人はモテてたとわたしも思う。

《ちょっと乃愛ーわたしの話聞いてる?》

「えっ?あ、なんだっけ?」

《だーかーらー!ちょっと聞いてみてよ!桐崎くんに》

「えっ?なにを?」

《本当は付き合ったことあるんでしょ?告白されたことあるんでしょって聞いてみてって!》

「……誰が?」

《乃愛が、桐崎くんに聞くの》

 語尾にハートマークがつく勢いで紗弥が言う。それを聞いたわたしの脳は一瞬思考回路が停止した。わたしが、桐崎くんに、聞く?

「ちょっと待って……。えっ?いや、無理でしょ!?わたしが話したら態度が冷たくなっちゃうよ?それはなにがなんでもまずいって!」

《まずくない!それに、乃愛はこうでもしないと男子と話さないじゃない》

 それはまぁそうだけど……。でも冷たく態度をとって相手を不快にさせるのはもっと嫌だ……。

「だって……。相手を不快にさせたくないし……」

《あんたって本当優しいんだか優しくないんだか分かんないわ。本当に男子が苦手ならそんなこと思わないっつうの》

 電話の向こうで紗弥がため息をついたのが聞こえた。なに?わたしの行動に呆れちゃった?

《じゃあ不快にさせないようになんとか頑張ってね》

「うん……。なんとか頑張ってみるね」

《まぁ詳しいことは明日話そ!ユキとかハルちゃんも一緒にね》

 ユキとかハルちゃん。紗弥は雪帆のことをユキ、遥奈のことをハルちゃんと呼ぶ。雪帆も“ユッキー”じゃなければなんと呼んでもいいって紗弥に言ったからそう呼ばれるようになったらしい。

 けど、まさか雪帆と遥奈にも言わなきゃならないなんて……。

「うん……。じゃあまた明日」

《また明日ね。おやすみ》

 プツッと電話が切れた。聞こえるのはツーツーと言う音だけ。

 桐崎くんに話しかける、のか……。なんでそんなよくある当たり前のことをわたしは出来ないのだろう。なんでわたしは男子が苦手になったんだっけ……。

 わたしはふと過去の出来事を思い出した。


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