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万引き犯の引き継ぎ

田舎の全然客が来ないコンビニ

そこで働く夕勤、22時までの高森

夜勤22時からの生田

本当は無くてもいい引き継ぎの30分、

ちょっとした時間のお話。





「生田、ちょっと出てきて」


21時50分 夕勤の高森が少し緊張した面持ちで言う



「どーした?」


飲みかけのコーラを置いて

少し早めに来ていた夜勤の生田が少し慌てて来る



「あのお客さん居るやろ?今雑誌コーナー曲がった」



店内に客は1人、30代後半ぐらい、

短髪でジーパンにダウンジャケット

どこにでも居そうな風貌だ



「あの人がどうしたん?」



「あの人な、10分ぐらい店内うろついてるんやけど、最初手に商品持ってたのに今持ってないねん。」



「そんなん、やっぱやめたとかじゃないん?」



「あの人の後ろポケット見てみ」





男性客のジーパンの後ろポケットにチョコモナカジャンボが入っている。




こちらの視線に気がついたのか急いで店を立ち去ろうとする男性客 



生田が低い声で言う



「俺行くわ」



店を出た所で生田が声をかける



「すみません、まだ精算していない商品ありますよね?」



たじろぐ訳でも無く、真っ直ぐ目を見て男性客が答える



「取ってないです」





、、、、、、




「高森取ってないってー!」



「後何ラリーかいるやろ、判断甘いって」




一瞬嬉々とした表情が見え、一瞬で暗い表情に戻る

ババ抜きをする姪っ子のような男性客




「え、でも目がスタバのトイレぐらい綺麗やったから」



「綺麗なもんの例えにトイレ使うなよ、

トイレは綺麗になること無いねんから」




「あるやろ、掃除したら綺麗になるんやん」




「ならんよ、トイレの綺麗さってプラスになる事は絶対ないねん

どんだけ掃除しても、新設された時が綺麗さのピークやねん

マイナススタートやからどんだけプライマイゼロにするかやから」




「じゃあトイレ新設した段階でいっぱいうんこつけとけば良いってこと?

そのうんこをちょっとづつ綺麗にしていったらプラスになるやん、って事はうんこが1番綺麗なん?」




「何に辿り着いてんねん。

掃除チェックシートに削っていくうんこの欄増やすなや

うんこでプラスになる事なんか無いねん

うんこでプラスになるのは便秘の時だけやねん」



「出たら嬉しいもんな」




「あのぉー、」



2人の会話をテニスの審判のように見ていた男性客が言う



「こんなうんこの話になるなら正直に言います

 取りました」







「うんこがプラスになったな」





生田のしたり顔を横目に男性客を連れてレジ裏の事務所に入る高森

他のお客さんが来た時の為にすぐレジに行ける距離で見ている生田。



「盗った物出して下さい」



高森が落ち着いた声で言う



「これー、です。」



後ろポケットから例のものを出す男性客



「魔が刺したんです。本当にもうしません。

警察だけはやめて下さい。」







「なんで後ろポケットやねん」





「、、、つい、魔が刺して、、」





「つい魔が刺してなんで後ろポケットやねん」






「すいません」



「いや普通、前ポケットとか鞄とかジャケット内ポケットとかやねん、丸見えやし」



「なんとなく、収まりが良かったので」



「一瞬、長財布かと思ったわ、

ポールスミスの1番派手なタイプの」




「こういった事するの初めてて分からなかったんです」



「誰が初犯でアイスいくねん

しかも1番デカいやつ、名前にジャンボって入ってるぐらいデカいことを企業でアピールしてるやつ」



「どうせなら1番大きいやつをと思いまして」



「野菜の詰め放題か」




「それに、僕の財布ポールスミスの長財布です」

ジャケットの内ポケットから財布を取り出す男性客



「それにの意味が分からんし

え、内ポケットに財布入れて後ろにジャンボ入れたん?」



「そうです。元々ズボンの後ろポケットに財布入れてて、そのー、アイス取る為に内ポケットに移動させました」



「逆やろ、そのまま内ポケットにジャンボ入れろよ

わからんなるわ、財布とったんかなって思ってきたわ

罪重なるぞ」



「いや、人のものを盗むのに罪の大小はないかと」



「うるさすぎるわ

その感覚だけ残すな

お前は盗る物の大小から考えてこい、ジャンボデカ過ぎんねん」






客が来ない事を確認し、生田が入ってくる



「お客さんさぁ、もしかして長財布とチョコモナカ間違えたんじゃないですか?」



「無理があるやろ、

すぐちぎれる蜘蛛の糸垂らすな」



男性客が目を泳がせながら言う



「、、、そ、うです」



「ちぎれると分かってて掴むな」




高森を無視し生田が言う



「財布と思ってチョコモナカ入れてしまっててびっくりしたんじゃないですか?」



「い、いやぁそうですよ!びっくりしました

まさか財布と間違えてアイスが入ってるとは」



「同じ大きさですもんね、僕もありますよそんな事ぐらい!」



「ありますよね!ちょっとぼけてました!」



「あれぇ、でもなんでアイスを入れた瞬間冷たい事に気づかなかったんですか?」



「、、、、、、」






「高森こいつクロだ、警察呼べ」



「何しに来たんお前

自分でハシゴ渡して自分で外したやん」



「万引きなんかするやつはあかんやん

お金払わないと

盗む奴はわるいやん」



「善悪覚えたてか

なんやその幼稚園児みたいな正しいだけの感想」








「高森、こいつ殺そう、、、」








「おもろい漫画の1話目か、

次に来るマンガ大賞の紹介したくなる所か」





「あのぉー」


万引き犯が言う


「警察呼んで下さい」



「なんで?」

生田が尋ねる



「なんか、警察呼んだ方が早く帰れそうなんで」



「じゃあ警察呼びます」



高森と犯人があがった



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