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30.合宿です!⑧

「わぁお!誰よこんな時間に……って、また真田か……」

 シャワーを済ませ、シャワールームから出て緋華に声をかけようとしたら緋華がそう言ってるのが聞こえた。また、ってことはさっきも電話してたのかな?

「もしもし?……え、今?今は……」

 緋華はチラッとわたしを見た。どうやらお邪魔のようですね。

「あ、気にしなくていいよ。わたし、飲み物買ってくるから」

 カバンから財布とパーカーを持って部屋を出た。


 ピッ。ガコン。ロビーの近くにある自動販売機で飲み物を買った。

「しばらく2人の会話を楽しんでもらおうかな……」

 そう思って近くにある椅子に座ってペットボトルのキャップを開けた。

 シャワー浴びたらさっきまで頭の中でぐるぐるしてたことがやっと落ち着いた。なんであんなにぐるぐるしてたのかが不思議だった。だって、近かったんだもん。桐崎くんとの距離が。あぁー!思い出したらまた顔紅くなりそう!考えるのやめよ!

「よし、紗弥に電話しようかな……。現状報告したい……。頭モヤモヤするし」

 そう考えるとすぐケータイを取り出して紗弥に電話をかけた。

《ちょっと乃愛!なんで昨日電話しなかったのよ!わたしも麻由も待ってたんだからね!》

 ワンコールで出た紗弥はすぐさま怒鳴り散らした。おかげで耳が痛い。

「ごめん。昨日はいろいろあって電話出来なくて」

《いろいろって?》

 やっぱりそこはつっこんでくるのね……。まぁやましいことはないし、言っても大丈夫かな?

「昨日、桐崎くん達の部屋に行ってたの」

《部屋に行ったって……。ちょっと!いつの間にそんな進展してるの!?一体どういう経緯でそうなった!?》

《なになに~?どうしたの~?》

 電話越しに麻由の声が聞こえた。

《ちょっと聞いてよ!乃愛ったら桐崎くんの部屋に行ったんだって!だから電話出来なかったんだってよ!》

《えっ!?部屋に行ったの!?夜に!?》

 ちょっとお2人さん、わたしをほったらかしにして盛り上がらないでください。盛り上がりすぎて麻由の声もちゃんと聞こえるんだけど……。

「紗弥ー?おーいさ――」

《ねぇ乃愛!部屋に行ったってことはつまり――》

《それ以上言うな!純粋な乃愛には刺激が強すぎる!》

 という紗弥の言葉と一緒に聞こえたバシッという音。間違いなく麻由が叩かれた音だ。

「ちょっとー?いい加減説明してよろしいですかー?」

《あぁいいよ。どうぞ》

 やっとまともに話せる状況になった。まずは昨夜のことを話しますか。

 わたしは昨夜の出来事を大まかに紗弥に話した。

「……というわけであって別にやましいことはなにもないからね?」

《なーんだ。ただ4人でトランプして遊んでただけか。つまんないの》

 つまんないとはなんだ、つまんないとは。わたしからすれば桐崎くんのジャージ姿という緩い姿を見て一瞬ドキッとしたんだから。

《トランプだけ~?ポッキーゲームでもすればよかったのに……》

「ポッ……!」

 麻由の意外すぎる言葉に絶句してしまった。

《だから乃愛には刺激が強いって!》

 いやいや、別にそこまで強くはないよ?

《で、今日はなんかあった?》

 やっぱり触れてくるんだよね、今日のことについて。話すべき、だよね……?話すことでわたしの頭の中も整理出来そうだし。

「あのね、実は――」

 わたしはついさっき起こったイルミネーションを見に行った時の出来事を紗弥に話し始めた。


 一通り話し終わると、わたしの中でも気持ちに整理が出来てモヤモヤしてた気持ちが晴れた。

「こ、こんなことでドキドキするのっておかしいかな……」

《うんうん。おかしくないよ。で、乃愛はその時桐崎くんのこと拒まなかったんだね?》

「うん。むしろもっと一緒にいたいって思っちゃったり……」

《乃愛、はっきり言っていい?》

「?……うん、いいよ」

 紗弥は少し厳しい口調でわたしに聞いた。紗弥がなにを言うのか分からないが紗弥の質問には極力答えたいから了承した。


《乃愛、それは『気になる』じゃない。『好き』だよ》


 紗弥のその言葉に少しは驚いたが、やっぱりそうなのかと納得してる自分もいた。

「好き……」

《そう。乃愛は桐崎くんのこと好きなんだよ。それも『ライク』じゃなくて『ラブ』の方》

 なんとなくそんな気はしていた。一緒にいたいとか、ドキドキするとか、そんな感情を抱くのは気になるだけではないと思ってはいたんだ。ただ認めたくなかっただけだと思う。

「……やっぱりそうなのかな?さっき、もしかしたらラブに発展したのかも、なんて少しは思ったりしてたんだ。でもなんか認めるのが怖いというかなんというか……」

《怖い?》

「ほら、この前言ったじゃん。男子苦手になった理由。嫌われてるのかなって思うと怖くて……。もう異性を好きになるのはやめようって元彼と別れた時決めたのに好きになっちゃったのを認めるのが怖くて……」

《あー、今乃愛の近くにいたら抱きしめて頭撫でてあげたいわ》

「えっ?」

 なにを突然言い出すんだこの子は?

《嫌われてるのが怖いと思うのは多分好きだからだよ。どうでもいい人に嫌われてると思って怖い?》

「どうでもいい人……。あまり怖くないかも」

《でしょ?だからさ、いんじゃない?認めても。新しい恋をしても》

 新しい恋かぁ……。わたしにできるのかな?

《あ、ヤバい。電池切れかけてきたから切るね。またなんかあったら電話して》

「うん。わかった」

《えー、うちまだ乃愛とあんまり話してな~い!》

《ちょ……!だから電池切れ――》

 プッ、ツーツーツー。

 電話が切れた。紗弥のケータイの電池が切れたみたい。にしても麻由……子どもっぽい。

 ……好きになってもいいのかな桐崎くんのこと?気になると思ってたけど多分違う。紗弥の言うようにこの気持ちは『ライク』じゃなくて『ラブ』に近い。まさか気になるからラブに発展するなんて思わなかったよ。

 ふと時計を見る。部屋を出てから30分近く経っていた。電話しすぎたな……。そう思いながら部屋へ戻っていった。


 ドアをノックして緋華に開けてもらうとまだ電話中だった。

「あ、まだ電話中だった?」

「大丈夫だよ。……あー分かった分かった。じゃあ切るから」

 そう言って緋華は一方的に電話を切った。

「ったく……話が長いわ」

「それだけ真田くんが緋華と話したいって証拠でしょ。愛されてるね」

「まさか、ありえないよ。じゃあわたしシャワー浴びてくるね」

「うん」

 緋華はシャワールームに入った。……もう素直じゃないな緋華は。顔が若干紅くなりましたけど?……って人のこと言えないか。

 明日が最終日。こんな状態でわたしは明日、平静を装えるの?……明日はいつも以上に集中しなきゃ。きっと失敗を繰り返す。大丈夫。わたしはきっと出来る。そう考えながら荷物を整理した。


試験から解放されました!

なので定期に戻します!


そして久々の登場の紗弥と麻由!

相変わらず……(笑)


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