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5.占い師の引き継ぎ

田舎の全然客が来ないコンビニ

そこで働く夕勤、22時までの高森

夜勤22時からの生田

本当は無くてもいい引き継ぎの30分

ちょっとした時間のお話。





「おつかれー」


22時、夜勤の生田がレジ裏のバックヤードから顔を覗かせる。


「おつかれ、ギリギリやな」


かれこれ1時間は客が来ていない夕勤の高森が言う



「なぁ高森、占いって信じる?」



「全く信じてない」



「やんなぁ俺も全く信じてない

 嘘つき軍団やと思ってる」



「あんま占い師がみんなで居るイメージ無いけどな」



「昔1回だけ占い行ったことあるんやけどさ」



「あるんや」



「なんか占い師が日替わりでみたいなとこ」



「あー、ショッピングモールとかにある

 占いの館みたいな所か」



「そこでチラッとシフトの希望票みたいな見えて

 いや、それいらんやろ、占えよって思って」



「それはええやろ」



「何をシフト穴空くのびびってんねん

 みんなで占って埋めろよって」



「めっちゃ嫌な客やな」



「そこで占い師は嘘つきやって思ったねん

 一応占っては貰ったんやけど」



「なんて言われたん?」



「何言っても体が1番大事って言われた」



「何やそのポンコツ占い師

 何年ぶりかに実家帰った時の最終日か」




「でも1番嫌いなんあれな、朝の占い」




「あー、うお座が何位とかのやつか、たまに見るわ」




「朝ボーッと見てまうんやけど

 おれやぎ座なんやけど、今日最下位やってん」



「最下位のときむかつくよな、信じてないけど」

 


「ほんでラッキカラーは黄色って言われたんよ」



「黄色やったんや」



「でもラッキーカラーは黄色って

 青字の青枠で書かれてんねん」



「うん」


 

「いや、それを黄色で書いてくれよ」



「何がやねん」




「だってさ、ラッキカラー黄色なんやったら

 黄色の字で黄色の枠で書いてちょっとでもラッキー にしてくれよ」



「気持ちは分かるけど」



「親切じゃないねんあいつら

 俺が占い師やったら絶対言うで?

 ごめんやけどその文字黄色にしてあげて?って」



「編集に口出しすんな占い師が」



「あれ絶対なラッキーカラーの字で書いてしまったらちょっとラッキーになって順位上がってしまうやろ?

変更すんのがめんどいだけやで」



「信じすぎやろ

あの占い本気で信じてる人にしか出ーへん発想やで」



「俺が1番腹立ったのが先週の占いな

またやぎ座最下位やったんやけど」



「多いな最下位」



「最下位は、、ごめんなさいやぎ座のあなた

あらぬ疑いをかけられてあなたが犯人に

ラッキーカラーは黒」



もう逃げられへんやん




「めっちゃクロやもんな

犯人確定やもんな」



「何で黒にしたん

そこは白にするかせめて薄い色にしろよ

できるだけ黒から遠ざけろよ」



「確かにな」




「ほんでラッキーアイテムのパターンもあんねん」




「あるなぁ」



「普通全く関係無いものやねん

会社で嫌なことがあるかも

ラッキーアイテムは緑の帽子ですとか」



「あー、そんなんやな」



「たまに何でそれにしたんっていうのあんねん

この前なんか

最下位は、、ごめんなさいやぎ座のあなた

人の嫌な所ばかり見えて疲れてしまうかも

ラッキーアイテムはサングラス」




「そーいうことじゃないねん」



「おもろすぎるやろそれ

 物理的に見えづらくしたいんじゃないもんな」



「もっと考えて作れよな

適当にやるから事故るねん」



「ほんまにな」



「それとか

最下位は、、ごめんなさいやぎ座のあなた

寝坊してしまい会社に遅刻するかも

ラッキーアイテムはローラースケート」



「間に合ったとてやろ」




「恥ずかしいだけやもんな」



「こんなんもあったわ

ごめんなさい、、やぎ座のあなた

過去の辛い思い出を思い出しちゃうかも




「それで思い出すねん」




「ほんまによ

言わんかったら思い出さんかったやろ」




「あとアイテムの難易度バラつきすぎやねん」



「どんなんあるん?」



「俺4位の時

ラッキーアイテムはトロンボーンって言われてさ」



「持ってるわけないな」



「ほんで3位のやつ

ラッキーアイテムはテレビ」



「せこすぎるやろ」




「結局占い師は嘘つきやな」



「確かにな

俺もー上がるわ」



「おつかれー

あれお前そんな緑の帽子持ってたっけ?」





高森は上がった


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