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25.合宿です!③

「夕食美味しかったねー!」

「うん。ちょっと量は多かったけど……」

 夕食を済ませ、わたし達は自室に向かう。

「どれくらいあっちにいよっか?」

「うーん。飽きたら?」

「それでいっか」

 トランプとかするなら大体やるゲームは決まってる。一体どれくらい続くのかな。

「とりあえず財布とケータイさえあればいいよね?」

 自室に戻ってきたわたし達は真田くん達の部屋に行く準備をした。とは言ってもわたし達はトランプを持ってないから貴重品である財布とケータイしか持って行かないけど。

「うん。多分それだけで十分だと思うよ」

 部屋を出て緋華はドアを閉めた。

「あれ?鍵掛けないの?」

「もう掛かってるよ。ここ、オートロックだから」

「そうなんだ」

「あ、真田に電話もメールもしてない」

「今しちゃえば?」

「……いいや!どうせすぐ着いちゃうし」

 そんな適当でいいの?

「さ、早く行こ」

「うん!」

 わたしは緋華の腕に抱きついた。緋華は拒否せずわたし達はそのまま真田くん達の部屋に向かった。


 ***


 真田くん達の部屋の前に着き、緋華はドアをノックした。

「開けてー真田ー」

「ちょっと緋華……。あんまり声出さない方が……」

「えっ?なんで?」

 なんでって、一応ここ男子の部屋だよ?目撃されたらなんか思われそうじゃん。でも緋華が真田くんに用があるなんて別に変なことではないか。

 そんなことを考えているとドアが開いた。

「もう真田。なんで早く開――」

「ごめん宮本さん。真田の奴、今シャワー浴びててさ」

「あ、桐崎くん」

 ドアを開けたのは真田くんではなく桐崎くんだった。しかも……ジャージ姿の。一瞬だけその姿にドキッとした。学校で見る桐崎くんとはなんだか別人に見えてしまって。

「ごめんね。なんか急かしちゃって」

「大丈夫。真田もそろそろ出てくる頃だし」

「桐崎。うるさくドア叩いてた奴って誰だったんだ?」

 シャワールームのドアが開いて中からタオルで髪を拭いてるこちらも同じくジャージ姿の真田くんが出てきた。

「宮本さんと如月さんだよ」

「……えっ!?」

「なに?来るの早かった?」

「べ、別に早くはないけど……メールやら電話やらしてくれりゃよかったのに!」

「部屋出てから気付いてなんか面倒くさくなったからしなかった」

「そんな理由かよ……」

「真田、まず入ってもらえば?ここで立ち話するのもなんだし」

「そうだな。入れよ」

『お邪魔しまーす』

 わたし達は言われるがままに真田くん達の部屋に入った。

「へぇー、意外に片づいてるんだね。真田のことだからもっと散らかってるかと……」

「んなわけねぇだろ」

 いつものように周りをほったらかしで話す緋華と真田くん。ちらっと桐崎くんを見てアイコンタクト。多分今、似たようなことを考えてるはず。

「……なぁ、邪魔だったら俺と如月さん出て行くけど」

「なんか場違いみたいだし……」

『いや、出て行かなくていい』

 せっかくの提案を2人はばっさりと却下した。

「じゃあ早速始めようよ!なにするー?」

「そうだなー……」

「無難にババ抜きは?」

「あんまり面白くないだろ」

「じゃあじゃあ大富豪とかは?」

「えっ……わたし、大富豪とかめっちゃ苦手なんだけど」

「お前めちゃくちゃ弱いもんな」

「う、うるさいなぁ!」

「ページワンはどう?」

『やり方分からない』

「おい……」

 提案しては反対されるの繰り返し。これじゃあいつまで経っても埒があかない。

「もう面倒だからじゃんけんで勝った人のやりたいやつにしよ」

 わたしがなにかを言うより先に桐崎くんが言った。

「うん。いいよー」

「それが手っ取り早いか」

「じゃあやるか」

『最初はグー。じゃんけんポン!』

 わたしはパー、緋華はグー、真田くんもグー、桐崎くんもグー。つまりわたしの1人勝ち。

「嘘?勝っちゃった……?」

「じゃあ如月さんがやりたいやつにしよ。なにがしたい?」

「うーん。緋華には悪いけど大富豪」

「え゛っ……」

「じゃあ大富豪で決まり。カード配ろ」

 そう言って桐崎くんはテーブルの上に置いてあったトランプをきって、4人に配った。

「そう言えば負けたら罰ゲームとかする?」

「いいね!面白そう!」

「じゃあ勝った人が言ったことを負けた人がやるっていうのは?」

『賛成ー!』

 そんなこんなで大富豪が始まった。


 数分後――

「やった!1位抜け!」

 手持ちのカードがなくなったわたしは大きく手を広げた。

「乃愛早いよ……」

「だからお前が弱――」

「真田うるさい」

「……はい」

「如月さん強いね」

「そんなことないって。まぐれまぐれ」

 なんて謙遜するけど実は大富豪が大の得意。大体いつも1位抜けだしビリは絶対ない。たまに2位抜けになるけど基本1位抜け。

「じゃあ負けた人は如月さんの言うこと聞くということで」

「分かったからさっさと続けようぜ」

「はいはい」

 3人は再び大富豪を続けた。

「はい、革命」

「ちょっ!嫌味か真田!そんなことしたらわたし負ける!このまま行けば勝ったのに!」

「ドンマイ」

 ……この2人は周りにわたしと桐崎くんがいることを分かってるのかなぁ。もう周りお構いなしに2人の世界に入ってるけど……。

「はい、2位抜け」

『早っ!』

 2位抜けは桐崎くんだった。

「真田のおかげで抜けたよ。ありがと」

「うわー、それって嫌味だな桐崎」

「ほら早く出して!次真田でしょ!」

「……出していいのか!」

 真田くんは少し遠慮気味に緋華に聞いた。

「いいから早く!」

「はい、ごめん」

 真田くんは謝りながら残ってた手持ちのカードを全て出した。

「えっ!」

「はい、俺3位抜け」

「ビリは緋華に決定!」

「うわー!悔しいっ!」

 緋華はカードをポイッと投げてテーブルに突っ伏した。

「それじゃあ罰ゲームは宮本さんだね」

「えっとねーじゃあねー……抱きつかせてっ!」

 緋華の返事を待たずわたしは緋華に抱きついた。

「わっ!びっくりするなぁ」

「えへへー。緋華にくっつくと落ち着くなぁー」

「……おい、あまり長く抱きつくなよ。暑苦しい」

 なにやらご機嫌ななめな真田くん。

「いいじゃん別に。女同士なんだから気にすることないじゃーん」

「そういう問題じゃねぇよ……」

 嫉妬してるのかな?真田くんって分かりやすい。

「よし、2回戦始めるか」

「そうだな。ほらさっさと離れろ」

「うぅー……仕方ないなぁ」

 わたしは渋々緋華から離れた。

「真田くん嫉妬ー?かっこ悪いよー?」

「し、嫉妬じゃねぇよ!」

『うわ、真田かっこ悪……』

「うるせぇぞお前ら!2回戦するならさっさと始めようぜ!」

『はいはい』

 真田くんがあまりにもうるさいのでわたし達はさっさと2回戦を始める準備をした。


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