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21.大騒ぎです!

「はぁ!?今度の3連休部活なの!?」

 翌朝、紗弥の声が響いた。

「こ、声が大きい……」

「でもまぁ、わたしの家から部活行けばいいから大丈夫か!」

「それがその……」

 わたしは紗弥に合宿のことを話した。

「はぁ!?合宿!?」

「だから声が大きいってば……」

「それってつまり泊まり、だよね?」

「うん。そうだよ?」

「そ、そんなのダメに決まってるでしょ!そんな……男女が二晩も一緒なんて……」

「ちょっ!そんなんじゃないよ!演劇の完成度を上げるためにやらなきゃいけないことだし、第一部屋とか普通に分けるでしょ!何故みんな同じ部屋で過ごすと思ってるの!」

 もうこの子は一体なんなの!?どうしてそういうこと考えるの!?

「ん?ちょっと待てよ。演劇部の合宿ってことなら桐崎くんも行くの?」

「うん。だって今回の脚本だし役者だし」

「へぇー。今回の脚本って桐崎くんなんだ。ってことは……」

 紗弥はニヤリと妖しい笑みを浮かべる。この笑顔は間違いなくなにか考えてる証拠だ。……嫌な予感しかしない。

「二晩も一緒にいられるんだね。さぁどこまで進展するかなぁ……」

 紗弥はわたしの耳元で囁いた。

「だーかーらー!そんなんじゃないよ!」

「あ、桐崎くんだ。おはよう」

 紗弥がいきなり言い出したので振り向くとドアの近くに桐崎くんが立っていた。

「おはよう」

「お、おはよう……」

 あぁ、ダメだ。まともに桐崎くんの顔が見れない。また胸が締め付けられそうでなんか怖い。わたしは桐崎くんから少し視線をそらした。紗弥はそんなわたしを見てニヤニヤと笑った。

「乃愛から聞いたんだけど今度の演劇の脚本って桐崎くんなんだね」

「そうだよ。多数決でそうなったんだ」

「へぇー。で、乃愛は誰に投票したの?」

「え……そこ聞いちゃうの?」

「うん。だって気になるし。桐崎くんも気になるよね?」

「えっ、あっ、まぁ……」

「ほら、桐崎くんも気になるんだから教えて」

 いや、桐崎くんはそこまで気になってないと思うよ?返事が曖昧だし。とか思いつつも答えてしまうバカなわたし。

「えっと、桐崎くんのに……」

「あっ、やっぱりそうなんだ。そうだろうとは思ったけど」

 紗弥は面白そうにニヤニヤと笑いながらわたしに言う。

「ちょっと紗弥ー!」

「じゃあもし如月さんが真田のに入れてたら俺、アウトだったんだ」

『えっ?』

「だって一番最後に入れたのは如月さんだったからさ」

 そういえばそうだった。わたしが一番最後だったっけ。しかもギリギリだったような……。まさかわたしが入れるまで五分五分だったとは。やっぱりきれいに割れたんだ。

「へぇー。桐崎くんって乃愛のことよく見てるんだね!」

「林原さん……。そ、そういうことじゃないからね?」

「いいよいいよ。分かってるから」

「だから違うよ!?別にそういうわけじゃ……」

「なになに~?なんの話~?二次元の話じゃないならうちにも教えて~!」

 なにやら桐崎くんが紗弥に必死になって弁解していると突然麻由が現れた。一瞬にして場の雰囲気が変わった。

「もう麻由!ちょっとは空気読め!今いいところだったのに!」

「いいところってどこが!?林原さん」

「そうだよ紗弥ー。なにがいいところだったの?」

「乃愛は分かんなくていいよー。ねぇ桐崎くん」

「だから違うから!」

 何気にこの2人って仲良いんだなぁ。……そう言えば前に紗弥が桐崎くんに対してあんな人なら付き合ってもいいかも、なんて言ってたような。

 紗弥に言った方いいのかな。桐崎くんのことが気になっているのに気付いたこと。でもそしたら紗弥とギクシャクしちゃいそうだし嫌だなぁ。

「あーもう!素直じゃないな!」

「だから違うよ!?そういう意味じゃないから!」

「まだやってるの?2人とも」

 この2人は一体いつまで同じやりとりを続けるつもりなんだ。

「だって桐崎くんが素直じゃないからー」

「林原さんが信じてくれないから」

「どうでもいいけどなんの話してるのかうちには分かんな~い!」

『麻由(池波さん)は分からなくてもいいから』

 麻由の言葉にわたしたち3人は冷たく言い放った。

「それは酷くない!?」

『酷くない』

 そんなことをしていると再びある人物によって場の雰囲気が変わった。

「なぁキリ、いつになったら話終わるんだー。宿題見せてー」

「加賀美」

 桐崎くんに声をかけたのは同じクラスで桐崎くんとよく一緒にいる加賀美宏希くん。クラスの優等生でバスケ部のエース、性格もよくてかっこいいことからよく女子にモテる。彼はかっこいい系というよりは可愛い系かな。ちなみに聞いた話だが、バスケ部なのに周りの男子より身長が低いことを気にしてるらしい(もちろんわたしよりは高い)。

「珍しいね。加賀美くんが宿題見せてなんて」

 紗弥が意外そうに加賀美くんに言う。

「最近部活忙しくてなかなか宿題出来ないんだ。だから結構キリの写させてもらってる。……間違いが多いけど」

「一言多い」

 カバンから取り出したノートで弱めに加賀美くんを叩く桐崎くん。部活の時とはやっぱり違うな。真田くんには結構本気だったし。

「ありがとうキリ。つか叩いて渡すことないじゃん」

「加賀美が一言多いからだろ?」

 この2人のやりとりを見てるとなんか不思議と和む。一つ一つの行動がほわーんとしてる感じがして。

「なんか2人、デキてるみた~い!」

 そしてその雰囲気をぶち壊すかのように麻由が言った。

『はぁっ!?』

「確かに。なんか危ない……」

 麻由に便乗して紗弥が言う。

『いや、デキてないし危なくもないから』

「そうハモる時点で危ないよ……」

「ちょっ!それ言ったら如月さんだって女子にくっつきすぎてセクハラしてるじゃん」

「なっ!わたし別にセクハラなんかし――」

「桐崎くんの言うとおり。乃愛は人のこと言えないね。抱きつくし」

「だって女の子好きだし、特に紗弥は抱きつくと安心するんだもん!」

「うわっ、やっぱりレズだ……」

「レズじゃないっ!」

「い、いんじゃない?それもさ、個性だし……」

「同情しないでー!余計悲しくなる!てか桐崎くんだってよく加賀美くんにくっつくじゃん!」

「そんなのノリだよノリ!なぁ加賀美?」

「そうだよ、って俺に振るなよ」

「大丈夫。如月さんがそ、そういう人ってのは分かってるから。うん、気にしないよ」

「だから違うってばー!桐崎くんのバカぁ!桐崎くん嫌いー!」

 そんなこんなでわたしたちは予鈴が鳴るまでずっと大騒ぎしていた。


舞原です。


新キャラ登場!

何気に重要人物になりそうな加賀美くんです(笑)


今回本編では身長に触れたのでみんなの身長についてちょっと補足。

女子は乃愛の身長を160cmとしてそれを基準にすると紗弥と雪帆は少し高め、麻由と遥奈は少し低め、緋華はほぼ同じ。

男子は真田くんの身長を170cmとしてそれを基準にすると桐崎くんは少し高め、加賀美くんは低め。


何気に桐崎くん高身長!

紗弥と加賀美くんはほぼ同じ!

と思ってくだされば幸いです。


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